高齢の入居者を増やすには?解消すべき不安と具体的な対応策を解説

高齢の方からの入居申し込み……ちょっと怖いなぁ」と、悩んでいませんか?じつは、多くの賃貸オーナーが同じ悩みを抱えています。

でも、街を見渡せば元気なシニアの方ばかり。人口減少と少子高齢化が進む日本で、空室を埋めるカギは「高齢者」⸺ と言っても過言ではないでしょう。

本稿では、高齢の入居者を増やす前に知っておきたい「高齢者の不安」や、その対応策をご紹介します。オーナーさまの不安解消にもつながりますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

賃貸経営が「高齢者市場」を避けて通れない理由

賃貸経営が「高齢者市場」を避けて通れない理由

「若い人が入ってくれるのが一番いいんだけど……」⸺ その気持ち、よく分かります。

しかし、これからの時代、若い人だけを待っていても空室は埋まりにくくなっていくのは目に見えています。

まずは、賃貸業界の「今」をちょっと覗いてみましょう。

賃貸市場の動向

日本は今、若い人が減って、お年寄りが増える「超高齢社会」です。それに合わせて、一人暮らしをする高齢者がどんどん増えています。

参考:内閣府「高齢社会白書」

また、昔は「持ち家」が当たり前でした。しかし、超高齢社会の今は「便利なマンションへ引っ越したい」「広すぎる家は手放したい」と賃貸へ移るシニアの方も増えています。

つまり、お部屋を探している人の主役が「若者」から「シニア」へ交代している最中、と言えるのが現在です。

「高齢者はリスク」と避けるのではなく、「大切なお客さま」として向き合う準備を始めましょう。

現状の問題と課題

現在、借りたい高齢者はたくさんいるのに、借りられるお部屋が足りていません。高齢者というだけで「借りにくくなる」のが現状です。

では、なぜ貸さないのでしょうか?⸺ それは、オーナーが何かあったときの対応を心配しているからです。

「滞納されると困る」「部屋で倒れられたらどうしよう」という不安が先に立ち、具体的な対策をしないまま「とりあえず断ろう」となってしまっているケースが少なくありません。

