一人暮らしの光熱費を節約するには?水道・ガス・電気代を抑える方法

昨今、電気料金の高騰で「一人暮らしなのに、光熱費が高すぎる」と悩んだり、「うちだけ高い?いくらくらいが平均的なのかな?」と不安な気持ちになったりしている方が少なくありません。

水道・ガス・電気の基本料金については、個人ではどうにもなりません。しかし、適切な節約術を取り入れ、毎月の水・ガス・電気の使用量を大きく減らし、料金の削減に成功している方がおられます。

本稿では、一人暮らしの水道光熱費を節約するコツや、賃貸住宅の選び方について詳しくご紹介します。あなたも、本稿の情報を活用して水道光熱費の節約に取り組んでみませんか?

目次

一人暮らしの水道光熱費の平均的な料金は、どれくらい?

一人暮らしの水道光熱費の平均的な料金

政府統計の「家計調査年報 (家計収支編)」によると、近年における単身世帯の水道光熱費の平均は以下のとおりです。あなたのご世帯は、平均に比べてどうでしょうか?

  • 2015年:11,667円
  • 2016年:11,028円
  • 2017年:11,380円
  • 2018年:11,847円
  • 2019年:11,652円
  • 2020年:11,686円
  • 2021年:11,383円
  • 2022年:13,098円

この金額は、家計の消費支出の「約7~8%」を占めます。ですから、一定の負担感があり、水道光熱費を節約したいと考えている方は少なくないでしょう。

とりわけ2022年は、たくさんのご家庭で例年より多くの水道光熱費がかかりました。検針票の金額を見て驚き、節約の気持ちを新たにされたのではないでしょうか。

では、水道光熱費の節約は、どこに重点を置けばいいのでしょうか。―― まずは、水・ガス・電気に分けて平均支出額を確認するところから始めてみましょう。

一人暮らしの平均的な水道料金

さっそく「家計調査年報 (家計収支編)」より、近年における単身世帯の水道料金の平均を確認してみましょう。

  • 2015年:2,092円
  • 2016年:2,145円
  • 2017年:2,189円
  • 2018年:2,142円
  • 2019年:2,120円
  • 2020年:2,172円
  • 2021年:2,248円
  • 2022年:2,116円

水道料金の平均は、ガスや電気に比べて低額です。2022年においても、例年並みで上昇していません。ですから、節約の優先順位は低いと考えてよいでしょう。

ただし、あなたのご世帯が平均値より相当に多いようなら、節約の余地が大きいと言えます。

一人暮らしの平均的なガス料金

では、ガスはどうでしょうか。同じく「家計調査年報 (家計収支編)」より、近年における単身世帯のガス料金の平均を確認してみましょう。

  • 2015年:3,291円
  • 2016年:2,999円
  • 2017年:3,080円
  • 2018年:3,104円
  • 2019年:3,012円
  • 2020年:3,021円
  • 2021年:3,001円
  • 2022年:3,331円

ガス代は、水道料金よりやや高額です。また、2022年に1割程度上昇していますので、節約したいと感じているご世帯が多いのではないでしょうか。

一人暮らしの平均的な電気料金

最後に、電気料金の平均を確認してみましょう。

  • 2015年:5,599円
  • 2016年:5,320円
  • 2017年:5,392円
  • 2018年:5,852円
  • 2019年:5,700円
  • 2020年:5,791円
  • 2021年:5,482円
  • 2022年:6,808円

電気料金は水道光熱費の多くを占め、2022年は例年より2割程度上昇しています。ですので、節約の必要性が高いと感じている方が多いのではないでしょうか。

節約の優先順位をつけるならば、まずは電気と考えていいでしょう。

一人暮らしの水道光熱費を節約する方法

水・ガス・電気の節約術は、負担が大きい割に効果の薄いものが少なくありません。一所懸命に頑張って年間数百円の節約効果しか得られなければ、「これだけ?」と落胆せずにはいられないでしょう。

そのような節約術を続けても実りが少なく、精神的な疲労感のほうが大きいでしょう。ですから、水・ガス・電気の節約術は効果が大きいものに絞り込んで取り組むのが正解です。

―― では、どこに注力すればいいのでしょうか?

