昨今、賃貸物件が入居希望者から選ばれるには、心地よい暮らしを予感させる魅力が不可欠です。そこで注目したいのが、世代を問わず絶大な人気を誇る《北欧インテリア》。
シンプルながら温かみがあり、機能性と美しさを両立したこのスタイル。じつは、賃貸物件と非常に相性がよく、限られた予算でも高い費用対効果を発揮します。
本稿では、なぜ北欧スタイルが賃貸に求められるのか、そして実際に物件の魅力を引き出すための具体的な取り入れ方を解説していきます。物件を満室へと導くヒントになれば幸いです。
目次
なぜ今、賃貸住宅に北欧スタイルが求められるのか

「居心地のよさ」と「センスのよさ」を両立できるインテリアとして、今再び注目されているのが北欧スタイルです。
とくに賃貸住宅においては、限られた空間でも取り入れやすく、長く愛されるスタイルとして人気が高まっています。
では、なぜ北欧インテリアがここまで支持されているのでしょうか ⸺ 。2つの側面から見ていきましょう。
1.北欧インテリアには普遍的な人気と居心地のよさがある
日本では、長いあいだ、北欧スタイルがゆるぎない人気を誇っています。
その理由は、見た目のオシャレさだけではなく、北欧インテリアが持つ「圧倒的な居心地のよさ」に多くの人が惹かれているからです。
では、その居心地のよさは、どこから生まれているのでしょうか?以下の3つの特徴が、大きなカギを握っています。
▼シンプルで機能的なデザイン
北欧インテリアの根底にあるのが、ムダな装飾をそぎ落としたシンプルで機能的なデザインです。そのため、流行に左右されることなく、ずっと使い続けられます。
家具や雑貨も、見た目が美しいだけでなく、長く使えることを重視して設計されています。結果として、買い替えが少なくて済むという経済的なメリットもあります。
▼自然素材の温かみ
北欧スタイルでは、天然木やリネン、コットン、ウールといった自然素材がよく使われます。これらの素材は、見た目にやさしく、触れるたびにホッとするようなぬくもりがあります。
また、さり気なくグリーン(観葉植物)を取り入れ、室内に自然のやすらぎをプラスするのも北欧流です。まるで森の中にいるかのような、穏やかで生命力に満ちた空間が生まれます。
▼自然光を生かす工夫
冬が長く、日照時間の短い北欧では、自然光をいかに室内に取り込むかが重要です。そのため、北欧インテリアには《光を最大限に生かす工夫》がたくさん詰まっています。
白や明るい色を基調としたインテリアが、窓から差し込む光を部屋の奥まで届けてくれます。また、整然とした余白のある空間によって、その光を遮らないようにしています。
そんな北欧インテリアは、単なる「オシャレ」を超え、「ここにいたい」と感じさせるような居心地のよい空間をつくり出します。
これが、多くの人々にとって魅力的に見える理由であり、その人気が長く続く所以(ゆえん)と言えるでしょう。
2.北欧スタイルは賃貸物件と相性がよく、情報を集めやすい
北欧スタイルは、内装に大きく手を加えなくても雰囲気を整えやすく、賃貸住宅でも安心して取り入れられるのが魅力です。
加えて、SNSやインテリア情報サイトなどで豊富な事例が紹介されており、初心者でも気軽に実践できるところも長所です。
▼賃貸物件と相性がよい
賃貸物件の多くは、白を基調としたシンプルな内装が多く見られます。これは、まさに北欧インテリアのベースカラーと一致し、そのまま生かせるケースも珍しくありません。
たとえば、インテリアの一部に天然素材をプラスするだけで、無機質な空間が一気に温かみのある北欧テイストに早変わりします。
この手軽さは、入居者にとってはもちろん、賃貸オーナーにとっても魅力的でしょう。コストを抑えつつ空間価値を高められるため、物件の差別化や満室経営の一助となります。
また、IKEAやニトリなどのインテリアショップで、北欧テイストの家具や雑貨が豊富にラインナップされています。手頃な価格でコーディネートを楽しめるのもポイントです。
▼情報を集めやすい
さらに近年では、SNSや専門メディアを通じて、北欧スタイルの情報を簡単に手に入れられるようになっています。
InstagramやPinterestなどで「#北欧インテリア」などのキーワードを検索すれば、リアルなお部屋づくりの事例が数多く見つかります。
投稿者が実際に使用したアイテムや購入先を紹介していることも多く、初めて挑戦する方でも安心して参考にできます。
また、豊富な実例写真からお部屋に合ったインテリアのアイデアを得られるため、理想の空間を具体的にイメージしやすくなるというメリットもあります。
このように、情報収集がしやすく、実際の導入ハードルも低い北欧スタイルは、賃貸住宅において非常に親和性の高いインテリアスタイルです。
改善例:北欧インテリアを実現するための三大要素を取り込もう

実際に、お部屋を改装するにあたって、どんなところに注意すればいいのでしょうか?
