ニュースなどで「人口減少」というワードが登場するようになって久しいです。日本では、2008年頃をピークに人口が減少に転じました。そうなると、心配になるのが経済の規模です。
一般的に、人口が増えれば経済の規模は大きくなります。世界を見渡せば、明らかですね。一方、日本のように人口が縮小していく国は、経済規模も縮小して、しばらく競争が激化するでしょう。
そんな「人口減少国・日本」で、これから何に注力すれば事業を維持できるのでしょうか?—— 日本の人口の減少状況と、これからの賃貸経営に必要なことを見ていきましょう。
目次
人口と世帯数の推移
日本の総人口は減少傾向にあるものの、世帯数は必ずしも同じように減少しているわけではありません。とは言え、世帯構成は少しずつ、しかし確実に変化しています。
そのような変化を捉え、適切な戦略立案と市場ニーズへの対応をおこなうことで、不動産投資で成功できる可能性があります。
日本の総人口は減少傾向にある
まずは、日本の人口の推移を把握してみましょう。今後の人口の推移予測を知っておくことで、正しい危機感を持って、的を射た対策を練ることができるでしょう。
▼日本の総人口は、2050年代には1億人を割る
日本の総人口は、2023年10月1日現在、約1億2435万人となりました。前年に比べ59.5万人少なく、13年連続で減少しています。
都道府県別に見ると、人口が増加しているのは東京都のみです。他の46道府県では人口が減少しており、そのうち38道府県では前年に比べ減少数が拡大しています。
このままの流れで行くと、日本の総人口は2050年代には1億人を割り、2070年には8,700万人に減少。2100年には、およそ6,300万人に半減すると推計されています。
▼少子高齢化の進行も止まらない
また、人口減少と同時に、少子化と高齢化が進行していきます。
- 少子化:子どもの数が減っている状態のこと
- 高齢化:高齢化率(人口全体に占める65歳以上の人の割合)が増えること
合計特殊出生率(1人の女性が一生のうちに産む子どもの平均の数)も下がり続けています。
統計を取り始めた1947年は「4.54」でしたが、2022年は「1.26」まで落ち込んでいます。日本が人口を維持するには「2.07」必要ですから、人口が減るのは自然な成り行きです。
参考:e-Stat「次別にみた出生数・出生率(人口千対)・出生性比及び合計特殊出生率」
高齢化率も、2020年の28.6%から、2070年には38.7%へと上昇すると見られています。つまり、じわじわと「2.6人に1人が、65歳以上」の社会になっていくのです。
▼人口減少や少子高齢化が進むと?
人口減少や少子高齢化が進むと、働く人の数や消費する人の数が減ります。生産される商品やサービスの量が減りますから、国全体の生産力も下がります。
商品やサービスを買う人も減りますから、企業の売り上げも下がります。一時的に競争が激化して、企業数が適正になるまで会社が減るため、経済全体が停滞しやすくなるでしょう。
地方では、お店や学校がなくなることもあります。税収が減り、公共サービスやインフラの維持も難しくなります。そうなれば、さらにその地域の人口減少に拍車がかかるでしょう。
参考:サービス施設の立地する確率が50%及び80%となる自治体の人口規模
そんな中、近年ではコンパクトシティ構想が注目され、徐々に進行しています。人口が減ったり高齢化が進んだりしている地域で、街をぎゅっとコンパクトにまとめようとしているのです。
人口減少が進む限り、ある程度のコンパクトシティ化は避けられません。それを見越して、経営戦略を練る必要があるでしょう。
世帯数は必ずしも減少していない
じつは、総人口が減少しているにもかかわらず、世帯数は増加しています。そうなる理由は、平均世帯人員、つまりひとつの家族にいる人数が減っているからです。
平均世帯人員は、2033年には2人を下回ると予測されています。2050年には1.92人になり、世帯の単独化がより顕著になりそうです。
世帯の単独化を背景に、世帯数は2030年まで増加を続け、5,773万世帯でピークを迎えると推計されています。そして、2050年には5,261万世帯まで減少が見込まれています。
参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計 (2024年推計)」
今後は、世帯数のうち、高齢者の単独世帯の占める割合が大きくなっていくとみられています。これまで主流だった核家族の割合が減少して、家族構成が多様化する見込です。
この流れの中で、賃貸経営者には以下のような準備や戦略が求められるのが、自然な成り行きでしょう。
- 単身世帯向け物件の充実
- 高齢者向け賃貸の整備
- 多様な家族構成に対応する物件提供
人口動態や世帯構造の変化に適応することは、持続可能な経営の鍵となります。市場動向を常に把握し、柔軟に対応する準備を進めることが重要です。
これからの賃貸経営に必要なこと
人口が減ったり高齢者が増えたりすると聞くと、賃貸経営はすごく難しそうに感じますよね。そんな日本で、これからの賃貸経営に何が必要なのでしょうか?
