築古物件の早期売却に役立つ「付加価値上昇リフォーム」のすすめ

中古物件の売買市場では、近年急速に築古物件が増えています。とは言っても、築古物件の売買が良い意味で「活性化」しているわけではなく、むしろライバルの増加で逆境に立たされている売主が多いのです。

いっぽう、買主に人気なのは築年数20年未満の物件です。ですから、需要と供給のバランスが崩れていて、この事実を見ても、築古物件にとって不利な状況と言わざるを得ません。手をこまねいていると、築古物件は今後ますます不利になっていくでしょう。

本稿では、築古物件の早期売却で役立つリフォーム等の施策をご紹介します。築古物件を売却される際の参考になれば幸いです。

目次

築古物件の早期売却に役立つ施策

さっそく、築古物件の早期売却で役立つ施策を2つご紹介します。その前に、築古物件の売却にとってどういう施策が有効なのか、まずはそこからご説明します。

築古物件の早期売却に役立つ施策とは?

築古物件の早期売却に役立つ施策とは?

築古物件の早期売却にマーケティング的思考を持ち込むなら、売却したい物件や競合物件、市場の状況把握が欠かせません。では現在、築古物件はどのような状況に置かれているのでしょうか。

東日本不動産流通機構がまとめた資料によると、戸建て・マンション共に登録物件と成約物件の平均築年数が年々上昇しています。とくに、直近5年間で「築31年以上の物件」の構成比が急速に上がっているのです。

とりわけマンションの新規登録物件は築古化が顕著で、成約物件の平均築年数と比べた際、どんどん乖離幅が大きくなっています(下グラフ参照)。この点に留意して、築古物件の売却に挑まねばなりません。

マンションの新規登録物件は築古化が顕著
グラフ出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)

築古物件はライバルが増えているのに、需要はそれほど増えていません。東日本不動産流通機構がまとめた資料を見ると、築20年以上の物件は成約率が著しく下落しています。

つまり、築古物件に関しては需給バランスが崩れている状態で、値下げの効果も限定的と考えられます。手をこまねいていると、だんだん不利になることは想像に難くありません。

では、どうすればいいのでしょうか。それを考えるにあたり、なぜ買主がキレイで新しい物件を好むのか想像してみると、ヒントが見えてきます。たとえば、買主はこんな理由で築浅を選んでいるのではないでしょうか。

  • 中古の設備は、心理的になんとなく嫌
  • 古い物件は、すぐに不具合が出そうで不安
  • 築古は、メンテナンスにすごい金額がかかりそう
  • 築古物件は寿命が短く、長く住めなさそう
  • 人に見せても恥ずかしくない物件に住みたい

築古物件を選んでもらう方法は、単純です。上述のような「選ばれない理由」を、可能な限りつぶしてしまえばいいのです。買主の不安払拭や見た目の印象向上に努め、競合物件と引き比べられないような付加価値をつくり出すことが早期売却の近道と言っていいでしょう。

そこでおすすめしたいのが、ホームインスペクション付加価値向上リフォームです。

ホームインスペクションで家の状態を明らかにする

ホームインスペクションで家の状態を明らかにする

古い建物を好む方は、決して少なくありません。SDGsや脱炭素が叫ばれるご時世ですから、リサイクルとも呼べる中古物件売買は、今後ますます盛んになっていくでしょう。

しかし、築年数が古ければ古いほど、耐震性や老朽化が気になるものです。とは言え、中古住宅は性能や状態を把握するのが難しいので、それが不安要素となり選択肢から外している方がたくさんおられます。

そこで有用なのがホームインスペクション(住宅診断)です。建物の状態を明らかにすることが、買主の不安払拭につながります。

ホームインスペクションのメリット

ホームインスペクションには、以下の3つのメリットがあります。

  • 買主が安心して購入できる
  • 売主が契約不適合責任を問われにくい
  • 瑕疵担保責任保険を付与できる

ホームインスペクションを実施することで、売買前に物件の問題点がわかります。物件の寿命や将来のメンテナンス計画が想定しやすくなるので、買主の不安払拭につながります。

ホームインスペクションによって老朽箇所がわかれば、売主と買主が契約書等で劣化状況を承認し合い、問題を踏まえた価格設定ができます。売買後に買主から契約不適合責任を問われることも、ほぼなくなるでしょう。

インスペクションで受けた指摘を改善すれば、瑕疵(かし)担保責任保険をかけることも可能です。構造や防水に関する瑕疵に対して補償が出るだけでなく、住宅ローン減税も利用できるようになります。

この3つのうち1つでも取り入れることができたら、他の築古物件に対するアドバンテージになるでしょう。

ホームインスペクションのデメリット

ホームインスペクションのデメリットは、ほとんどありません。しいて言えば、費用がかかることでしょう。

費用の相場は検査事業者や物件規模によって変わり、おおよそ4~8万円くらいです。マンションのほうがやや安く、一戸建ての床下や屋根、小屋裏も調査した場合は6~12万円くらいかかります。

