近年、原状回復がしやすい「賃貸OK」な内装材がどんどん登場しています。DIYで施工できて、驚くほど簡単に部屋の印象を変えられ、退去時には元どおりに戻せるのでとても人気です。
たとえば、貼って剥がせる壁紙や置くだけの床材、壁にとめるだけの収納などが豊富にそろっています。しかも、最近ではデザイン性に優れた商品も増えており、選ぶ楽しさも広がっています。
本稿では、原状回復しやすい内装材を7つご紹介します。入居率アップを狙う物件オーナーにも、もっと自分らしい部屋にしたい入居者にも、きっとヒントになるはずです。
目次
貼って剥がせる壁材・扉材

賃貸物件でも手軽に模様替えができる「貼って剥がせる壁材・扉材」が注目されています。
DIYで施工でき、退去時には元に戻せるため、オーナーにも入居者にもメリットの大きいアイテムです。
貼って剥がせる壁紙
貼って剥がせる壁紙は、賃貸DIYの定番として人気です。手軽に部屋の印象を変えられるうえ、原状回復の手間やコストが抑えられるため、導入しやすい内装材です。
▼貼って剥がせる壁紙とは
貼って剥がせる壁紙とは、既存の壁をキズ付けずに、簡単に貼ったり剥がしたりできる壁紙を指します。
最大の魅力は、退去時に下地をほとんど傷めずに元に戻せること。退去時のトラブルを防ぎやすく、安心して使えます。
▼フリースとシールが主流
貼って剥がせる壁紙は、「フリース(不織布)タイプ」と「ビニールタイプ」に分かれます。フリース素材は施工性がよく、ビニール素材は水に強いです。
どちらもカッターとヘラがあればOK。DIY初心者でも扱いやすく、特別なスキルは不要です。面積が広くても、少しずつ貼ればきれいに仕上がります。
▼自分好みの空間を自由につくれる
貼って剥がせる壁紙は「木目調、レンガ調、北欧柄、くすみカラー」など、デザインが豊富なのも魅力。1面のみ貼り替えるだけでも、部屋の雰囲気をガラッと変えることができます。
入居者が自ら「自分らしい部屋」を演出できることで、お部屋への愛着が増し、長期入居にもつながるでしょう。
なお、製品によって剥がしやすさが異なるため、事前にサンプルを入手して試してから本格的に購入すると安心です。
扉用リメイクシート
「賃貸物件の印象を大きく変えたい」「でも、大がかりな費用はかけられない……」そんなときに役立つのが「扉用リメイクシート」です。
とくに、貼って剥がせるタイプは原状回復がしやすく、賃貸でも安心して使える便利なアイテムです。
入居者の満足度を高めながら、オーナーにとっても物件の魅力アップにつながる内装材のひとつです。
▼扉用リメイクシートとは
扉用リメイクシートは、粘着剤が付いた薄いシート状の内装材で、既存の扉に直接貼り付けるだけで簡単にイメージチェンジができます。
室内ドアや収納の扉など、さまざまな箇所に対応可能。「全部の扉を張り替えるのは大変」と感じる方は、ひとまず一部の扉にアクセント的に使ってみるとよいでしょう。
▼メリットは、その手軽さとデザインの豊富さ
最大の魅力は、扉をキズ付けることなく簡単に施工でき、退去時にきれいに剥がせる点です。原状回復がスムーズで、塗装や交換といった高額な修繕を避けられます。
また、デザインのバリエーションが豊富なのもポイント。木目調・石目調・マットな単色・モルタル風など多彩な柄から選べるため、室内全体のテイストに合わせてアレンジできます。
扉用リメイクシートは、「賃貸OK」「貼って剥がせる」と明記されたものを選ぶとよいでしょう。試し貼り・試し剥がしを実施してから、本格導入するのがおすすめです。
置くだけで使える床材

壁と同じように、床も部屋の印象を大きく左右します。しかし、賃貸では床材の張り替えはハードルが高く、なかなか手を出しづらいと感じている方が少なくないでしょう。
そんな中、近年注目されているのが置くだけで使える床材です。接着剤を使わずに敷くだけなので、原状回復がしやすく、DIY初心者にも扱いやすいのが特長です。
ここでは、3つの人気床材をご紹介します。
はめ込み式フローリング
