子育てしやすい賃貸物件の選び方 – 知っておきたい注意点とは?

子育て中のご家族の賃貸物件選びは、なかなかハードです。子どもの安全を考慮しながら、快適な生活空間を求め、さらに予算内に収めるなど……あなたも、困っていませんか?

しかし、そんな悩みも適切な情報を得ることで解消できるでしょう。子育てに適した物件や地域の特徴を知ることで、あなたにピッタリの物件選びが可能になるのです。

本稿では、子育てしやすい賃貸物件の選び方や注意点について詳しく解説します。あなたも、本稿の情報を活用して、家族全員が安心して暮らせる物件を見つけてみませんか?

目次

子育てしやすい賃貸物件の選び方

さっそく、子育てしやすい物件の選び方をご紹介します。

安全性と間取り、騒音トラブルに配慮しよう

安全性と間取り、騒音トラブルに配慮しよう

子育て中のご家族にとって、安全は最優先事項でしょう。また、間取りや騒音トラブルも気になるのではないでしょうか。

それぞれに関して、大切な「物件選びのポイント」をご紹介しましょう。

▼安全性

まずは、安全性に関するポイントを解説します。

こども家庭庁が『こどもの事故防止ハンドブック』でさまざまな危険ポイントを紹介しています。この中から、物件選びの際に気をつけたいポイントをピックアップしてみましょう。

  • ブラインドやカーテンのひもによる窒息
  • 入浴時に溺れる
  • 浴槽へ転落し溺れる
  • 階段からの転落
  • 段差での転倒
  • 窓や出窓、ベランダからの転落
  • ドアや窓で手や指を挟む
  • 機械式立体駐車場で挟まれる

物件を内覧(内見)する際、上述のような不慮の事故が起こらないか、よく確認していただくとよいでしょう。

たとえば、こんなところは注意して見ておきたいですね。

  • ブラインドやカーテンのひもは安全対策がしてあるか
  • お風呂のドアは、外から施錠・解錠できるか
  • 外部・内部の階段に適切な側壁や手すりが付いているか
  • 子どもが転倒しそうな段差はないか
  • 窓や出窓に転落を防止する柵や補助錠が付いているか
  • ベランダの手すりとエアコンの室外機はじゅうぶん離れているか
  • ドアや窓は、指挟みを防止する対策がしてあるか
  • 子どもが挟まれたり転落したりするような立体駐車場はないか

また、消費者庁の「事故情報データバンク」も参考になります。ご覧いただくと、どういった事故が多いのか、何となくつかめるのではないでしょうか。

参考:事故情報データバンク

▼間取り

間取りは広いほうが暮らしやすいですが、広ければ広いほど家賃が上がるでしょう。広さと家賃のバランスを取りながら、物件を選ばねばなりません。

子育て世帯に適した広さの目安は、以下のとおりです。

2DKやや狭いが、家賃を抑えられる。子どもがふたり以上いる場合は、将来手狭になる。
2LDK子どもとLDKで過ごせる。子どもがふたり以上いる場合は、将来手狭になる。
3LDK子ども部屋2室と、夫婦の寝室を確保できる。子どもが成長しても住み続けられる。

何度か引っ越ししても構わないという方は、子どもの成長に合わせて、広いところへ住み替えされるといいでしょう。引っ越し等の諸費用を入れても、生涯住居費をコストダウンできるかもしれません。

ちなみに、小学校低学年くらいまで、子ども部屋はなくてもなんとかなります。一方、子どもが小さいうちはものが増えがちですから、収納は多いと便利です。

たとえば、こんなものが収納できるといいですね。

  • おむつ
  • 着替え
  • オモチャ
  • ベビーカー
  • ランドセル
  • クラブや習いごとの道具

ベビーカーのまま入れるくらい玄関が広い物件も、おすすめです。外遊びで使うものも、置いておけるでしょう。

自転車置き場にも注目してください。家族分の自転車が置けそうでしょうか?チャイルドシート付き自転車や、子ども用自転車が置けるでしょうか?

