リノベーションに取り入れたいモダン系インテリアスタイル4選

世の中には「モダン」と名の付くさまざまなスタイルがありますが、明確に違いを理解している方は少ないでしょう。あなたも「モダンと和モダンって、どう違う?」と疑問に感じていないでしょうか?

「モダン」と名の付く多くのスタイルは、モダニズム運動を源流に、時代や地域性によってローカライズされたものです。「ミニマリズム」を通奏低音に、各地・各時代にあわせて発展しました。

本稿では「モダンミッドセンチュリーモダン北欧モダン和モダン」の4つのスタイルを取り上げ、それぞれの特徴をご紹介します。インテリアのコーディネートをしたい方の参考になれば幸いです。

目次

モダン:デザイン界のメインストリームとなった革新的スタイル

モダン:デザイン界のメインストリームとなった革新的スタイル

まずは、元祖・モダンスタイルからご紹介しましょう。

モダンスタイルの概要

モダンスタイルのルーツは、ドイツのデザイン学校・バウハウスや、20世紀初頭から半ばにかけて起こったモダニズム運動に端を発しています。ヨーロッパで生まれ、アメリカにわたり花開きました。

モダンスタイルは、それまでのデザインの主流であった装飾性や表現手法を徹底的に排除しています。ミニマリズム(最小主義)的表現を取り入れ、本質的な形や機能を重んじているのです。

現在、この革新的なスタイルは、デザイン界のメインストリームになっています。数多くのデザインやスタイルに影響を与え続けていて、今日においてもなおその影響力は色褪せることがありません。

モダンスタイルの特徴

モダンスタイルの特徴を簡潔に表わすと「明快ですっきり冗長な装飾がない機能的・合理的・建築的」です。

空間デザインはシンプルなラインが強調され、はっきりした直線や曲線、平面で構成されます。家具も、ストレートで洗練されたフォルムのものがよく用いられます。

また、余白スペースが大切にされ、動線や家具と家具のあいだの空間をじゅうぶんに取ります。「オープンで通気性がよく、広々とした印象」がモダンな空間の特徴と言えるでしょう。

▼素材

素材も、モダンスタイルを表わす特徴のひとつです。たとえば「合板ガラススチールコンクリートプラスチック」など、近代的な素材がよく用いられます。

モダンスタイルでは、このような素材により「スタイリッシュで洗練されたデザイン」が生み出されています。

▼カラーコーディネート

モダンスタイルでは、色彩を抑えたパレットを用います。たとえば、白や黒、グレーといったモノクロカラーが基調色に選ばれます

従属色には、ニュートラルな中間色が用いられます。そして、アートやアクセサリーに、ポップなレッドやブルーなど強い色のアクセントが差し込まれます。

このような色使いが、モダンスタイルの潔さと洗練された印象を支える背骨となっています。

▼照明

モダンスタイルの照明は、デザイン性が高く、空間を引き締める役割を担っています。ムダや装飾のない彫刻のようなフォルムの照明が用いられます。

直接照明と間接照明のミックスもポイントです。天井に埋め込まれたダウンライトが、余計な装飾性を排除しながら、直線的な光で空間を明るく照らします。

一方、壁や床に設置された間接照明が、優しい光でリラックスした雰囲気を醸し出します。照明同士の調和は、モダンスタイルを格上げするために欠かせません。

間接照明のディテールを強調するために、壁面にアートを用いることもあります。

▼家具

モダンスタイルの空間には、建築になじむ家具が合います。まるで建築に共鳴するかのように、インテリアとシームレスにつながることができる家具を選ぶ必要があるでしょう。

モダンスタイルの代名詞とも言える「合板、ガラス、スチール、プラスチック」などは、家具にも用いられます。

ミッドセンチュリーモダン:戦後の米国で発展した陽気なモダンスタイル

ミッドセンチュリーモダン:戦後の米国で発展した陽気なモダンスタイル

つづいて、ミッドセンチュリーモダンスタイルをご紹介します。

ミッドセンチュリーモダンの概要

ミッドセンチュリーモダンは、1945年から1970年あたりまで、主にアメリカでデザインのムーブメントとなりました。モダンスタイルを踏襲しつつ、より有機的でカジュアルな要素が加えられています。