はめ込み式フローリングは、既存の床をキズ付けずに、まるで本物のフローリングのような質感と快適さをプラスできる床材です。
▼はめ込み式フローリングとは
はめ込み式フローリングは、側面の凹凸(サネ・ジョイント)にカチッとはめ込むだけで、床材同士を連結できます。
裏面に滑り止めが付いた製品もあり、接着剤なしでそのまま敷けるため、賃貸物件にもぴったりです。
▼施工は簡単、原状回復性も◎
多くの製品はカッターでサイズ調整できますので、DIYでも比較的簡単に施工できます。専門業者に頼まずに済むので、コストを抑えられます。
接着剤を使わないため、撤去時もきれいに剥がせて、床を傷める心配がありません。原状回復の費用や手間を大幅に減らせる点が、はめ込み式フローリングの大きなメリットです。
▼木目調や石目調など、デザインも豊富
リアルな木目調や石目調など、見た目も本格的です。既存の床材の上から敷くだけで、お部屋の印象を簡単にアップデートできます。
防音性や耐久性に優れた製品もあり、住空間の快適性も向上できます。足音が響きにくくなりますので、集合住宅での音の悩みが軽減されるでしょう。
導入時は、製品の厚みやサイズ調整のしやすさを事前に確認しておくと安心です。必要であれば、サンプルを取り寄せて試してみましょう。
置くだけフロアタイル
賃貸物件の床をおしゃれに、しかも費用を抑えてリフレッシュしたい ⸺ そんなニーズにぴったりなのが「置くだけフロアタイル」です。
DIY感覚で設置できるうえ、接着剤を使わないため原状回復もしやすく、入居者にもオーナーにもメリットが多い床材として人気を集めています。
▼置くだけフロアタイルとは
置くだけフロアタイルは、主に塩化ビニル樹脂でつくられたタイル状の床材です。既存の床にそのまま敷くだけで施工できるのが最大の特徴です。
裏面に滑り止め加工が施されていたり、適度な重みがあったりすることで、ズレにくい構造になっています。
カッターでカットできるため、柱の出っ張りや複雑な形状の場所でも、比較的スムーズに敷き詰めることが可能です。
▼デザインが非常に豊富
フロアタイルは、デザインバリエーションが非常に豊富です。木目調や石目調、コンクリート調、モルタル調などリアルな質感がそろっています。
モダンやナチュラル、インダストリアルなど、部屋のコンセプトに合わせたアレンジもしやすいです。物件の印象を手軽にアップデートできるでしょう。
また、耐久性や耐水性にも優れているため、キッチンや洗面所などの水回りにも適しています。キズや汚れに強く、日常のお手入れも簡単です。
▼退去時には簡単に剥がして撤去できる
置くだけフロアタイルも、原状回復のしやすい素材です。接着剤を使用しないため、退去時は簡単に撤去できます。
床材は、張り替え費用が高額になりがちですが、置くだけフロアタイルなら下地を傷める心配がなく、安心して導入できます。
導入を検討する際は、タイルの厚みや重量、滑りやすさ、既存の床との相性をあらかじめ確認しておきましょう。
吸着式タイルカーペット
賃貸物件の床に関する悩みといえば、「キズの付きやすさ、防音対策の難しさ、原状回復の費用」などがあげられます。
こうした課題をまとめて解決できるのが、吸着式タイルカーペットです。入居者の快適性を高めつつ、オーナーの負担も減らせる優秀な床材として注目されています。
▼吸着式タイルカーペットとは
吸着式タイルカーペットは、裏面に特殊な滑り止め加工がされており、既存の床にピタッと吸着します。接着剤やテープを使わずに「置くだけ」で設置できるのが特長です。
カッターで自由にカットできるため、部屋の形に合わせて調整しやすく、DIYにもぴったり。滑りにくくズレにくい構造ですので、快適に使えます。
▼汚れた部分だけを洗浄・交換できる
洗ったり一部分だけ交換したりできるのも、大きなメリットです。たとえば飲み物をこぼしたり、ペットが粗相をしたりしてしまったときでも、その1枚だけを剥がして洗浄、または交換できます。
床一面に敷くカーペットと違い、全体を張り替える必要がなく、手間もコストも大幅に軽減できます。常に清潔な状態を保ちやすく、子育て世帯やペットと暮らす方にも安心です。
