空室対策に効く、賃貸マンション【共用部分】の人気設備ランキング

コロナ禍を経て、人々の生活が大きく変化しました。あなたもこれまでより在宅時間が長くなったり、電子マネーを積極的に使い始めたりされているのではないでしょうか。

感染症が収束しても、もとの環境に戻ることはもうないでしょう。賃貸マンションに求められる設備もコロナ禍以前と変わってきていて、一部のトレンドは今後も続くと思われます。

本稿では、ウイズコロナの時代に、賃貸マンション共用部分ではどのような設備が人気なのかご紹介します。背景や顧客ニーズの把握に、お役立てください。

なお「専有部分のランキング」については以下の記事をご覧ください。

空室対策に効く、賃貸マンション【専有部分】の人気設備ランキング

目次

ファミリー向けマンション人気設備ランキング(共用部分)

ファミリー向けマンション人気設備ランキング(共用部分)

『週刊 全国賃貸住宅新聞』が「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居者が決まる」ランキングを公表しています。

本稿ではこのランキング(2021年度)をもとに、共用部分(お部屋外)で利用するものを抜き出しご紹介したいと思います。

参考:「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」2021人気設備ランキング ~ランキング表編~

まずは、ファミリー向けマンションの人気設備からご紹介します。

先述のランキングでは、トップ10内に共用部分で利用するものが4つ登場します。すべてご紹介しましょう。

4位:24時間利用可能なゴミ置き場

第4位は「24時間利用可能なゴミ置き場」です (共用部分と専有部分をあわせたランキングでは10位)。

「いつでもゴミ出しが可能」な状態は、ルールとしては単純明快です。入居者にとってストレスが少なく、かつ大変便利でしょう。

ゴミ置き場を入居者のみが使える形に整え「24時間利用可能」にすると、以下の効果が期待できます。

  • ルールを守らないゴミ捨てが減る
  • 部外者による不法投棄がなくなる
  • 換金できるゴミの持ち去りがなくなる
  • キレイな状態に維持しやすくなる
  • 内見者に与える印象がよくなる

マンションのゴミ置き場は、入居者のモラル水準が現れやすい場所です。内見者もそれを知っていますので、ゴミ置き場の印象や使い勝手がよいと成約しやすくなります。

また、既存入居者の解約抑止効果も期待できます。ただし、24時間いつでも気持ちよく利用できるように、さまざまな工夫が必要になるでしょう。

たとえば、以下もあわせて検討する必要があります。

  • ゴミ置き場用の照明
  • 扉開閉時の騒音の抑制
  • ゴミ置き場内の水栓
  • 滑りにくい床
  • 放火・ニオイ・害虫・害獣の対策
  • ゴミ出しルール(粗大ゴミNG等)
  • 行政との連携(ゴミの収集・搬出)

これらが整っていないゴミ置き場は、24時間利用可能な形で運用するには不安がともないます。大事故や、既存入居者の不満につながることも考えられます。

必要な準備をしっかり整えて導入したいところです。

3位:ガレージ

第3位は「ガレージ」です (共用部分と専有部分をあわせたランキングでは9位)。車離れが加速していると言われて久しいですが、しっかりランキングに入っています。

生活するうえでどうしても車が必要な方や、ご趣味で快適なカーライフを楽しみたい方にとっては、ガレージ付きの物件がベターなのでしょう。

とは言え、さまざまな調査から「若者の車離れ」が読み取れます。とくに、公共交通機関やカーシェアサービスが発達した都市部では、車を所有する合理的な理由は少ないでしょう。

参考:「若者の車離れ」に関する現状分析と打開可能性(国立国会図書館デジタルコレクション)

そもそも、需要があるとは言え、既存物件ではガレージの新規導入や増床は困難です。「隣の敷地が売りに出ている」等の幸運に恵まれた方のみ、積極的にご検討されてみてはいかがでしょうか。

2位:宅配ボックス

第2位は「宅配ボックス」です (共用部分と専有部分をあわせたランキングでは3位)。ネットショッピングの普及で、近年高いニーズを維持しています。とても便利ですよね。

宅配ボックスは、利便性や衛生面だけでなく、セキュリティーの観点から考えても有用です。女性がひとりでいるときや子どもだけで留守番しているときでも、安心です。

なお、宅配ボックスは「こどもみらい住宅支援事業 (リフォーム)」で補助金の対象になっています。要件がふたつありますので、ご紹介しておきましょう。

  • リフォームする住宅の所有者等であること
  • こどもみらい住宅事業者と工事請負契約等を締結し、対象となるリフォーム工事をすること

「リフォームする住宅の所有者等」とは「リフォーム住宅の所有者(法人を含む)およびその家族、賃借人、管理組合・管理組合法人」を指します。

「対象となるリフォーム工事」は以下のとおりです。

A1、開口部の断熱改修いずれか必須
2、外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
3、エコ住宅設備の設置
B4、子育て対応改修Aと同時に行う場合のみ補助対象
5、耐震改修
6、バリアフリー改修
7、空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
8、リフォーム瑕疵保険等への加入