実際、国土交通省の調査によると、約7割のオーナーが高齢者に貸すことに「拒否感がある」と回答しています。

参考:国土交通省「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討状況について」

漠然と怖がるのはもうおしまいにする時期に来ています。貸し手の不安の「正体」を知り、ひとつずつ解決策を用意していきましょう。

高齢者市場への対応は「持続可能な経営」への投資

「高齢者の受け入れ」は、決してボランティアや慈善事業ではありません。これからの日本で賃貸経営を続けていくための、重要な「投資」です。

「断る理由」を探すのをやめて、「どうすれば安心して住んでもらえるか」を考えなければいけないフェーズに来ています。

しっかりとした備えがあれば、高齢の入居者は、長く住んでくれるとても優良なパートナーになります。ぜひ今日から、新しい入居者を迎える準備を始めてみてください。

高齢者は賃貸に対してどんな不安を抱いているのか

高齢者は賃貸に対してどんな不安を抱いているのか

不安なのは貸す側だけではありません。じつは、お部屋を探している高齢者も、大きな不安を抱えて不動産会社のドアを叩いているのです。

高齢者の心の中を知ることで、解決のヒントが見えてきます。

契約前の不安:断られることへの恐れ

高齢者が一番怖いのは、「年齢を理由に入居を断られること」です。

想像してみてください。何十年も真面目に働いてきたのに、いざ部屋を借りたいと思ったら「あなたは年寄りだからダメです」と言われる場面を。

これはとてもショックです。「自分は社会に必要ないのかな」と自信をなくしてしまいます。「どうせまた断られる」と諦めモードになる方も少なくありません。

まずは「うちは高齢の方も大歓迎ですよ!」という姿勢を見せてあげることが大切です。それだけで、高齢者はホッとされます。

入居後の不安:認知機能の低下や孤独死

無事に入居できたとしても、「一人で倒れたらどうしよう」「認知症になったら追い出されるのかな」という心配はずっと消えません。

若い頃と違って、健康の不安は切実です。「誰にも気づかれずに死んでしまうかも」という恐怖は、じつはオーナー以上に、高齢者が強く感じていることなのです。

ただ部屋を貸すだけでなく、「ここなら安心して暮らせる」と思ってもらえるような見守りの仕組みが必要です。

高齢者の不安を解消するために賃貸オーナーが備えたいこと

高齢者の不安を解消するために賃貸オーナーが備えたいこと

ここからは、高齢者の不安を解消するために賃貸オーナーが備えたいことをご紹介します。

「契約」と「入居後の生活」、この2つのタイミングでしっかり備えをしておけば、不安のもととなるリスクが小さくなります。

「契約リスク」を乗り越える保証・契約の仕組み化

親戚などの「個人の保証人」に頼る時代は終わりました。

今は、国が用意した認定制度や仕組みを使ってリスクを機械的にカバーすることが、安定経営のカギになります。

オーナーが単独でリスクを負うのではなく、外部サービスと連携することでリスクを分散し、契約のハードルを下げることができます。

▼保証人問題への対応

家賃保証会社への加入を必須にしましょう。高齢者でも、保証会社を利用することで契約が可能になり、オーナーにとっても家賃滞納リスクを軽減できます。

国が認定した「認定家賃債務保証業者」は、高齢者などの「要配慮者」の保証を原則断りません。この認定業者の利用をオーナーは活用するとよいでしょう。

参考:政府広報「改正住宅セーフティネット法がスタート」

▼任意後見制度の活用

任意後見制度とは、元気なうちに「将来、自分の代わりに家賃の支払いなど大切なことを担当してくれる人」を決めておく公的な仕組みです。

入居中に認知症などで判断能力が落ちてしまうと、家賃の振り込みや解約といった重要な手続きができなくなってしまう恐れがあります。これがオーナーにとって大きな不安になります。

任意後見制度について入居者から相談があった際や、制度の案内が必要になった際に、適切な専門家につなげられる連携体制を整えておきましょう。

厚生労働省「任意後見制度とは」

▼残置物の扱いの明確化

2025年10月のセーフティネット法改正により、入居者が亡くなったあとの部屋の荷物(残置物)の処理について、あらかじめ契約で約束しやすくなりました。

オーナーが一番恐れる「孤独死のあとの片付け」リスクが、この仕組みを使うことで軽減されます。事前に専門の業者を決めておくことで、次の入居者募集までの時間を大幅に短縮できます。

参考:国土交通省「住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律について」

家賃滞納と認知症、そして残置物のリスクが公的な仕組みでカバーできることを、オーナーと管理会社で共有しておくことが大切です。

「何かあったら親戚に電話」ではなく、「保証会社と制度で解決」というルールを契約に盛り込んでおくと安心です。

「入居後リスク」を低減する安心サポート体制の構築

入居後の孤独死や急病といった緊急時の対応は、高齢者とオーナー双方にとって大きな不安のひとつです。

倒れたあと、発見が遅れるのが一番のリスクです。しかし、24時間誰かが見張っているわけにはいきません。

そこで今は、センサーや見守りサービスが利用されています。早期発見ができれば、助かる確率がグンと上がります。

▼見守り・緊急時対応体制を構築する

住宅セーフティネット法の改正で、「居住サポート住宅」という新しい仕組みがスタートしました。

これは、地域の居住支援法人などの福祉のプロが「見守り」や「生活支援」をしてくれる住宅のことです。

参考:国土交通省「居住サポート住宅」

この住宅に登録すると、高齢者の安否確認や見守りを、管理会社やオーナーではなく、専門の法人が担ってくれます。改修費(バリアフリー等)の補助金も活用できます。

▼問題が発生したときの初期対応を明文化しておく

「入居者が倒れた」「連絡が取れない」といった緊急時の初期対応マニュアルを作成しておくと、いざというとき迅速に対応できます。

警察・消防・居住支援法人への連絡ルートを整理し、オーナーと管理会社で手順を共有することで、もしものときの不安を減らすことができます。

「高齢者が安心して過ごせる物件」としてアピールすれば、他の物件との差別化にもなります。

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