▼足音や物の落下音を吸収
カーペットは吸音性にも優れており、足音や物が落ちたときの音をやわらげてくれます。階下への騒音対策として有効で、入居者のストレス軽減につながるでしょう。
吸着式タイルカーペットは、色や柄のバリエーションが豊富です。組み合わせて使うことも可能ですので、オリジナリティあふれる空間づくりを楽しみましょう。
その他、原状回復しやすい内装材

壁材や床材以外にも、賃貸物件で活用できる「原状回復しやすい」さまざまな内装材が登場しています。
従来なら敬遠されがちだった「塗装」や「壁面収納」といった要素も、工夫しだいで原状回復を想定した施工が可能です。
ここでは、そんな新しい視点で選べる内装アイテムをご紹介します。
壁紙の上から塗れる水性塗料
「壁の色を自分好みに塗り替えたい」と思っても、賃貸物件では原状回復の観点から塗装は難しいでしょう。
しかし、「貼って剥がせる壁紙」と「壁紙に塗れる塗料」を組み合わせれば、この問題を解決できます。
▼貼って剥がせる壁紙と組み合わせる
通常の壁に直接塗料を塗ってしまうと、退去時には塗り直しや壁紙の貼り替えが必要になります。その結果、原状回復費が高額になるかもしれません。
そこでおすすめなのが、既存のビニールクロスの上に「貼って剥がせる壁紙」を貼り、その上から「壁紙に塗れる塗料」を塗る方法です (または、貼って剥がせるペンキ下地用壁紙+塗料)。
これなら、好きな色にペイントしながら、原状回復の不安もクリアできます。塗料なら、既存の壁紙にないような色にすることも可能です。
▼退去時には、塗装された壁紙を丸ごと剥がすだけ
退去時は、塗装された「貼って剥がせる壁紙」をそのまま剥がすだけでOK。下地の壁には手を加えていないため、キズや汚れの心配がありません。
この方法を活用すれば、入居者の「賃貸でも壁を塗ってみたい」という潜在ニーズを満たすことができ、満足度の向上につながります。
ただし、使用する塗料の種類や養生の徹底、退去時の剥がし方については、入居者と事前にルールを共有しておくことが大切です。
ホッチキスでとめる壁面収納
「賃貸だから壁に穴が開けられない」⸺ これは、多くの入居者が抱える悩みです。収納やディスプレイの自由度が下がり、生活の快適さやインテリアの幅が狭まってしまうことも。
その解決策として注目されているのが「ホッチキスでとめる壁面収納」です。壁に大きな穴を開けることなく、しっかり固定できる新しい収納アイテムで、賃貸でも安心して使えます。
▼ホッチキスでとめる壁面収納とは
この収納アイテムは、家庭用のホッチキスで固定金具やフレームを壁に留める仕組みになっています。
石膏ボードに対し、ホッチキスの針を複数本刺すことで、高い保持力を実現。製品によっては耐荷重が数キログラムあるものもあり、ちょっとした棚やフックなども安心して取り付けられます。
取り付けに特別な工具は不要で、力の弱い方でも簡単に施工可能です。DIY初心者や一人暮らしの方にも扱いやすいところが魅力です。
▼クギやネジ穴を開けずに済む
多くの賃貸契約では、画鋲の穴はOKでも、ネジやクギを使うと原状回復の対象になることがあります。
しかし、ホッチキスの針は非常に細く、抜いた跡がほとんど目立ちません。遠目には穴が分からないほどで、実質的に原状回復がほぼ不要になります。
入居者も気軽に取り入れられ、オーナーにとっても退去後の修繕費用を抑えられます。
▼壁かけテレビも可能
収納だけでなく、壁面をディスプレイとして活用できるのもこのアイテムの魅力です。
写真や絵を飾るのはもちろん、製品によってはテレビの壁かけも可能。床に家具を増やさず、空間を有効活用できるため、部屋をすっきり見せたい方にとっても好評です。
賃貸の「壁」の使い方を大きく広げてくれるアイテムとして、今後ますます注目されるでしょう。
ただし、耐荷重の範囲内で使用することや、取り付け・取り外しに関するルールを入居者と共有しておくことが大切です。
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