▼騒音トラブル

集合住宅でもっともトラブルになりやすいのが、騒音です。騒音は不眠やイライラなどのさまざまな障害を引き起こしますので、根深い問題になりやすいのです。

こじれて傷害等の事件に発展したケースも、珍しくありません。近隣との良好な関係を維持し、騒音によるトラブルを避けるための予防策を講じましょう。

代表的な騒音対策をご紹介します。

  • 防音性を確認する
  • お子様が小さいあいだは、1階に住む

まず、防音性を確認しましょう。鉄筋コンクリート造だからといって、安心できません。内覧のときに、隣りや上下、斜めから生活音が聞こえてこないかチェックしましょう。

1階に住むのも、下階に迷惑をかけることがありませんので、有効な方法です。転落防止や災害時の避難の観点からも、有用でしょう。

ただし、1階は防犯面のリスクが上がります。以下のようなセキュリティーのチェックが必要です。

  • 窓の補助錠
  • 解錠されにくいドアロック
  • 防犯カメラ
  • モニターホン
  • 侵入しにくいベランダ

セキュリティーについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

賃貸マンションやアパートの防犯は、窓・玄関・ベランダ対策が重要

騒音トラブルに関しては、戸建て賃貸を借りるのも予防策になります。戸建てでも騒音トラブルになるケースはありますので、一定の注意が必要ですが、集合住宅よりリスクを減らせるでしょう。

ファミリーに優しい地域の見極め方

ファミリーに優しい地域の見極め方

次は、ファミリーに優しい地域の見極め方をご紹介しましょう。子育て中の家族向けの地域を選ぶことで、家族全員の生活の質が向上しますよ。

▼周辺環境

まずは、治安がよい地域を選びたいものです。

以下の商業施設も、子育て中の世帯にとって近くにあると便利です。

  • 食料品スーパー
  • ドラッグストア

小学校高学年くらいの子どもなら、自分で買い物に行くこともあるでしょう。上述の施設まで、安全なルートでアクセスできるか確認しておきましょう。

以下の公共施設も、近くにあると安心です。

  • 保育・教育機関
  • 医療施設
  • 公園

保育・教育機関が近くにあれば、通園・通学中の事故や犯罪に巻き込まれる可能性が低くなります。親御さまが送迎やイベントで出向く際の負担も、少なくなるでしょう。

かかりつけ医にできそうな小児科が近くにあると、安心です。24時間・365日受付可の救急外来を備えた病院があれば、なおよいでしょう。

子どもと遊びやすい公園も、近くに欲しいですよね。ただし、お住まいから公園が近すぎると「子どもの叫び声がうるさい」と感じる場合もあります。ご注意ください。

また、以下の道路も確認しておきたいところです。

  • 駅までの道路
  • 通学路

将来、子どもが電車で通学をするかもしれないと考えると、なるべく駅から近いほうが安心です。暗い・人けが少ない等、犯罪に巻き込まれそうな気配がないか、チェックしておきましょう。

通学路の交通量は、どうでしょうか?歩行者道路があるでしょうか?安全に横断できるでしょうか?夜間でも、街灯等で明るく照らされているでしょうか?確認しておきましょう。

▼行政サービス

行政サービスの質は、少なからず子育てに影響します。子育てしやすい自治体で暮らすと、育児の負担を軽減できるでしょう。

住みたいエリアが固まったら、自治体のホームページを確認してみてください。子育て支援の情報が、載せられているでしょう。自治体によっては、支援サービスを提供しているところもあります。

不動産系サイトや経済情報サイトの「街 (町)」特集も、ヒントになります。不動産ポータルサイトなら、家賃相場も調べられるでしょう。

いくつか例をご紹介します。

「生活ガイド.com」も便利です。ランキングだけでなく、各都道府県のデータや口コミも豊富に載っていますので、見応えがあります。

参考:生活ガイド.com

4つのWebサイトをご紹介しましたが、どれも参考程度にご覧ください。最終的には、ご自身で現地や自治体を確認していただくことをおすすめします。

コストから見た賃貸物件探しのポイント

コストから見た賃貸物件探しのポイント

つづいて、コストから見た賃貸物件探しのポイントをご紹介します。家賃だけでなく、公共料金や不動産価格の上昇も気にしていただくとよいでしょう。

▼水道料金とガス料金の安い地域を選ぶ

公共料金が安い地域を選ぶと、生活コストを抑えられます。じつは、水道料金とガス料金は、全国同じ料金ではありません。

  • 水道:自治体や水道管の口径によって料金が異なる
  • ガス:都市ガスかLPガスかで料金が変わる(LPガスのほうが高い傾向がある)