改善の例として、3つのポイントをご紹介します。
- シンプルでシックな空間にする
- 明るい基調色と落ち着いた色の従属色を使う
- 温かみのある天然木を活用する
それぞれ、詳しく解説します。
シンプルでシックな空間にする
賃貸物件でも、改装する要素を厳選して工夫すれば、北欧らしいシンプルで落ち着いた空間をつくることができます。
具体的な要素と改装方法をご紹介します。
▼回り縁・幅木:装飾の少ないフラットな形状が理想
回り縁や幅木は、お部屋全体の印象をさり気なく左右する「縁取り」のような存在です。北欧スタイルでは、これらを極力目立たせないことがポイント。
装飾があるものよりも、できるだけフラットでシンプルな形状が理想です。とくに回り縁は、なくすか、底目地にすることでよりミニマルな印象になります。
また、壁が白であれば、回り縁や幅木も同系色で揃えると、境目がぼやけて空間に一体感が生まれます。
▼カウンター・造作棚:シンプルな水平ラインを演出
キッチンカウンターや窓枠、造作棚といった要素も、北欧スタイルの表現に一役買います。お部屋に水平ラインをつくり、視覚的に整った印象を与えてくれます。
カウンターや棚板には明るい木目調や白、淡いグレーなどを選ぶと、クリーンで北欧らしい空気感を演出できます。
さらに、他のインテリア要素と高さを合わせるなどして連続性を意識すると、全体がまとまった印象になるでしょう。
▼ドア・建具:ムダな装飾のないデザインでスッキリ
ドアや扉などの建具類は、空間の表情を大きく左右する要素です。ここに装飾が多いと、一気にクラシック寄りの印象になってしまいます。
北欧スタイルを目指すなら、フラットでムダのないデザインがおすすめ。色は壁と馴染む白や明るいグレー、またはナチュラルな木目調が理想的です。
ドア自体を交換できない場合でも、上から貼れるリメイクシートを使ったり、ペンキで塗装したりすれば印象を大きく変えられるでしょう。
また、ドアノブや取っ手を真鍮や木製のシンプルなものに交換するだけでも、グッと雰囲気が底上げされます。
明るい基調色と落ち着いた色の従属色を使う
賃貸住宅に北欧インテリアを取り入れる際、空間の色使いを工夫するだけで、驚くほど雰囲気が変わります。
ここでは、北欧スタイルの色使いを3つのカテゴリーに分けて見ていきましょう。
▼ベースカラー:空間の大部分を明るくニュートラルな色に
空間全体の印象を決めるのが、ベースカラー(基調色)です。北欧インテリアでは、光をよく反射して部屋を広く明るく見せてくれる白系や、明るいニュートラルカラーがよく合います。
多くの賃貸物件でよく使われる白のクロスは、北欧スタイルのベースカラーにぴったり。オフホワイトやライトグレー、淡いベージュなどもシックでおすすめです。
ダークな色の床は重たい印象になりやすく、北欧スタイルとは相性がよくありません。明るくナチュラルな色のフローリングを採用して、ベースカラーとのバランスを整えるとよいでしょう。
▼アソートカラー:自然由来の落ち着いた色を取り入れる
アソートカラー(従属色)は、ベースカラーと調和しながら空間に奥行きやリズムを与える役割を担います。
北欧インテリアでは、自然界にあるような「グレイッシュで穏やかなトーン」のアソートカラーが好んで使われます。
例をあげてみましょう。
寒色系 | グレイッシュなグリーンや、スモーキーなブルーなどは、森や湖を思わせる落ち着いた印象。リラックス効果が期待でき、寝室やリビングにおすすめ。 |
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暖色系 | テラコッタやマスタードイエローなど、やさしくくすんだ色は、自然のあたたかさを感じさせる。キッチンやダイニングのアクセントにおすすめ。 |
アソートカラーをドアやアクセントウォール、大きめの収納家具やアートパネルなどに用いると、効果的に空間の印象を引き締められます。
▼アクセントカラー:視線を集める鮮やかな色をスパイス的に
空間全体を整えたら、最後の仕上げとして取り入れるのがアクセントカラー。あくまでスパイスとして使うのがコツで、ごく少量に抑えるのが北欧らしさを損なわないポイントです。