決して安くない費用ですが、早期売却と値引き抑制効果が期待できるので、投資とも考えられます。実際、全国宅地建物取引業協会連合会がおこなったアンケート調査によると、ホームインスペクションの利用効果を実感している方が過半数おられます。

  • 自宅の売却が希望価格で売れた(64.3%)
  • 買手が早く見つかり売却がスムーズにできた(51.8%)

ホームインスペクション活用のコツがわかると、効果的な打ち手のひとつになるのではないでしょうか。

なお、ホームインスペクションの費用については、以下の記事でも解説しています。詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。

ホームインスペクション(既存住宅状況調査)の費用相場

付加価値向上リフォーム(リノベーション)を実施する

付加価値向上リフォーム(リノベーション)を実施する

ホームインスペクションの指摘箇所を改善したり、古い設備や内装を一新したりすることで、買主が物件から受ける印象はかなり向上するでしょう。同じような築古物件に対して、大きな競争力になることは疑う余地がありません。

しかし、築20年未満の物件に対してはどうでしょうか。原状に戻すリフォームでは、基本性能や建物の寿命を考慮すると、勝ち目が薄いのではないでしょうか。

築年数が浅い物件を抑えて築古物件が選ばれるためには「選ばれない理由つぶし」と「土俵を変える」ことが大切です。それぞれ、ご説明しましょう。

選ばれない理由をつぶす

「選ばれない理由」をつぶすことの大切さは先に述べましたが、もう少し補足しておきます。

ご存知のとおり、住宅は建った年代が新しいほど、住宅性能を規定する法規が厳しくなっています。それによって住宅性能が向上していますので、その差も「選ばれない理由」になり得ます。

たとえば、以下は記憶に新しいところでしょう。

  • 2000年:品確法施行(住宅性能表示制度制定)
  • 2003年:建築基準法改正(シックハウス対策義務化)
  • 2013年:省エネ基準改正(評価方法が変わった)

2000年の品確法施行は、以降に設計された住宅の性能全般が底上げされるきっかけになりました。2000年以前に設計された住宅は、耐震性・耐久性・省エネ性を現行標準に引き上げておかないと見劣りしてしまいます。

2003年の建築基準法改正では「シックハウス対策」が義務づけられ、24時間換気システムが導入されました。常時換気はホルムアルデヒド対策だけでなく結露対策にも有効であり、24時間換気システムのあるなしは物件の訴求力に影響します。

2013年の省エネ基準改正ではQ値とμ値が廃止され、外皮平均熱還流率(UA値)と平均日射熱取得率(ηA値)に変更されました。これも住宅の省エネ性能が向上するきっかけになりましたので、築古物件は現行標準並に追いついておきたいところです。

新築や築浅物件と、違う土俵で勝負する

新築や築浅物件と、違う土俵で勝負する

いろいろと、つぶすべき「選ばれない理由」をご紹介しました。これらをできるだけ解消するこが、早期売却の推進力になります。

とは言え、築古物件の劣後を全て現行標準にできたとしても、ようやく築浅物件に肩を並べられる程度です。価格等の条件が似ているなら、築浅物件が選ばれるでしょう。この課題解決に役立つのが「土俵を変えること」です。

一般的な住宅がよく使う新建材や空間デザインは、内見を重ねた買主にとって見慣れた感(見飽きた感)があるでしょう。そこで、比較対象(ライバル)を減らすために、リフォームで以下を引き立たせるのです。

  • 凡庸な住宅が表現しきれない風合い
  • 訴求力のある個性的な外観や内装
  • 築古物件だけがもつビンテージ感

こんな物件、買い逃したら二度と出会えない」と思ってもらえたらしめたものです。特徴のない汎用住宅と同じ土俵に立たないよう、意識してみましょう。ターゲットを想定したうえで、リフォームを活用して「希少性」を演出してみてはいかがでしょうか。

ターゲットは、地域性や物件の特徴を考慮して決めるといいでしょう。たとえば、人気の学区にある物件なら「来年小学校に入学する子どもがいるファミリー」ですね。環境がよく土地が広いなら「書斎を作りたいリモートワーカー」などどうでしょう。

中には「自分でリノベーションしたい」とお考えの買主もいて、スケルトンにすることを前提に安い物件を探しています。リフォームにお金をかけたくない方は、そんな買主をターゲットにして、リノベーションプランのプレゼン資料を渡す方法もあります。

【まとめ】付加価値向上リフォームで築古物件を早期売却

ORGAN CRAFT(オルガンクラフト)では、ご成約前の売り出し中物件に対しても、リノベーションのご提案図と概算お見積もりを作成しております。ご利用くださった不動産仲介会社様から「内覧を促しやすくなった」「成約率の向上につながった」とご好評をいただいております。

リノベーションに関する業務は弊社が引き継ぎますので、これまで契約後に費やしてきたリソース(時間と労力)を次の業務に振り分けていただけます。ビジネスの効率化とスピードアップにお役立てください。

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