閑散期の空室対策6選|GW前に実施しておきたい施策とは?

賃貸アパートや賃貸マンションでは、3月の繁忙期を過ぎた4月以降、一気に入居需要が落ち着き空室率が高まりがちですよね。しかし「閑散期だから何もできない」と諦めるのは禁物です。

見方を変えれば、工夫しだいでライバル物件との差をつけるチャンス。繁忙期直後のこの時期だからこそ実施できる工夫を凝らし、ゴールデンウィーク明けの閑散期までに空室を埋めることが重要です。

本稿では、ゴールデンウィーク前に実施しておきたい施策を6つご紹介します。閑散期の空室対策を探しておられる方のヒントになれば幸いです。

目次

物件の魅力を再評価し、向上させる施策

まずは《物件の魅力を再評価し、向上させる施策》を3つご紹介します。

  • なぜ繁忙期に決まらなかったのか、振り返る
  • 必要に応じて物件のメンテナンスや改修をおこなう
  • インターネット上の物件情報を更新する

それぞれ、詳しく解説していきます。

なぜ繁忙期に決まらなかったのか、振り返る

なぜ繁忙期に決まらなかったのか、振り返る

2~3月は、一般的に賃貸物件の入居希望者が最も多くなる時期です。この時期に空室が埋まらない場合、物件が持つ何らかの問題が明確になっている可能性があります。

見つけてもらうための工夫や決めてもらうための条件設定に、課題があるかもしれません。空室がなぜ埋まらなかったのかを、客観的に分析するところから始めましょう。

▼ますは、商圏とターゲット顧客をよく観察する

近年、めまぐるしく市場が変化しています。まずは、商圏をよく観察してみましょう。今、あなたの物件が向き合うべきターゲット顧客はどんな属性の人でしょうか?

ターゲット顧客に合わせて、賃料設定や内装・設備、募集広告の見せ方など改善できる余地がないか振り返ることも大切です。この作業を通じて、次にやるべきことが見えてくるはずです。

繁忙期に決まらなかった原因を特定し、対策を講じることで、空室期間の長期化を防げます。

▼閑散期だからこそ、関係者で腰を据えて話し合う

分析や対策検討においては、閑散期だからこそオーナー・管理会社・仲介会社が腰を据えて話し合うこともできます。市場動向や具体的な空室対策アイデアについて、丁寧に検討できるよい機会です。

仮に今回はすぐに満室とならなくても、関係者の連携強化や閑散期に講じた対策は、次の繁忙期で生きてくるのではないでしょうか。

▼空室を出さないための対策も検討する

長期目線では、空室を出さないための入居者フォロー(既存入居者の満足度向上)も空室対策になります。新規募集策だけでなく、退去防止策も実行し、空室期間の短縮に努めましょう。

次のチャンスをものにするには、埋まらなかった理由と埋めるための対策に丁寧に向き合うことが大切です。閑散期こそ、現在の施策を見直し、改善を図る絶好のタイミングです。

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必要に応じて物件のメンテナンスや改修をおこなう

必要に応じて物件のメンテナンスや改修をおこなう

繁忙期に埋まらなかった物件は、何らかの《魅力不足》に陥っているかもしれません。空室となっているあいだに、お部屋の魅力を高めてみてはいかがでしょうか?

大規模リフォームまでは難しくても、費用を抑えてお部屋の印象をよくする工夫は色々あります。

▼訴求力の落ちている箇所を改善する

たとえば、アクセントクロスは低コストでお部屋の雰囲気を一新できる典型例です。床材の劣化が目立つ場合、CFやフロアタイルに貼り替えると、比較的安価で見栄えを向上できます。

水まわり設備が古い物件なら、便座や水栓金具を顧客ニーズにあったものに交換するだけでも訴求力が上がります。宅配ボックスや高速インターネット回線の導入なども有効でしょう。

ただし、何に投資すべきかは事前にニーズ調査が必要です。昨今では、生成AIを活用すれば簡易的なニーズ調査が簡単にできます (たとえば、FeloのSNS検索)。

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可能なら、流行や競合物件が実施している対策もチェックしておきましょう。