まずは、しっかり目の前の顧客のニーズと向き合うこと、そして以下の施策を実行していくことが競争激化への対応につながるのではないでしょうか。
- 経営にコミットする
- エリア戦略を見直す
- 差別化戦略を見直す
- リスクを管理する
順番に、詳しく解説していきます。
経営にコミットする
アパートを持っていたら家賃が入ってくる —— 昔は、そういうスタイルでもうまくいくことがあったかもしれません。しかし。今の賃貸経営はそれだけではダメでしょう。
今後の賃貸経営において、オーナー自身が経営にコミットすることがますます重要になると考えられます。具体的には、以下の3つの取り組みへのオーナーの主体的な関与が必要です。
- 事業家としての意識改革
- 顧客ニーズへの対応
- 経営の効率化やコスト管理
もしもオーナーが、ご自分のことを単なる《資産保有者》と考えているなら、「サービス業を営む《経営者》である」と考え方を改める必要があります。
また、入居者のライフスタイルや要望が大きく変化している最中ですので、これらを把握して、的確なサービスを提供することが求められます。
経営の効率化やコスト管理も、重要な課題になります。ITやAI関連の技術を活用してムダを省き、生み出した時間と資金を重要な施策に振り向けることが、競争力の維持につながります。
エリア戦略を見直す
一般的に、人口が減る地域は経済規模も縮小する傾向があります。いくら名経営者でも、人口が減る地域では収益を上げ続けるのに苦労するでしょう。
つまり「どうやって戦うかより、どこで戦うかが大事」ということです。今後はますます商圏選びが重要になりますので、人口動態に応じた物件の選定が成否を分けることも起こりえるでしょう。
日本全体では人口が減少していますが、地域ごとに見るとかなり差があります。各自治体が公表している人口動態調査などを参考に、人口減少率が低いエリアで戦うことが生存につながります。
差別化戦略を見直す
「人口減少率が低いエリアで戦えば、経営は盤石」というわけでもありません。そのようなエリアはプレーヤーも多く集まりますので、競争が激化します。
そこで重要になるのが差別化戦略 —— つまり、他の物件と違う「自分だけの強み」をつくることです。それがないと、価格競争に巻き込まれ、家賃を下げるしか方法がなくなります。
言い換えると、競合他社との違いをつくることが、競争下で収益を上げるポイントになります。このような「差別化」には、おもに以下のふたつのアプローチがあります。
- 独自のポジションを取る
- 他社と違った強みを持つ
少し、説明を補足します。
▼独自のポジションを取る
差別化のひとつめの方法は《独自のポジションを取る》です。何かの程度を他社よりも強化するのではなく、やらないことを決めるのが重要です。
たとえば「うちの物件は他の物件より内装がオシャレです」といった《程度》で差別化を図ろうとすると、すぐにマネされたり追いつかれたりしてしまいます。
好例をあげると、デルコンピューターは見込生産や外部チャネルの利用をやめ、受注生産と直接販売でポジションを取って差別化しています。
▼他社と違った強みを持つ
差別化のふたつめの方法は《他社と違った強みを持つ》です。強みは、他社が簡単にマネできないものである必要があります。
たとえば、Amazonはコモディティ商品を売っているので、ポジションで差別化できません。しかし、当日や翌日に配送できる物流で圧倒的な差別化を実現しています。
あなたの物件の差別化ポイントは、どこでしょうか?簡単に見つかるものではありませんが、それを考え続けるのが《経営》ではないでしょうか。
リスクを管理する
今後の賃貸経営においては、これまで以上にリスク管理の徹底が求められそうです。まず、あなたの物件を取り巻くリスクをリストアップしてみましょう。
たとえば、こんな感じでしょうか?
- 商圏の人口減少
- 空室率の上昇
- 賃料の低下
- 不動産価格の下落
- 金利の上昇
- 修繕・建築コストの上昇
- 災害
- 法改正
これらのリスクに適切に対応するための対策が不可欠です。場合によっては、出口戦略を考慮しておくことも必要でしょう。
変化の激しい時代は、継続してリスクに備え続けなければなりません。市場の変化に敏感になり、常に情報収集をおこなうことが大切です。
大家さま、管理会社さまにご提案!初期費用0円リノベで空室対策しませんか?
「また空室が出てしまった……。でもリフォームするお金もないし、どうしたらいいんだろう?」そんな悩みを抱えていませんか?―― そんな大家さま、管理会社さまにご提案があります。
弊社の「Re部屋」なら、初期費用0円でリノベーションを実施し、物件の価値を回復させることが可能です。さらに、サブリースプランを活用すれば、空室リスクも心配しなくて済むようになります。
物件の資産価値を守りながら、安定した賃貸収入を得ませんか?REPAIR(リペア)まで、お気軽にお問い合わせください。