カラー選びでは、ライラックやティールブルーなど、深みのある個性的な色を1~2色に絞って使うとよいでしょう。アソートカラーとの調和も考慮してください。
アクセントカラーは、ガラスの花瓶やクッションカバーなどで気軽に取り込めます。これらは入居者が持ち込むケースが多いため、意図的に余白を残しておくとよいでしょう。
なお、色のバランスのセオリーは「ベースカラー70%:アソートカラー25%:アクセントカラー5%」です。この配分を意識することで、まとまりのある北欧スタイルが完成します。
温かみのある天然木を活用する
北欧インテリアを実現するうえで欠かせないのが、温かみのある天然木です。天然木の持つやさしい色合いや自然な表情は、空間に居心地のよさと本物感をもたらし、内装を格上げしてくれます。
天然木の魅力は見た目だけでなく、触れたときの質感や、経年変化による味わい深さにもあります。では、賃貸住宅で天然木をうまく取り入れるためのポイントを見ていきましょう。
▼明るいトーンの木材を選ぶ
北欧インテリアでよく使われるのは、バーチ (カバ) やパイン (松)、オーク (ナラ) などの、明るくナチュラルな色合いの木材です。
これらの木材は、白い壁やシンプルな空間と相性がよく、全体の印象を軽やかに見せてくれます。
明るい色の床や家具は、窓からの光を部屋全体に反射させ、広く感じさせる効果もあります。重くならず、柔らかい雰囲気に仕上がるのが大きな魅力です。
▼木目や節も生かせる
天然木には、工業製品では再現できない不均一さがあります。節や木目の濃淡は、まさに自然がつくり出したアートです。
こうした特徴をあえて隠さずに見せることで、空間に有機的なリズムが生まれ、温かみや安心感がプラスされます。
量販店の木製家具でも、あえて節ありや木目のあるタイプを選ぶことで、より「北欧らしい空気感」を演出できます。
▼大胆に、でも主張しすぎないように取り入れる
天然木は、大胆に使うことでその魅力をより引き立てることができます。たとえば、ドアやカウンターなど、面積が広めの建材に取り入れると、自然と視線を引きつけるアクセントになります。
ただし、色選びは空間全体との調和を意識することが大切です。空間に溶け込む色合いの樹種を選び、主張を抑えることで、北欧らしいナチュラルで清潔感のある空間に仕上がります。
天然木をうまく使うことで、機能性と美しさ、そして温もりを兼ね備えた空間づくりを実現できます。手軽な工夫から始めて、心地よい北欧スタイルを賃貸住宅でも実現してみましょう。
費用対効果バツグン!北欧インテリアの実践ガイド

ここからは、照明・家具・クロス(壁紙)の選び方をご紹介します。
照明の選び方
照明は、インテリア全体の雰囲気を一変させるほどの力を持つ、費用対効果バツグンのアイテムです。
北欧スタイルを演出したいなら、ただ明るければよいという考えをいったん手放し、「光色・陰影・素材感」の3つを意識して選ぶことが大切です。
▼光の色は電球色(オレンジ系)で
北欧の家庭では、キャンドルのような柔らかなオレンジ色の光が好まれます。これは、心を落ち着かせ、家族や友人とのヒュッゲな時間をより豊かにするための工夫です。
日本の照明では昼白色(白っぽい光)が多く使われがちですが、北欧インテリアを目指すなら電球色(オレンジ色の光)がおすすめ。リビングや寝室が、ホッとできる《くつろぎ空間》に変わります。
また、最近は調色機能付きのLED照明も手軽に購入できるため、シーンに応じて光の色を変えられるタイプを選ぶのもよいでしょう。
▼多灯使いで陰影を
天井に照明がひとつの部屋では、北欧らしい雰囲気はなかなか出ません。多灯使いにすることで、空間に陰影が生まれ、北欧らしい空気感を演出できます。
たとえば、以下のような形で光源を分散させると、空間にリズムと奥行きが生まれます。
- 天井にペンダントライト
- ソファ横にフロアランプ
- サイドテーブルにテーブルランプ
- 棚にLEDキャンドル
引っかけシーリングやコンセントなど、入居者が多灯使いできるように照明計画を練りましょう。
▼シンプルなデザインで素材感を重視
照明本体のデザインにも、北欧スタイルらしさを出すヒントがあります。
