賃貸マンションやアパートの防犯は、窓・玄関・ベランダ対策が重要

警察が認知した刑法犯罪の件数は、平成14年から15年ごろをピークに減少傾向にあります。とは言え、ゼロになったわけではありませんので、巻き込まれないように注意したいところです。

さて、賃貸物件ではどのような防犯対策をすればいいのでしょうか。そもそも、どんな犯罪に注意すればいいのでしょうか。

本稿では、賃貸物件で気をつけるべき犯罪や、備えたい防犯対策をご紹介します。賃貸物件の防犯が気になっている方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

賃貸物件はどんな犯罪に気をつけるべきか

賃貸物件はどんな犯罪に気をつけるべきか

賃貸マンションやアパートを借りるとき、ほとんどの方は「防犯」を気にされます。たとえば、人通りのある道路に面した物件や防犯設備が整った物件は、女性やファミリーに人気ですよね。

一方、オートロックを過信するのはよくありません。完璧な防犯対策になりませんので、ほかの対策も併用されているか、必ずチェックしておきましょう。

さて、そもそも賃貸物件ではどのような犯罪に気をつけ、防犯対策を実施すればいいのでしょうか。―― ご注意いただきたい犯罪を、3つご紹介します。

窃盗犯

まず注意したいのは、圧倒的に件数が多い「窃盗犯 (いわゆる泥棒)」です。とくに、以下のものは外にあり盗まれやすいですので、しっかり窃盗対策を実施しておく必要があります。

  • 女性の洗濯物 ⇒ できれば部屋干しする
  • ポスト内の郵便物(個人情報)⇒ こまめに回収
  • 自転車やバイク ⇒ しっかり鍵をかける

同じく外で発生する「車上狙い (車上荒らし)」も注意が必要です。車に警報装置をつけておくだけでなく、駐車場に防犯カメラが付いていると安心でしょう。

窃盗は、室内でも発生します。最近は個人間の売買が容易になっていますので、お金や貴金属だけでなく、服や高級バック等を狙った侵入が増えています。

窃盗犯が室内に侵入する経路は、ほとんどが窓か玄関ドアです。侵入方法で多いのは、ガラス破りやドア錠破りなどではありません。意外なことに、無施錠の窓や玄関ドアから難なく入っています。

参考:警視庁 住まいる防犯110番「手口で見る親友犯罪の脅威」

室内の窃盗に関しては、窓と玄関ドアをしっかり施錠することが防犯対策の基本です。鍵のかけ忘れにご注意ください。管理会社さまは、このことを掲示しておかれるとよいでしょう。

オートロック付きの物件の場合は、玄関を施錠しない方が少なくありません。しかし、オートロックは突破できてしまいますので、過信しないようにしましょう。

高層階にお住まいの方の中には、窓を開けっぱなしで外出される方がおられます。窃盗犯が隣の部屋に侵入したあと続けて被害に遭う可能性もありますので、油断は禁物です。

凶悪犯

つづいてご注意いただきたいのが、強盗や放火、強制性交などの「凶悪犯」です。発生件数は少ないですが、人命に関わるため、何としても避けたい犯罪です。

強盗は、室内に侵入して刃物等で脅し、金目のものを奪います。店舗や一戸建て、分譲マンションだけでなく、賃貸物件でも発生しています。

参考:警視庁公開捜査一覧「強盗」

放火による出火件数は、おおむね減少傾向にあります。とは言え、日頃から防犯意識を欠かしてはいけません。万が一、放火されると甚大な被害が発生してしまいます。

ゴミや車両など、火をつけやすいものがある場所の管理・監視を怠らないようにしましょう。入居者は、付近で不審火が相次いでいるようなら、一時的な避難も検討したほうがよいかもしれません。

参考:令和2年版 消防白書

女性にご注意いただきたいのが、強制性交です。帰宅時に、つけてきた犯罪者に押し入られる事件が起きていますので、「オートロックがあるから」と油断しないようにしましょう。

オートロックは、万能ではありません。適当な部屋の番号を押して宅配業者を装えば、オ-トロックを解除させられます。住人がドアを開けたときに一緒に建物内に入り込む「共連れ」も要注意です。

発生場所は、小学生から高校生では「エレベーター・廊下・階段」などの共有空間の被害が多く、大学生以上では「室内侵入」の被害が多くなっています。

参考:警視庁子ども・女性の安全対策に関する有識者研究会 提言書

変質者

ストーカー等の「変質者」にもご注意ください。狙われる覚えがない方が過剰に心配する必要はありませんが、以下のような簡単にできる対策は常に怠らないようにするとよいでしょう。

  • 尾行や待ち伏せに気を配る
  • 防犯ブザーを持ち歩き、すぐに使えるようにしておく
  • 玄関で鍵を探さない(あらかじめ準備しておき、素早く部屋に入る)
  • 窓やドア、ポストは常に施錠を怠らない

盗撮や盗聴も、テレビなどで話題になると不安になってきますよね。一般住宅で盗聴・盗撮事件はめったに起こりませんが、心配なら盗聴器・盗撮器探索サービスを利用するとよいでしょう。

