空室対策に効く、賃貸マンション【専有部分】の人気設備ランキング

「全国的に人気の設備を知ったところで、うちの地域にも当てはまるかわからない」「人気の設備はすぐにみんな導入するので、結局差別化につながらない」―― そうお考えではないでしょうか。

確かに、そのとおりです。空室対策で新たに設備を導入するなら、地域やターゲットに合うものの中から、差別化につながるものを選びたいですよね。

しかし、その前にどんな設備が人気なのか知っておくことが大切です。「うちは独身男性がターゲットだから、きっとこれがいい」と想像で選んでしまうと、実相から外れてしまいかねません。

本稿では、賃貸マンション専有部分の人気設備や、人気になっている背景をご紹介します。顧客ニーズの把握に、お役立てください。

なお「共有部分のランキング」については以下の記事をご覧ください。

空室対策に効く、賃貸マンション【共用部分】の人気設備ランキング

目次

ファミリー向けマンション人気設備ランキング(専有部分)

ファミリー向けマンション人気設備ランキング

『週刊 全国賃貸住宅新聞』が「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居者が決まる」ランキングを公表しています。

本稿ではこのランキング(2021年度)をもとに、専有部分(お部屋内)で利用するものを抜き出しご紹介したいと思います。

参考:「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」2021人気設備ランキング ~ランキング表編~

まずは、ファミリー向けマンションの人気設備からご紹介します。

先述のランキングでは、トップ10内に専有部分で利用するものが6つ登場します。すべてご紹介しましょう。

6位:高速インターネット

第6位は「高速インターネット」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは8位)。コロナ禍で動画視聴やオンライン会議などが増え、良質なネット環境が必須になっていることの現われでしょう。

とは言え、テレビやパソコンの所有率・利用率は下がりつつあります。一方、スマートフォンの所有率・利用率は上がり、モバイル通信の高速化やデータ容量の大きいプランが整ってきています。

今後、自室内引込の手配やプロバイダー契約が必要な「高速インターネット」の需要が、どれくらい伸びるか不明です。ここからどのくらい順位が変動するのか、注目の設備ではないでしょうか。

そう考えると、競争力を確保できるのは「インターネット無料+高速のWi-Fi」になるのかもしれません。

5位:ホームセキュリティ

第5位は「ホームセキュリティ」です (共用部分と専有部分をあわせたランキングでは7位)。一人暮らしの女性や子どもがいるファミリーにとって、住まい探しで気になるポイントのひとつですよね。

じつは、ホームセキュリティは女性や子どもがいるファミリーだけでなく、高齢者にもメリットがあるサービスです。火災やガス漏れを感知したり、緊急時に救急等の対応をしたりしてくれます。

今後、高齢者を受け入れていくご予定の物件は、前向きにご検討いただくとよいのではないでしょうか。なお、防犯対策のうちニーズの観点から優先度が高いものは以下のとおりです。

  • モニター付きインターホン
  • 防犯性が高い玄関の鍵(ツーロック、ディンプルキーなど)
  • 室内干しができる設備(室内物干し、浴室乾燥機など)

上述のものを優先して、ホームセキュリティは後回しにしてもよさそうです。

とくに、モニター付きインターホンは「この設備がなければ入居が決まらない」設備ランキングで1位となっています。まずは、モニター付きインターホンからご検討ください。

参考:独立行政法人建築研究所「賃貸集合住宅の防犯に対する女性の意識調査報告書」

4位:浴室換気乾燥機

第4位は「浴室換気乾燥機」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは6位)。

1990年代に共働き世帯が専業主婦世帯を超え、今では7割近くが共働きです。そんな共働き世帯の強い味方が、浴室換気乾燥機。あると重宝しますよね。

参考:令和2年版厚生労働白書「夫婦の働き方は、専業主婦世帯中心から共働き世帯中心へと転換」

浴室換気乾燥機があれば、天気や時間を気にすることなく洗濯物を乾かせます。花粉や黄砂、PM2.5が気になる方でも安心。「浴乾が付いてない部屋は借りない」という方もおられることでしょう。

一方、ガス料金や電気料金の上昇で天日干しも見直されています。今後の順位がどうなるのか、エネルギー価格の影響を受けるかもしれません。

3位:追いだき機能

第3位は「追いだき機能」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは5位)。

設備は、借主が変更可能なもの(家電や照明など)より借主が変更できないもの(水回り設備やモニター付きインターホンなど)が整っているほど、家賃にプラスの影響があります。

追いだき機能も水回り設備のひとつとして、ファミリーに人気です。浴室乾燥機と同様に「追いだき機能がない部屋は候補から除外」という方が少なくありません。

建築主から見ると「給湯器の価格が上がるくらいなら、差し湯で十分」と感じますが、借主から見ると「追いだきできないなんて前時代的!不便すぎる!」と感じるのでしょう。

2位:システムキッチン

第2位は「システムキッチン」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは4位)。ステイホームの影響でしょう。「ガスコンロ (2口/3口)」もニーズが高まっています。