▼閑散期でも、お部屋の状態をベストに保つ

空室が長引くほど、物件の印象は悪化しがちです。換気や簡易清掃を定期的におこない、ホコリ臭さやカビ臭が発生しないよう管理しましょう。

内見者は、細かなところまでじっくり見ています。お部屋の状態を常にベストに保つことが大切です。

設備の不具合が見つかったらすぐに修理し、内見時に悪い印象を与えないようにしましょう。

インターネット上の物件情報を更新する

インターネット上の物件情報を更新する

繁忙期を過ぎた4~5月は、お部屋探しをする人が減ります。少しでも露出機会をキャッチするため、ネット掲載情報が見過ごされないように、物件情報を最新にアップデートしましょう。

募集条件を変更した場合は、すぐ反映することが大切です。キャッチコピーに「☆GWキャンペーン実施中☆」など、時節に合った目を引く文言を入れることも有効です。

▼写真の質と量が重要

近年のマンション価格高騰の影響で、持ち家から賃貸に流れる人が増えています。家賃価格の高騰もあり、賃貸住宅にも「高品質」を求めるニーズが増え、物件の選別が進んでいるようです。

このような状況では、より写真の質と量が重要になります。写真のポイントをまとめておきましょう。

  • 晴れた日の昼間に撮影して、明るい雰囲気にする
  • 広角で撮ることで、お部屋を広く見せる
  • 室内の魅力が伝わる画像をできるだけ多く掲載する
  • リフォーム箇所はビフォーアフター写真を載せる

なお、写真はプロに撮影してもらうことをおすすめします。素人撮影では伝えきれない質感や光の入り方まで表現できるため、反響率アップに大きく寄与するでしょう。

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▼VR内覧や動画ツアーを公開するのも有効な連休対策

物件の魅力を最大限に伝えるため、インターネットでVR内覧や動画ツアーを公開するのも有力な手法です。

360度カメラで撮影した室内画像を用いれば、遠方にいて内見に来られない人にも臨場感ある内覧体験を提供できます。

募集条件と方法を見直す施策

つづいて《募集条件と方法を見直す施策》を3つご紹介します。

  • ターゲット層の再定義と募集チャネルの最適化をおこなう
  • ゴールデンウィーク中のお問い合わせ対応態勢を整える
  • 家賃設定や初期費用を再検討・調整する

それぞれ、詳しく解説していきます。

ターゲット層の再定義と主客チャネルの最適化をおこなう

ターゲット層の再定義と主客チャネルの最適化をおこなう

繁忙期後の空室対策において、ターゲット市場の再評価が重要です。入居希望者のニーズや動向は変化する可能性があるため、市場の変動に敏感であることが求められます。

閑散期には、《これまでターゲットにしていたセグメント以外の新しい層》を開拓することも有効です。《現在の入居者と異なるニーズを持つ顧客層》へのマーケティングを強化してみましょう。

▼募集条件を見直す

入居者ターゲットを広げるには、募集条件の見直しが有効です。新たな入居者を確保できる可能性が広がります。

たとえば、近年ペット共生ニーズが高まっており、《ペット可》にするだけで問い合わせ増につながる可能性があります (既存入居者への影響や内装・設備補強は要検討)。

《DIY可》といった入居者の裁量を広げることで、自分好みに部屋をつくりたい若年層にアピールできるケースもあります。壁紙変更程度を許可するところから始めてみてはいかがでしょうか。

短期契約など、期間の柔軟性を打ち出すのも、転勤族などには魅力的でしょう。

▼ネット上で安価に使える宣伝チャネルを活用する

賃貸探しにSNSを活用するケースも増え続けています。ターゲット層に合わせてXやInstagram、Facebookなどで物件情報を発信するのも、低コストでできる有効な認知向上策になります。

短いルームツアー動画を作成し、YouTubeやTikTokで物件の雰囲気を伝える方法もあります。とくに若年層や単身世帯がターゲットなら、見せ方しだいで大きな反響を取れる可能性があるでしょう。