ある意味、戦後のアメリカの世相を反映していると言えるかもしれません。厳格なモダンスタイルと比べると豊かで陽気、そしてドキドキわくわくするような要素が見て取れます。

この時代、金属やプラスチックの生産・加工技術が急速に発展しました。この技術に裏打ちされた三次元曲面、あるいは幾何学的なフォルムが、このスタイルのアイコンとなっています。

▼素材

ミッドセンチュリーモダンでは、オーガニックなものと人工的なものをうまく組み合わせて使います。有機・無機、あるいは天然・人工にこだわらないニュートラルな使い方です。

木材・皮革・ウールなどの自然素材が多用される一方で、スチール・プライウッド・ファイバーグラスといった新しい素材も活用されています。

▼カラーコーディネート

ミッドセンチュリーモダンでは、独特の陽気な色彩が用いられます。レトロな雰囲気を醸し出すパステルカラーを積極的に取り入れ、ナチュラルで深みのある空間に仕立て上げます。

アクセントカラーも、レトロなものが好まれます。たとえば、ティール(ブルーグリーン)やマスタードイエローなどが差し色に選ばれ、温かみのある居住空間の実現に一役かっています。

壁紙やテキスタイルに用いられる力強い幾何学的なパターンも、ミッドセンチュリーモダン的なスタイリッシュさを演出するのに役立ちます。抽象的な絵画や、古きよきポスターも合います。

▼家具

ミッドセンチュリーモダンは、レトロかつ機能的な家具の選定が鍵と言えるでしょう。このスタイルから、アイコンニックな家具が多数輩出されています。

デザイナーで言えば、ジョージ・ネルソンチャールズ&レイ・イームズ。素材で言えばプライウッド(成形合板)ワイヤシェル構造テーパードレッグがこのスタイルを象徴しています。

モダンスタイルと同様に装飾の少ないムダを排したフォルムですが、クールと言うよりエレガントさがにじみ出ています。優雅なフォルムと、天然木の温もりを感じるからでしょう。

アクセントになるようなラグやクッションで、遊び心をプラスするのもお忘れなく。

▼照明

ミッドセンチュリーモダンの照明は、部屋にドラマをもたらす役割を担っています。ペンダントライトやフロアランプなどの照明器具が、空間デザインの一環として重視されます。

照明のデザインは、シンプルなものよりもアート性のあるもの空間にアクセントを生み出せるものが好まれます。もちろん、照明としての機能も優れている必要があります。

明るく印象的な陰影をつくる、デザイン性の高い照明。ただ明るさを提供するだけでなく、美的にも部屋の雰囲気を整える役割を果たす照明は、このスタイルに必要なピースです。

北欧モダン:スカンジナビアの気候と風土が生んだモダンスタイル

北欧モダン:スカンジナビアの気候と風土が生んだモダンスタイル

つづいて、北欧モダンスタイルをご紹介します。

北欧モダンの概要

北欧モダンは「北欧で育まれたモダンスタイル」と考えるといいでしょう。シンプルで機能的、そして自然への深い敬意を表わすスタイルであり、半世紀以上にわたり世界的に高く評価されています。

このデザインムーブメントの起源は、北欧諸国(デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー)にあります。しかし、デザイン性に通底するものがあるのか、日本でも非常に人気です。

このスタイルの要素を簡潔に表わすと「機能的でありながらシンプル明るくて落ち着いた色調自然の恩恵を活用」です。日照時間が短く、自然に恵まれている北欧ならではですね。

北欧モダンの特徴

北欧モダンのインテリアは、機能的かつシンプルな美しさで成り立っています。居心地のよさ大切にしていますので、明るく開放感があります。モダンスタイルのような「よそよそしさ」がありません。