システムキッチンはコロナ禍以前から根強い人気がありましたが、コロナ禍で順位を上げています。ファミリー・単身問わず自炊する方が増え、高性能のキッチンが求められているようです。

システムキッチンは、インテリアの質にも影響します。機能性だけでなく、デザインにもこだわって導入したいところです。

1位:インターネット無料

第1位は「インターネット無料」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでも1位)。近年ずっと、不動の1位ですね。

インターネットを無料で利用できると、実質家賃が下がります。ですから、周辺家賃の相場より高くても、借主は損失を感じにくくなります。

インターネット回線を自分でお部屋に引き込んだり、プロバイダーと契約したりするのは、案外面倒です。それがなくなることも、借主にとっては利得になるでしょう。

もしまだインターネットを完備して無料化していないなら、他の設備より先に導入を検討すべきでしょう。ただし、回線の質が重要である点に留意が必要です。

単身者向けマンション人気設備ランキング(専有部分)

単身者向けマンション人気設備ランキング

つづいて、単身者向けマンションの人気設備をご紹介します。

先述の「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居者が決まる」ランキングでは、トップ10内に専有部分で利用するものが6つ登場しますので、全部ご紹介しましょう。

6位:ウォークインクローゼット

第6位は「ウォークインクローゼット」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは10位)。ミニマリストが注目されていますが、衣類や荷物が多い方が少なくないのでしょう。

ウォークインクローゼットは、近年、ファミリーだけでなく単身者からも要望があります。賃貸物件検索サイトでも、特集が組まれているほどです。

防災意識の高まりもあり、防災グッズを常備したりローリングストックを実践したりできるウォークインクローゼットは、今後も注目されるかもしれませんね。

5位:システムキッチン

第5位は「システムキッチン」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは7位)。

先述のとおり、コロナ禍以前からニーズが高まっていましたが、コロナ禍で拍車が掛かっています。単身者も自炊する方が増えましたので、料理しやすいキッチンが求められているようです。

とは言え、単身者の自炊はファミリーほど家計の節約につながらず、かつ時間も奪われます。おひとりさま用のおいしい惣菜が手軽に買える昨今、コロナ後も需要がつづくか注目です。

4位:独立洗面台

第4位は「独立洗面台」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは6位)。

今回は設備に焦点をしぼりましたが、間取りで見ると「バス・トイレ別」が当たり前と考えている借主が少なくありません。

ですから、風呂と洗面台も別であることを望んでいる借主が多く、とくに女性はこの傾向が強いでしょう。ターゲットが女性であれば、まず検討したい設備です。

3位:浴室換気乾燥機

第3位は「浴室換気乾燥機」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは5位)。ファミリー向けマンションでも4位にあげましたが、単身者向けマンションではさらにニーズがあります。

浴室換気乾燥機があれば、天気や時間を気にすることなく、数時間で洗濯物を乾かせます。外干ししづらい下着などを浴室で干せるのも、見逃せない長所ですね。

2位:高速インターネット

第2位は「高速インターネット」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは4位)。2021年に初登場の項目ですが、さっそく高順位にランクインしました。

動画コンテンツやオンラインゲーム、テレワークが普及した昨今、快適な高速インターネットは「当たり前の設備、なくてはならない環境」と言えそうです。

1位:インターネット無料

第1位は「インターネット無料」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでも1位)。単身者向けマンションでは、インターネット関連が1位・2位となりました。

どちらも「この設備がなければ入居が決まらない」と考えている管理会社・不動産仲介会社が少なくありません。それほど導入が難しいものではありませんので、すぐに検討したいところです。

問題は、競合も容易に導入できることです。素早く普及が進めば、すぐに差別化要素にできなくなります。その先の打ち手も考えておく必要があるでしょう。

賃貸管理のご担当者さまのための、お悩み解決サービス

ご紹介した設備は、既存物件でも設置可能なものがほとんどです。費用もさほど高額でないものが多く、未設置の場合は、空室リスクを避けるためにも導入のご検討をおすすめします。

とは言え、全部一度に導入するのは難しいでしょう。優先順位付けが必要です。

しかし、賃貸管理のご担当者さまはやる仕事が多く、本音を言うと、物件に適した優先順位を考える余裕がない方が少なくないでしょう。―― そんなお悩みを弊社REPAIR(リペア)が解決します。

REPAIRには、原状回復から大規模リノベーションまで、年間10000件を超える工事実績と豊富な経験があります。この実績と経験を活かし、賃貸管理のご担当者さまに空室解消の解決策をご提案できます。

空室対策でお悩みの方は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。

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