賃貸物件はどんな防犯対策を実施するべきか

賃貸物件はどんな防犯対策を実施するべきか

さて、窃盗犯・凶悪犯・変質者について順番にご説明しました。いずれにも言えることですが、防犯は不用意に侵入されないことが重要です。

ですから、玄関ドアと窓およびベランダの防犯対策は、とくに意識することをおすすめします。そして、防犯対策を過信せず、常に気が緩まないように用心することが大切です。

つづいて、玄関ドア・窓・ベランダの防犯対策をご紹介しましょう。

玄関ドアの防犯対策

玄関でまず注意したいのが、ドアロックでしょう。貸し手は鍵を交換しておくこと、借り手は入居前に鍵が交換されているか確認することが大切です。

さらに、以下のような解錠されにくいドアロックの物件を選ぶと、なおよいでしょう。

  • ディンプルキー
  • カードキー
  • 1ドア・2ロック

先述のとおり、侵入方法は「ドア錠破り」より「無施錠」のほうが多いそうです。いくらドアロックの性能が高くても、施錠しなければ効果がありません。くれぐれも注意したいところです。

不在時の「空き巣」だけでなく、在宅時の侵入にもご用心ください。あえて在宅中を狙う「居空き」や就寝後を狙う「忍込み」も、少なからず発生しています。

在宅中は「人がいるから」と油断して、玄関を解錠したまま放置していませんか?在宅中に侵入されると、犯人と対面してしまうリスクが高く危険です。侵入を防ぐために、以下に注意しましょう。

  • 部屋にいるときも、施錠しておく
  • ドアチェーンやドアガード(アームロック)もかけておく
  • ゴミ出し等、短時間の外出であっても鍵をかける
  • ポストや鉢植えの下などに置き鍵をしない

入居者が使える「玄関ドアの防犯対策グッズ」をいくつかご紹介しましょう。

  • ドアスコープカバー(のぞき見対策)
  • 鍵穴ロック(ピッキング対策)
  • あとづけできる電子ドアロック(2ロック化)

なお、施工が必要なものは、大家さんや管理会社さんに相談してから設置するようにしましょう。原状回復が必要になるグッズもあり、無断で設置するとあとで問題になりかねません。

大家さまや管理会社さまは、常時施錠を促し、入居者が変わるタイミングで必ず鍵を交換していただくとよいでしょう。以下の設備も、おすすめです。

  • モニター付きインターホン
  • 防犯性が高いドアロック
  • ホームセキュリティ

上述の設備は、オートロックと違い比較的簡単にあとづけできます。入居者さまにも人気ですので、ご検討ください。

ベランダの防犯対策

ベランダの防犯対策は、以下にご注意いただくとよいでしょう。

  • ベランダ側が街灯や人通りのある道路に面した物件を選ぶ
  • 4階以上、かつ最上階ではない部屋を選ぶ
  • 隣の建物からベランダに飛び移れないか、確認する
  • 洗濯物はなるべく部屋干しする
  • 燃えやすいものをベランダに放置しない

ベランダ側が街灯や人通りのある道路に面した物件は、そうでない物件より侵入されにくいでしょう。同じく、1~3階より、4階以上のお部屋のほうが安心です。

ただし、隣の建物から飛び移られるケースや屋上から侵入されるケース(「下がり蜘蛛」と呼ばれる手口)もあります。ですから、高層階でも用心は必要です。

窃盗を防ぐために、洗濯物をなるべく部屋干ししていただくのもよいでしょう。ベランダに燃えやすいものを放置すると放火の危険性が高まりますので、やめましょう。

ベランダ用の防犯グッズは少ないですが、据え置き式の人感センサーライトなら入居者でも設置可能です。大家さまは、浴室換気乾燥機の導入をご検討いただくとよいでしょう。

窓の防犯対策

玄関と同じくらい侵入されやすいのが「窓」です。窓の防犯対策は、以下にご注意いただくとよいでしょう。

  • 女性らしい色・柄のカーテンをかけない
  • 出かけるときは、わずかな時間であっても鍵をかける
  • 外出時は照明をつけて出る(タイマーで点灯・消灯できる照明もある)

意外と見落としがちなのが、照明です。女性を狙う犯罪者は、夜間に帰宅する女性をつけ、入っていったマンションやアパートの外からどの部屋に明かりがつくか見ています。

ですから、タイマーつきの照明等で留守や帰宅を悟られないようにするだけでも、ある程度防犯になります。他にも、以下の防犯グッズも有用でしょう。

  • 補助錠(錠破りの時間稼ぎ)
  • 防犯フィルム(ガラス破り防止)
  • 目かくしフィルム(透明ガラスをくもりガラスにできる)

窓につける補助錠は、高い位置につけるとよいでしょう。高所の錠は、ベランダ内に隠れて解錠しにくいですので、防犯効果が高くなります。

防犯フィルムはネットでも買えますが、専門業者が扱うもののほうが高い防犯性を期待できるでしょう。なお、貼る前に必ず大家さんや管理会社さんの了承を得てください。

大家さまや管理会社さまも、防犯ガラス窓やホームセキュリティの導入をご検討いただくとよいでしょう。

【まとめ】賃貸マンションやアパートの防犯対策でお悩みの管理会社さまへ

管理が行き届き、かつ防犯に役立つ設備が整っている賃貸物件が人気です。防犯対策は、防犯だけでなく入居率の向上にも効果的です。

ご紹介した設備以外にも、防犯カメラや宅配ボックス、庭先にまく砂利(足音が鳴る)なども侵入者対策として有効です。複数の対策を併用して、入居者さまの安全を高めてみてはいかがでしょうか。

防犯対策についてじっくり考える余裕がないご多用の方は、弊社REPAIR(リペア)がお手伝いしますのでご相談ください。

REPAIRには、原状回復から大規模リノベーションまで、年間1万件を超える工事実績と豊富な経験があります。この実績と経験を活かし、賃貸管理のご担当者さまに解決策をご提案できます。

防犯対策でお悩みの方は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。

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