たとえば以下のようなテイストの照明は、北欧インテリアにぴったりです。視覚的にも温かみがあり、光の当たり方によってさまざまな表情を見せてくれます。
- 柔らかく光を透過する布や和紙のシェード
- ほんのり光をぼかすフロストガラス
- やや無骨で落ち着いたマットな金属素材
デザイン選びのポイントは「余計な装飾を省いたシンプルなフォルムと、素材そのものの味わい」です。装飾が少なく、クリーンなフォルムのものが、北欧らしさを引き立ててくれます。
家具の選び方
家具は、空間の印象を大きく左右する重要な要素です。とくに賃貸住宅では、限られたスペースを有効に使うためにも《機能性とミニマルなデザインを兼ね備えた家具》を選びたいところです。
日々の暮らしに寄り添いながらも、空間をスッキリと見せる家具を選ぶことが、賃貸で北欧スタイルを実現する近道です。以下の2つのポイントを押さえましょう。
▼機能性を重視する
北欧スタイルの特長は、暮らしに根ざした美しさ。どれだけデザインがよくても、使いにくい家具はNGです。まずは、実用性をしっかり確認しましょう。
賃貸住宅では収納が少なかったり、スペースが限られていたりすることも多いため、多機能家具がおすすめです。例をあげてみましょう。
- 収納付きベンチ:座るだけでなく、ブランケットや小物をしまえる
- 伸長式のダイニングテーブル:来客時には広く使えて、普段はコンパクトに
- ソファベッド:寝る・くつろぐ・収納、すべてを1台でカバー
こうした《一台で二役以上》の家具は、暮らしにゆとりをもたらすだけでなく、空間に余白を生み出してくれます。
▼シンプルでミニマルなデザインを選ぶ
北欧インテリアで重視されるのは、過剰な装飾を避けた機能美です。そのため、基本的に《直線的でクリーンなフォルムの家具》を選ぶとよいでしょう。
中でもおすすめは、背が低い、テーパードレッグ(脚先が細くなる形)の家具。視覚的な軽やかさを演出するだけでなく、お部屋に抜け感を与えてくれます。
脚付きの家具は床面が見えやすくなるため、掃除がしやすいというメリットも。とくに、お掃除ロボット派の方にイチオシです。
クロス(壁紙)の選び方
壁紙も、空間の印象を大きく左右する要素のひとつです。とくに賃貸物件では、比較的コストを抑えながらも雰囲気を一新できる《費用対効果の高い手段》として注目されています。
北欧インテリアの魅力を引き立てるためにも、クロス選びは大切なポイント。色だけでなく、質感やアクセントの入れ方まで意識すると、空間に深みと個性が加わります。
▼白を基調に、質感で差を付ける
日中、過ごす時間が長い空間には、明るく柔らかい色味のクロスをベースに選ぶのが基本です。
おすすめはオフホワイト、ごく淡いアイボリー、ライトグレー。これらの色は光をよく反射し、部屋を広く、清潔に見せてくれます。
さらに、織物調や塗り壁調など、質感のあるクロスを選ぶことで、単調になりがちな白系の壁にも動きが生まれます。
光の当たり方で表情が変わるため、シンプルながらも洗練された印象を演出できるでしょう。
▼アクセントウォールで個性を演出
空間の一部に、やさしく個性を引き立てるアクセントウォールを取り入れてみましょう。
お部屋の1面だけに色や柄のあるクロスを貼ることで、視覚的なメリハリが生まれ、空間がグッと引き締まります。
おすすめの場所をあげてみましょう。
- ソファの背面
- ベッドヘッドの壁
- キッチンカウンターの壁
北欧らしさを感じさせるカラーや柄の例もあげておきます。
- スモーキーなグレー
- くすみのあるブルーグリーン
- ペールトーンのマスタードイエロー
- 控えめなボタニカル柄
- シンプルな幾何学模様
これらの色柄には、ナチュラルな雰囲気を損なわない《奥ゆかしさ》があります。1面だけ取り入れることで、主張しすぎず、デザイン性の高い空間を実現できます。
壁面がセンスよく整っていると、物件紹介用写真の印象アップにも寄与します。不動産ポータルサイトに掲載する写真や、SNS投稿での見せ方しだいで、集客力を大きく高める効果も期待できます。
記憶に残る賃貸物件を目指すなら、まずはクロスの見直しから始めてみてはいかがでしょうか?
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