賃貸物件の管理において、事故は「起きてから」では遅い問題です。転倒や衝突といった事故が起きれば、入居者のケガだけでなく「クレーム」や「責任問題」に発展することもあります。
とはいえ、すべての設備を一気に新しくするのは現実的ではありません。大切なのは、事故が起きやすい設備や条件を知り、優先順位をつけて備えることです。
本稿では、事故が多い設備に共通する特徴ととくに注意したい代表的な設備、押さえておきたい管理・対応のポイントを分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
賃貸物件で「事故が多い」とされる設備の共通点とは

事故が多い設備には、じつはある共通点があります。「古いから危ない」だけではないのです。
まずは、どんな特徴の場所で事故が起きやすいのか知っておきましょう。修繕計画の最適化や、損害賠償リスクの最小化につながります。
それでは、3つのポイントに分けて解説します。
利用者次第でリスクが変わる
設備そのものが壊れていなくても、使う人の年齢や使い方によって、事故の起きやすさは大きく変わります。
たとえば、元気な高校生なら何ともない「ほんの少しの段差」はどうでしょうか。足腰が弱いお年寄りや走り回る小さなお子さんにとっては、転んでケガをする原因になります。
また共用部では、焦って駆け込んだり、スマホを見ながら歩いたりといった「利用者の行動」が事故のきっかけになることも多いです。
まずは「誰が住んでいるか」を意識しましょう。高齢者やお子さんが多い物件では、とくに段差の解消や手すりの設置、注意を促すポスターの掲示などを積極的に実施しましょう。
施工不良や経年劣化の深刻さが分かりにくい
パッと見ただけでは「普通」に見えるのに、内部が腐っていたり取り付けが弱かったりして、突然壊れるケースがあります。
たとえば、外階段の鉄骨部分。きれいに再塗装されていても、内側が酸化でボロボロになっていることがあります。
また、新築のときの手抜き工事(施工不良)で下地に規定外のものが使われていた……なんてことも。これらは、事故が起きて初めて「危なかったんだ」と気づくことが多い、怖いパターンです。
見た目のきれいさだけで判断せず、定期的に専門家にチェックしてもらい、見えない部分の異常を早めに見つけることが大切です。
管理者や利用者の「慣れ」で見落とされやすい
毎日見ている場所だと、少しずつの変化に目が慣れてしまい、「これくらい大丈夫だろう」と油断してしまいます。不具合に気づけなくなるケースもあります。
エレベーターから異音がする、自動ドアの反応が少し悪い、外壁のタイルが浮いているように見える ⸺ 最初は気になっても、毎日見ていると「いつものこと」になってしまいますよね。
でも、それは事故の兆候かもしれません。小さな異常でも早めに修理したり、入居者からの「ちょっと調子悪いかも」という声を無視せずに対応したりすることが大切です。
賃貸物件で事故が多い代表的な設備3選

では、具体的にどんな場所で事故が多いのでしょうか?
事故が起こりやすい場所を理解しておくと、日ごろから注意したり、点検の回数を増やしたりして対応できます。
とくに気をつけたい「3つの設備」をピックアップしました。
浴室まわり|段差や温度差が高齢者の事故につながる
住宅の中で事故が多い場所のひとつが「お風呂」です。滑って転ぶだけでなく、温度の変化で体調を崩す事故も起きています。
濡れると滑りやすくなる床だけでなく、「ヒートショック」にも注意が必要です。冬場に寒い脱衣所から熱いお風呂に入ると、血圧が急激に変化して倒れてしまうのです。
また、昔ながらのお風呂は洗い場と浴槽の段差が高く、またぐときにバランスを崩して転倒するケースもあります。
「滑りにくい床材にする」「手すりをつける」「洗い場と浴槽の段差が低いお風呂にする」「できるだけ断熱性を高める」など、入居者の安全を守る工夫が必要です。
階段|施工不良と築古物件はとくに注意が必要
階段からの転落は、大きなケガにつながりやすい事故です。とくに古い物件は、階段や手すりの不具合に注意しましょう。
古いアパートだと、階段が急だったり足の踏み場(踏面)が狭かったりして、踏み外しやすい場合があります。
また、手すりがグラグラしているのに放置されていると、体重をかけた瞬間に外れてしまい、大きな事故につながります。雨の日に滑りやすくなる階段も危険ですね。
「滑り止めテープを貼る」「手すりのガタつきはすぐに修理する」「明滅している照明はすぐに替える」など、転倒や落下の対策を徹底しましょう。
自動ドア|子どもの衝突事故や挟まれ事故に注意
便利な自動ドアですが、誤作動や駆け込みによって、子どもが挟まれたりぶつかったりする事故が起きています。
自動ドアのセンサーは万能ではありません。子どもが斜めから急に走ってくると、センサーが反応しきれずにドアが開かないことがあります。
小さなお子さんが開いたドアのレールの上で立ち止まり、挟まれてしまうケースもあります。指を隙間に挟んでしまう事故も、管理会社としてはとても心配ですよね。
センサーの点検や感度調整をプロに任せること。そして「ドアの近くで遊ばない」「ドアの間で立ち止まらない」といった注意書きを見えやすい場所に貼ることが効果的です。
事故・クレームを防ぐための管理と対応のポイント

事故が起きると、入居者が痛い思いをするだけでなく、管理会社やオーナーも責任を問われることがあります。
トラブルを防ぐために、どう管理・対応すればいいのでしょうか?主なポイントを3つご紹介します。
優先順位は「危険度 × 事故が起こりそうな可能性」で考える
全部の不具合を一度に直すのは、金銭的にも時間的にも大変です。そこで「どれくらい危険か」と「どれくらいの確率で事故が起きそうか」を掛け合わせて優先順位を考えてみましょう。
たとえば、「毎日みんなが通る廊下の床が抜けそう」なら「リスク」も「使用頻度」も高いため、最優先で直すべきです。放置するとすぐに大事故につながるでしょう。
一方で、「年に数回しか使わない倉庫の照明が暗くなった」なら、「リスク」も「使用頻度」も低いのであと回しにしても大丈夫かもしれません。このように冷静に判断することが大切です。
物件全体を見渡して、「どこが一番危なくて、よく使われる場所か?」を考え、重大な事故につながりそうな場所から順番に直していきましょう。
万が一事故が起きても「管理不備」が問われにくい状態とは
もし事故が起きても、「管理会社やオーナーはやるべきことをやっていた」と証明できれば、責任を問われない(または軽く済む)ことがあります。
一番まずいのは「危ないと知っていたのに放置する」ことや「明らかに危険な状態を認識していない」ことです。 いわゆる「善管注意義務」を果たせていません。
逆に「定期的に点検していた記録」や「メンテナンスの記録」が残っていれば、「私たちは安全のために努力していました」という証拠になります。
点検の日付や内容を記録に残す、修理の履歴を保存するなど、「きちんと管理していた証拠」を常に残せる仕組みを構築しましょう。
迷ったときは早めに専門家に相談する
自分だけで「多分大丈夫だろう」と判断するのは危険です。判断に迷ったら、すぐにプロの知識を借りましょう。
建物の構造や法律のことは、専門家でないと分からないことも多いですよね。「このヒビ割れは危険なのかな?」と迷ったままにしておくと、あとで大きな問題になるかもしれません。
早めに相談すれば早めに対応でき、修繕費の低減につながる場合もあります。建築士やリフォーム会社など、いざというときに相談できる専門家の連絡先リストを作成しておきましょう。
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