効果的な節約術をご紹介する前に、まずは水道光熱費の構成を理解しておきましょう。各供給会社から請求される料金は、以下の式で表わすことができます。

請求料金 = 基本料金 + (単位料金 × 使用量)

上述の式を見れば、節約のポイントが明確になります。

つまり、請求される料金が上がったということは、以下のどれかが起こったということであり、それを改善すればいいということになります。

  • 基本料金が上がった
  • 単位料金が上がった
  • 使用量が増えた

さて、消費者にできることは、なんでしょうか?――「基本料金や単位料金が低い供給会社に乗り換える」か「使用量を減らす」ですね。

まずはこの原則を押さえたうえで、個々の取り組みについて検討していくとよいでしょう。

水道代が高くなる理由と、料金を抑える方法

水道代が高くなる理由と、料金を抑える方法

それでは、水道代が高くなる理由と、料金を抑える方法について検討してみましょう。

水道代が高くなる理由

水道料金が高くなる主な理由は、以下のふたつです。

  • 住んでいる地域の水道料金が高い
  • 水の使用量が増えている

引っ越しのタイミングで「あれ?前より水道代が高いな」と感じたら、それは住んでいる地域の水道料金が高いからかもしれません。

水道料金は全国一律ではなく、住んでいる地域や給水管の口径によって異なります。

参考:岡山市水道局「他都市との料金比較」

また、単身世帯で急激に水の使用量が増えた場合は、水漏れしている可能性があります。まずは、水回りの住宅設備や家電(トイレ・キッチン・お風呂・洗面台・洗濯機など)を確認してみましょう。

水漏れしている箇所が見当たらない場合は、いったんすべての水栓を閉めて、水道メーターが動いているか確認してみましょう。動いているようなら、水漏れが疑われます。

水道料金を抑える方法

日常の水の使用量を減らすなら、お風呂の給水・給湯量を減らすのが効果的です。

シャワーの使い過ぎに注意するのもよいでしょう。不必要に流したままにしないことで、水道代とガス代を合わせて「約3210円/年」の節約効果があるそうです。

参考:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」

シャワーによる水とガスの使用量を節約したいなら、節水型シャワーヘッドが効果的です。約30~60%の節約効果が期待できるでしょう。

また、洗濯機を買い替える際に、節水型のものを選ぶのもよいでしょう。

ただし、節水型を選ぶことで購入コストが上がる場合は注意が必要です。上乗せされるコスト分の回収に何年かかるのか、よく検討してから購入を決めましょう。

ガス代が高くなる理由と、料金を抑える方法

ガス代が高くなる理由と、料金を抑える方法

つづいて、ガス代が高くなる理由と、料金を抑える方法について検討してみましょう。

ガス代が高くなる理由

ガス料金が高くなる主な理由は、以下のふたつです。

  • 単価の高いガスを使っている
  • ガスの使用量が多くなった

プロパンガスの単価は、都市ガスと違い、ガス会社が自由に設定できます。ですから、大家さんが契約している会社によって料金が決まります。

ガス会社が同じでも、物件によって料金が異なることもあるでしょう。場合によっては、給湯器やガス配管などの設備をガス会社が所有していて、設備利用料が付加されているケースもあります。

