不動産会社の業務マニュアル作成のポイントは?手順も解説

この対応、誰がやっても同じ質でできるようにしたい」「マニュアル化するにはどうすれば?」と悩んでいませんか?古いマニュアルが放置され、現場で使われなくなっていませんか?

不動産業界は業務が複雑で属人化しやすいため、業務マニュアルが組織運営の要になります。役立つマニュアルがあれば、業務の標準化・効率化はもちろん、新人教育の負担も軽減できるでしょう。

本稿では、マニュアルを作成する際のポイントを解説します。現場で使えるマニュアルを、ゼロからどう作り、どう活用するかもステップ形式でご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

目次

不動産会社の業務マニュアル作成のポイント

不動産会社の業務マニュアル作成のポイント

さっそく、不動産会社の業務マニュアル作成のポイントを3つご紹介します。作成前に以下の3つを押さえておくと、あとの作業がスムーズになります。

  • マニュアルの目的を明確にする
  • 現状調査や分析、ノウハウの洗い出しをおこなう
  • ただの「手順書」にならないように注意する

順番に詳しく解説しましょう。

マニュアルの目的を明確にする

まず、マニュアルの目的を明確にすることが非常に大切です。たとえば、以下のような目的が考えられます。

  • 業務の効率化
  • 業務の標準化
  • 属人化の解消
  • 人材の育成・教育
  • トラブル対応方法の共有
  • 法令遵守・品質管理

明確な目的は「本当に必要な項目は何か」「誰に向けてどの深さまで書くか」の判断基準となります。つまり、目的が明確になれば、盛り込む内容や構成も自然と見えてくるのです。

逆に目的が曖昧だと、内容が散漫になり、せっかくマニュアルを整備しても現場で使われない恐れがあります。

現状の調査や分析、ノウハウの洗い出しをおこなう

次に、現状の調査や分析、ノウハウの洗い出しをおこないます。

この過程の精度がマニュアルの質を決める ⸺ と言っても過言ではありません。

▼情報収集の精度がマニュアルの質を決める

現状調査のコツをご紹介します。

以下のことについて、賃貸仲介や物件管理の現場がどうなっているかチェックしてみてください。

  • 実際にどのような手順が踏まれているか
  • 属人的におこなわれている判断や工夫は何か

まず、現場社員へのヒアリングや日常業務の観察を通じて、現状の手順や所要時間、使用書類などを棚卸しします。業務フローも、初めから終わりまで書き出してみるとよいでしょう。

各ステップでつまずきやすい点やミス事例、ベストプラクティスもあわせて収集します。業務上の問題と課題(改善のための取り組み)を考察することも大切です。

例をあげてみましょう。

  • 仲介業務で契約に至らないケースが多いなら、その要因と解決策を探る
  • クレーム対応に時間がかかっているなら、フローのボトルネックと改善策を探る

こうした分析を経ると、標準化のポイントや盛り込むべき改善策が明確になり、マニュアルが「より具体的で役立つもの」になるでしょう。

▼不要なプロセスや暗黙知をなくす

また、現状の手順を洗い出す中で不要なプロセスが見つかることもあります。その場合は、より効率的な流れに再構築する好機と捉え、マニュアル化の段階で思い切って手順を見直しましょう。

暗黙知化しているノウハウも、徹底的に言語化します。ベテランにとって「当たり前」のことでも、新人には分からない作業が多々あるものです。

しかし、ベテランの暗黙知を言語化できたら、これほど新人にとって学びになることはありません。新人とベテランの業務プロセスの違いを洗い出し、ベテランに解説してもらうとよいでしょう。

ただの「手順書」にならないように注意する

業務マニュアルを作る際、単に作業手順を時系列で書くだけの味気ない「手順書」になりがちです。

手順書では「なぜその手順が必要なのか」「その作業はどんな意味があるのか」が読み手に伝わらず、現場で活用されにくくなります。「書いてあることしか対応できない人」も増えるでしょう。

マニュアルの有効性を高めるには、各手順に込められた目的や背景知識を適切に補足することが大切です。そのようなマニアルがあれば、社員もより主体的かつ柔軟に業務を遂行できます。

不動産会社の業務マニュアルの作成手順

不動産会社の業務マニュアルの作成手順

では、以上のポイントを踏まえて「不動産会社の社内業務マニュアルを作成する手順」をご紹介します。

マニュアル作成プロセスを4つのステップに分けて解説しましょう。

1.構成の決定

まず、マニュアルの全体構成(目次)を決めます。明確にした目的と対象業務をもとに、理想の状態を実現するために記載すべき項目を洗い出し、適切な順序で章立てをおこないましょう。