SNS投稿では、反響があればすぐに返信し、内見希望につなげることが肝心です。費用を抑えたい小規模オーナーほど、インターネット上で安価に使える宣伝チャネルを積極的に活用すべきです。

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ゴールデンウィーク中のお問い合わせ対応態勢を整える

ゴールデンウィーク中のお問い合わせ対応態勢を整える

GW直前までは、ある程度の問い合わせが見込めます。この時期に迅速かつ丁寧な対応ができる体制を整えておくことは、成約の機会を逃さないために重要です。

4月中旬以降からGWにかけては、落ち着いて物件探しができる時期です。春から住み始めた物件や立地に不満を感じ「改めて住まい探しをしたい」という人も一定数います。

このニーズを逃さず取り込むために、GW期間中の内見対応をおこなえる体制を積極的に整えましょう。閑散期は問い合わせ自体が少ない分、希少な内見機会を絶対に逃さない意識が重要です。

▼オープンルームを開催する

物件によっては、GW期間にオープンルームを開催するのも効果的です。主に売買物件で用いられる手法ですが、賃貸物件でも集客効果を狙えるでしょう。

大切なのは、GWの動きやすい時期に物件の露出を最大化し、見てもらう機会をひとつでも多く創出することです。休日で時間に余裕のある人々に、見学してもらえる機会を提供しましょう。

夜間照明をつけた内見やオンライン内見など、連休中のライフスタイルに合わせた柔軟な内見サービスを提供するのも差別化になります。

▼ホームステージングを活用する

モデルルームのように簡単に家具を配置したり、観葉植物やインテリア小物で演出したりしておくと印象がよくなります。

このような手法は「ホームステージング」と呼ばれます。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

ホームステージングとは?費用相場や導入のメリット・デメリット

家賃設定や初期費用を再検討・調整する

家賃設定や初期費用を再検討・調整する

繁忙期に強気の賃料設定をしていた物件は、4月中旬を過ぎたら賃料を適正水準まで見直すことを検討しましょう。

繁忙期明けは新規入居希望者が減るため、相場より割高なままでは敬遠されてしまいます。周辺相場や競合物件も踏まえて、慎重に家賃を設定し直してみてはいかがでしょうか。

ただし家賃の値下げだけに頼ると、既存の入居者からの値下げ要求や新規入居者の質の低下、立ち退き交渉の困難化といった問題も起こりうるため注意が必要です。

▼初期費用の減額

家賃の値下げを避けたい場合は、契約時の初期費用の減額が効果的です。初期費用のハードルが下がれば、予算に限りのある入居希望者にもアピールできます。

たとえば、以下のような施策が有効ではないでしょうか。

  • 礼金や敷金を下げたりゼロにしたりする
  • フリーレントを付与する

家賃交渉にもある程度応じる余地を持たせておくと、契約率アップにつながります。

ただし、一度下げた賃料をあとで上げるのは難しいため、可能な限り時限的な特典にすることが望ましいです。

▼期間限定の入居キャンペーン

閑散期だからこそ、契約促進のための期間限定キャンペーンも検討したいところです。例をあげてみましょう。

  • ◯月末までの契約で〇〇プレゼント
  • GW期間中の契約で初月家賃半額

キャンペーンは、新しい顧客層を取り込む際にも有効です。繁忙期明けの春から初夏に、特定層向けの特別なプロモーションや割引を用意してみましょう。

集客は、行動と検証を繰り返した数がものを言います。目の前の問題から課題を発見し、行動と検証を繰り返せば、おのずと空室率の改善につながるでしょう。

賃貸管理のご担当者さまのための、お悩み解決サービス

賃貸管理のご担当者さまはやる仕事が多く、本音を言うと、空室対策のアイデアの提案を考える余裕がない方が少なくないでしょう。そんなお悩みを弊社REPAIR(リペア)が解決します。

REPAIRには、原状回復から大規模リノベーションまで、年間10,000件を超える工事実績と豊富な経験があります。この実績と経験を生かし、賃貸管理のご担当者さまに空室解消の解決策をご提案できます。

空室対策でお悩みの方は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。