プロパンガス地域に引っ越したあと「ガス料金が高くなった?」と感じたなら、以前の住まいより基本料金や単位料金が上がっていないかご確認ください。

参考:内閣府「LPガス問題 ここがポイント」

単身世帯で急激にガスの使用量が増えた場合は、以下の可能性も疑ってみてください。

  • 湯船につかる機会が増えた
  • 温水床暖房やガスストーブ等の暖房器具の使用回数が増えた
  • 同居人が増えた

一般的な単身世帯でもっともガスを消費するのは、給湯器でしょう。そして、もっともお湯を必要とするのが「お風呂」です。

ですから、ガス料金が急激に増えた場合は、まず「お風呂に原因があるのではないか?」と疑ってみてください。

また、ガス料金は、2人以上の世帯では居住人数の差が出にくい傾向があります。たとえば、3人世帯と4人世帯を比べると、それほどガス料金に違いがないのです。

一方、単身世帯と2人世帯の差は大きいです。よって、友人や知人を泊める機会が増えた方は、ガス料金も増えやすいでしょう。

ガス料金を抑える方法

先述のとおり、もっともガスを消費するのはお風呂です。ですから、ガス料金を下げたい場合は、お風呂に注力するのが効果的でしょう。

とりわけ、冬が勝負です。冬は大量にお湯を使い、かつ給湯器の入水温と給湯温の差が大きいため、もっともガスを消費するのです。

ポイントは3つです。

  • 給湯器の温度設定をなるべく低くする
  • 浴槽にお湯を入れすぎない
  • シャワーの使い過ぎに注意する

これから引っ越しするのであれば、プロパンガス地域の物件ではなく、都市ガス地域の物件を選ぶのもひとつの方法です。

プロパンガス地域に引っ越しするのであれば、物件ごとにガスの基本料金等が異なることを知っておきましょう。

電気代が高くなる理由と、料金を抑える方法

電気代が高くなる理由と、料金を抑える方法

最後に、電気代が高くなる理由と、料金を抑える方法について検討してみましょう。電気は水道光熱費の節約の勘所です。

電気代が高くなる理由

水やガスと同じく、電気料金が高くなる主な理由は以下のふたつです。

  • 原価高騰で電気料金が上がった
  • 電気の使用量が増えた

日本の発電は、化石燃料(石油・石炭・天然ガスなど)に大きく依存しています。たとえば、2019年度の化石燃料への依存度は、原発の停止等の影響で「84.8%」となりました。

ですから、エネルギー資源が少ない日本では、輸入する化石燃料の価格が電気料金に大きく影響します。昨今の電気代の高騰は、主にこれが理由です。

参考:資源エネルギー庁「2021 – 日本が抱えているエネルギー問題 (前編)」

太陽光発電でつくられた電力の買取量も、拡大しています。この電力の買取費用は、私たち利用者が「賦課金」として負担しています。

ちなみに、2022年度の賦課金は「1kWhあたり3.45円」でした。平均的な使用量(180kWh/月)の単身世帯の賦課金は「約620円/月」になる計算です。

2023年4月以降の賦課金は、資源価格の高騰で値上がりする電気料金の負担軽減のため、単価引き下げが実施されています (1kWhあたり1.40円)。

参考:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します」

また「猛暑日が増え、夏場のエアコン使用量も増えた」と感じている方が少なくないでしょう。コロナ禍でテレビや冷蔵庫を大型のものに買い替え、電力消費量が増えた方もおられるかもしれませんね。

このような電気使用量の増加も、電気料金を押し上げています。

電気料金を抑える方法

さて、電気の使用量を減らすには、どの家電に注力すればいいのでしょうか?

家電製品別の電力消費割合を見ると、エアコン・冷蔵庫・照明が5割以上を占めています。ですから、この3つに絞り込んで対策するといいでしょう。

参考:資源エネルギー庁「家庭でできる省エネ」

個別の対策をご紹介します。

エアコン・できるだけ製造年が新しい製品を使う
・室外機のまわりにものを置かない
・フィルターを月に1~2回清掃する
・冬の暖房時の室温は20℃を目安にする
冷蔵庫・熱いものはさましてから保存する
・食品の傷みに注意しながら、庫内の温度を控えめに設定する
・ものを詰め込みすぎない
・壁から適切な間隔で設置する
照明・白熱電球から電球形LEDランプに交換する

夏と冬は、空調機器を使うため電力消費量が跳ね上がり、家計の負担を感じやすいでしょう。ですから、空調機器の消費電力を抑えることが、お財布や精神の負担を抑えるのに役立ちます。