このうち「子育て対応改修」で宅配ボックスが対象となります。補助金額は、共同住宅の場合「10,000円/ボックス (最大20万円)」となります。

「A」に含まれるリフォームもご検討でしたら、チャンスです。

参考:こどもみらい住宅支援事業 (リフォーム)
参考:LIXIL「宅配ボックス 子育て対応改修」

1位:オートロック

第1位は「オートロック」です (共用部分と専有部分をあわせたランキングでは2位)。年々防犯意識が高まる中で、ずっと訴求力を維持している設備の代表ですね。

オートロックがあれば、不審者の侵入や訪問営業等のセールスを減らせます。とは言え、以下のようなデメリットもあり、注意が必要な設備です。

  • 解錠の手間が増える
  • 新聞をエントランスまで取りに行く必要がある
  • 家賃が高くなる
  • 既存の物件は導入しづらい

「この設備がなければ入居が決まらない」ランキングにもランクインしているものの、順位はそれほど高くありません (9位)。オートロックに過度の期待はしていない様子がうかがえます。

人気がある一方で「家賃が上がるくらいなら、なくていい」と考えている消費者も少なくありません。モニター付きインターホンや安全性の高い玄関の鍵、室内干し設備のほうが優先度は高いでしょう。

単身者向けマンション人気設備ランキング(共用部分)

単身者向けマンション人気設備ランキング(共用部分)

つづいて、単身者向けマンションの人気設備をご紹介します。

先述の「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居者が決まる」ランキングでは、トップ10内に共有部分で利用するものが4つ登場しますので、全部ご紹介しましょう。

4位:防犯カメラ

第4位は「防犯カメラ」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは9位)。防犯カメラがあると以下の効果が期待できますので、賃貸経営にとってプラスに働くでしょう。

  • 女性の入居者が増える
  • 車へのイタズラの減少
  • ゴミの不法投棄の減少

とは言え、上述のような安心が得られる反面、プライバシーの侵害が懸念されます。設置場所や撮影範囲、映像管理など、運用には細心の注意が必要です。

なお、安心とプライバシー保護の両立を図るため、公共の防犯カメラに関するガイドラインを策定している自治体があります。参考になりますので、ご覧いただくとよいでしょう。

参考:東京都「住宅における犯罪の防止に関する指針」

なお、防犯カメラは「画像が鮮明で、夜間撮影ができて、画像を一定期間保存できるもの」を選んでいただくとよいでしょう。

3位:24時間利用可能なゴミ置き場

第3位は「24時間利用可能なゴミ置き場」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは8位)。

単身者は、ゴミ出しの時間に自分が在宅していないとゴミを出せません。いつでも出せるようにゴミ置き場が整えられていると便利で、ファミリー向け物件以上にニーズがあります。

2位:オートロック

第2位は「オートロック」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは3位)。2020年は1位でしたが、コロナ禍の影響か、後述の宅配ボックスと順位が入れ替わりました。

女性の単身者が多いマンションにおすすめですが、既存物件に導入しづらいところが難点です。防犯力を高めたいなら、防犯カメラやモニター付きインターホンを優先してもいいでしょう。

1位:宅配ボックス

第1位は「宅配ボックス」です (専有部分と共用部分をあわせたランキングでは2位)。不在時でも在宅時でも、配達員に直接会わずに荷物を受け取れる宅配ボックスは、単身者にとって必須ですね。

ちなみに、BtoC(企業と消費者間の取引)におけるEC化率(ECの売上÷全売上×100)が、2020年に一気に伸びました。メルカリ等の影響で、CtoC(消費者同士の取引)商取引も増えています。

今後もこの勢いが続くと思われますので、しばらくは宅配も増え続けるでしょう。いずれ宅配ボックスは、ポストと同様に「あって当たり前」になるかもしれません。

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共用部分の人気設備をご紹介しました。ランキングを見ていただくと分かるとおり、感染症対策やセキュリティー対策ができる設備の関心度が高くなっています。

中には、既存物件では導入が困難なものもあります。しかし、ニーズの根本は「感染症対策やセキュリティー対策」ですから、他の設備でニーズを満たすことも可能でしょう。

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