政府統計の「家計調査年報 (家計収支編)」によると、水道光熱費は家計の消費支出の「約7~8%」を占めているようです。

ですから、できるだけ水道光熱費を節約できる地域のほうが、何かとお金が入用な子育て世帯には助かるのではないでしょうか。

水道光熱費については、以下の記事で詳しく解説しています。ご興味がある方は、あわせてご覧ください。

一人暮らしの光熱費を節約するには?水道・ガス・電気代を抑える方法

▼転居するなら早めがよいかも

現在、不動産価格の上昇に引っ張られる形で、都市部を中心に、比較的粘着性が強いと言われる「家賃」も上昇し始めています。転居するなら、賃料アップが活発化する前がよいかもしれません。

住宅取得層でもっとも多いのは30~40代で、この世代は子育て世代でもあります。ですから、子育て世代が住みやすい地域は特に大きな需要があり、家賃が上がりやすいでしょう。

ファミリー世帯は減少傾向にありますが、都市部の通勤に便利な地域は、しばらく需要増が見込まれています。インフレムードが高まれば、もう一段、家賃上昇もあり得るのではないでしょうか。

賃貸物件での子育て対策と注意点

賃貸物件での子育て対策と注意点

最後に、賃貸物件での子育て対策と注意点をご紹介して終わりたいと思います。

引っ越ししてきたら、挨拶回りをしておこう

子どもがいると、近隣の方々に何かとご迷惑をおかけするかもしれません。良好な関係を築くために、引っ越し後の挨拶を活用するとよいでしょう。

何の前触れもなく騒音などの迷惑を被ると、誰しもムッとするものです。引っ越しの挨拶で以下のように言い添えておくだけで、かなり印象が変わるのではないでしょうか。

子どもが小さいので、何かとご迷惑おかけするかもしれません。気になることがあれば、ご遠慮なくお知らせください

ところで、単純接触効果をご存じでしょうか?「人は、何度も見ているものに対して好感や親近感を持ち、知らないものに対して疑いや拒絶感を持ちやすい」とする心理効果です。

中には挨拶回りをしない、あるいは手紙で済ませる人もおられます。しかし、この効果を活用するなら、おすすめは対面での挨拶です。日常も、笑顔の挨拶を心がけましょう。

あなたたちご家族が、近隣にお住まいの方に好感を持ってもらえたら、多少のことも大目に見てもらえるのではないでしょうか。

原状回復費や個人賠償責任保険を用意しておこう

小さい子どもは、悪気がなくても、ものを壊してしまうことがあります。友だちをケガさせることも考えられるでしょう。

このような事態に備えておくと、安心と心のゆとりが生まれます。念のため、原状回復費と個人賠償責任保険を準備しておかれるとよいでしょう。

原状回復費お部屋を破損させたときの回復費用
個人賠償責任保険損害賠償責任を負った場合の損害を補償する保険

個人賠償責任保険は、誤って他人にケガをさせてしまったり、他人のものを壊してしまったりしたときに使えます。

この保険は、火災保険や傷害保険、自動車保険などの特約(オプション)として加入できます。ですから、すでに加入しておられる可能性もありますので、一度チェックしてみてください。

子育て中の親御さまにとって、賃貸物件選びは一大事。さまざまなご苦労があるかもしれませんが、しっかり物件を選ぶことで、快適な暮らしが手に入るでしょう。

あなたも本稿の情報を活用して、家族にピッタリ合う賃貸物件を見つけてみませんか?子育ての日々が、より豊かなものとなることを心より願っています。

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