とくに、冬場の対策に注力していただくとよいでしょう。一般的に、冷やすより、温めるときのエネルギー消費量のほうが多くなります

一人暮らしの水道光熱費を節約できる賃貸住宅の選び方

一人暮らしの水道光熱費を節約できる賃貸住宅の選び方

終わりに、一人暮らしの水道光熱費を節約できる賃貸住宅の選び方を4つご紹介します。引っ越しされる際の参考になれば幸いです。

住みたい地域の水道料金とガス料金を確認しよう

住みたい地域が複数の自治体にまたがっている場合は、それぞれの水道料金を確認しておきましょう。インターネットを使い「自治体名 水道料金」で検索すれば調べられます。

参考:地域によって6,000円もの差が!水ライフを提案するサービスサイト『水と暮らす』が全国水道料金ランキングを発表

ガスについても、引っ越し前に調査されることをおすすめします。

LPガスの料金は、物件によって大きなバラツキが見られます。一方、都市ガスなら物件によるバラツキが少ないでしょう。

設備(給湯器や空調機器など)をチェックする

内覧の際、ぜひ給湯器をチェックしてください。

熱効率が低い給湯器は、ガスの消費量が多くなります。一方、エコジョーズ(高効率給湯器)なら以下のメリットがあります。

  • 従来の給湯器が捨てていた「排熱」も利用して水を温めることができる
  • ガスの使用量や二酸化炭素の排出量を10%以上カットできる
  • 待機電力も従来のガス給湯器と比較して約40%カットできる

備え付けのエアコンがある場合は、製造年をチェックしておきましょう。

10年以上前のものは、最近の製品と比べると電力消費量が多いでしょう。それに、いつ故障するか分かりません。

また、テレビや冷蔵庫の買い替えを検討しておられるなら、省エネ性能の高いものの中から選ぶとよいでしょう。

参考:環境省 省エネ製品買換ナビゲーション しんきゅうさん

住宅の省エネ性を確認しよう

住宅の省エネ性は、電気代に大きく影響します。たとえば、省エネ性のひとつである「断熱性」が高い物件は、魔法瓶のように保温能力が高く、快適な室温を低コストで実現できます。

とは言え、一般の方が住宅の省エネ性を見極めることは難しいでしょう。ですから、仲介の不動産会社に頼んで、大家さんや管理会社に確認してもらうとよいでしょう。

省エネ性の客観的で分かりやすい指標は、以下のふたつです。

  • 現行の「省エネ基準」を満たしているか
  • 「ZEH」や「ZEB」の要件を満たしているか

省エネ基準は、建物が満たすべき省エネ性の基準とお考えください。じつは、基準の達成が義務化される2025年4月以前に着工した建物は、この要件を満たしていないものが少なくありません。

ZEH(ゼッチ)やZEB(ゼブ)は次世代型の省エネ基準で、2030年までにこの基準の達成が義務化される見込です。既に要件を満たしている物件の省エネ性は、かなり高いと考えていいでしょう。

また、内覧の際、窓に複層ガラスが使用されているか確認しておくとよいでしょう。Low-Eガラスならさらによく、省エネ意識の高い物件と考えても差し支えありません。

参考:YKK AP Low-E複層ガラス(断熱タイプ)

環境に優しい生活ができるかシミュレーションしよう

最後に、生活費の観点から、物件の選び方をご紹介します。環境に優しい(エコフレンドリー)生活ができる物件は、生活費の削減につながる場合が少なくありません。ぜひ、着目してみてください。

たとえば、徒歩や自転車で通勤できる距離にお部屋を借りれば、ガソリン代の節約につながります。健康増進にもなり、かつ地球温暖化の抑制(二酸化炭素の排出量削減)にも貢献できます。

徒歩や自転車による通勤ができない方は、近隣にカーシェアがある物件を選んでみてはいかがでしょうか。自家用車を持たずにカーシェアを利用すれば、月々1万円以上のコストダウンが期待できます。

参考:環境省「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」

一人暮らしの水道光熱費は、生活費の中で少なくない割合を占めます。ですから、適切な節約の知識と方法を身につけることで、家計の負担軽減に寄与するでしょう。

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