不動産会社の業務マニュアルでは、たとえば以下のような章構成が考えられます。

  1. はじめに(マニュアルの目的・対象読者・使い方の説明・注意事項など)
  2. 組織・業務内容(会社の組織図や各部署の役割、担当業務の紹介)
  3. 業務手順(業務の具体的な手順やルールを段階ごとに説明)
  4. 情報管理・保管(顧客情報や物件資料、契約書類等の管理方法について)
  5. マナー・ルール(社内の基本ルールやビジネスマナー、顧客対応上の心得など)
  6. FAQ(よくある疑問、社員からの問い合わせが多い事項について回答)
  7. 付録(必要に応じて用語集、各種様式テンプレート集、関係法令の抜粋など)
  8. 改訂履歴(マニュアルの更新履歴を一覧にしたセクション)

上述の構成は一例です。自社の目的に照らして過不足のない章立てをおこなうことが大切です。

見出しや章・節の階層も、しっかり設計しましょう。目的の情報を探しやすく、読み手の理解を助ける論理的な構造にするとよいでしょう。

この段階で社内関係者に構成案をレビューしてもらい、「抜けているテーマはないか」「不要な章立てはないか」確認することも有効です。

2.コンテンツの作成

構成(目次)が固まったら、各章ごとの具体的なコンテンツを書き起こす作業に入ります。

収集した現行業務の情報やノウハウをもとに、読み手(利用者)が理解・実践しやすい形で文章・図表に落とし込んでいきます

コンテンツ作成のポイントをあげておきましょう。

  • 各項目について盛り込むべき情報を整理する
  • 執筆では平易で簡潔な表現を心がける
  • 積極的に図解や画像を用いて、視覚的に理解を助ける
  • 可能な限り具体的な事例や推奨例をあげる

上述の4つのポイントを押さえ、「新人でも分かる表現になっているか」「情報が過不足なく網羅されているか」を意識して執筆することで、読みやすいマニュアルになります。

執筆が進んだら、随時レビューと修正をおこないましょう。とくに、対象読者となる社員に草稿を読んでもらい、理解できない箇所や疑問点をフィードバックしてもらうとよいでしょう。

3.試用・チェックと改善

コンテンツを一通り作成したら、実際にそのマニュアルを使ってテスト(試用)を実施しましょう。現場の社員にマニュアルを配布し、通常業務の中で参照してもらい、フィードバックを収集します。

とくに、新人社員や他部署から異動してきた社員など、マニュアルがないと困る立場の人に使ってもらうとよいでしょう。分かりにくい箇所や不備を洗い出しやすくなります。

チェックしてもらう項目の例をあげておきましょう。

  • 手順や説明に漏れ・誤りはないか
  • 初心者が読んでも理解できるか
  • ボリュームや詳細度は適切か

試用段階で寄せられた意見をもとに、必要に応じてマニュアルの内容を改善します。指摘は真摯に受け止め、原因を分析して修正を加えましょう。

完成稿に近づいた段階で、最終チェックとして関係部署の確認も取ります。とくに、社内規程や法令遵守の観点で問題がないか会社方針と矛盾する記載がないかなどを点検します。

こうしたテスト運用と改善を重ねることで、机上では気付かなかった問題点が是正されます。より実務に即した、有用なマニュアルに仕上がっていくでしょう。

4.定期的な更新

マニュアルは、時間の経過とともに内容を見直すべき点が必ず出てきます。ですから、完成したあとも、定期的な更新・改善を継続できる運用体制が不可欠です。

予め、定期レビューのスケジュールを決めておくとよいでしょう。半年あるいは一年に一度、関係者が集まってマニュアルの内容を点検する場を設けると更新忘れがなくなります。

たとえば、以下を議題にあげ、必要な改訂をおこないます。

  • 過去◯か月間で、現場からあがった改善要望はあるか
  • プロセス変更にともない、書き換える必要がある箇所はないか
  • 法令改正や新システム導入による変更はないか

こうした定期メンテナンスをおこなうことで、常に現状に即した《生きたマニュアル》を維持できます。

更新作業を円滑におこなうために、マニュアルの管理責任者を明確にしておくことも大切です。担当者がアンテナを高く張り、現場ヒアリングを継続することで、些細な問題も拾い上げられます。

業務マニュアルは、社員全員の知恵と経験を結集し継続的に育てていく《会社の財産》です。目的意識を忘れずに、現場で本当に使える一冊に作り上げましょう。

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