北欧モダンでも、余分な装飾は排除されます。機能性と美的な魅力のバランスを取りながら、シンプルなラインと明るい色調で空間を爽やかに演出します。

▼素材

素材は、天然木などのナチュラルなものが多用されます。とりわけビーチやオーク、アッシュなどが好まれ、暖かみのある質感と自然な美しさを室内にもたらすのに役立っています。

ウールやリネン、コットンなどの自然繊維を使ったテキスタイルも、このスタイルの特徴的な素材と言えるでしょう。実用的かつ美しいラグやクッションが、空間に温かみを加えます。

▼カラーコーディネート

日照時間の短い北欧では、光を反射する「白」が好まれます。パステルやグレイッシュなど、天然木の明るい色とよく合う色彩も用いられます。

メインは白や自然木の温かい色、サブにグレイッシュな色やパステルカラー。そして、アクセントに鮮やかな色やフレッシュな色のアクセサリーを持ってくると、北欧モダンらしくなります。

カラーガラスや白黒のアートや、ライラックやマスタードイエローのファブリックも北欧モダンに映えるでしょう。グリーンやミニマルな木製オブジェも、適しています。

▼家具

北欧の家具界からは、20世紀のデザインを代表するマスターピースがいくつも生まれています。その系統を受け継ぐ家具を選ぶことが、北欧モダンスタイルの空間づくりに欠かせません。

北欧家具は、シンプルなフォルムと使い勝手のよさを重視しています。人間工学に基づいた快適さや、清潔感のあるラインが特徴的です。装飾は省かれますが、美しさの表現に妥協はありません。

たとえば、アルヴァ・アアルトやアルネ・ヤコブセン、ハンス・J・ウェグナーなどのデザイン家具を見てみるといいでしょう。北欧家具が「唯一無二」であると分かります。

▼照明

北欧モダンでは、大きな窓などで自然光を最大限に活用することが重要です。一方、夜が長い北欧では、空間を暖かく照らすランプやキャンドルも好まれます。

照明は、実用性とデザイン性を兼ね備えたものが選ばれます。ソフトなオレンジの光を放つ照明で、空間全体を温かく照らし、ヒュッゲ(hygge)な心地よいひとときを過ごします。

ルイスポールセンの照明が、参考になるでしょう。

和モダン:日本的美意識に「モダン」を取り込んだスタイル

和モダン:日本的美意識に「モダン」を取り込んだスタイル

つづいて、和モダンスタイルをご紹介しましょう。

和モダンの概要

日本的な美意識にモダンの要素を取り込んだのが「和モダンスタイル」です。日本の伝統的な美意識と現代的なミニマリズムの統合、とも言えるでしょう。

和モダンの背後には、ものの本質を見つめ、自然との調和を大切にする日本古来の哲学が息づいています。モダンでありながら和の趣きを感じる「しっとりと落ち着いた佇まい」が身上です。

たとえば「静かな雰囲気柔和で繊細端正な空間余白の美学白木の木材左官仕上げ自然界にある色簾戸障子」など、我々に深く根ざしているものがエッセンスになります。

和モダンの飾り気のないシンプルで品格のあるデザインは、日本人のライフスタイルに寄り添ってくれます。

▼和モダンの特徴

和モダンでは、色や素材、光と影の配分に繊細な注意が払われます。質素ながらも、心安らぐ居住空間の創造を目指します。

空間は開放的で、流れや動きやすさ、視覚的な広がりが考慮されます。古来からの日本家屋と同様に、襖や障子を用いて柔軟に空間を分割することもあります。

自然の美を取り入れ、季節感を反映させるアイテムを配置することも、和モダンの雰囲気づくりに役立ちます。畳や簾、木製の格子など、伝統的な要素も有用です。

▼素材

和モダンでは素材の質感や手触りを大切にするため、天然木を多用します。石や竹、和紙も和モダン的な素材と言えるでしょう。天然素材の色彩も、落ち着いた雰囲気を創出するのに役立ちます。

とりわけ、壁や床材には自然な風合いを持つ素材が欠かせません。たとえば、畳やなじみのある樹種の無垢フローリング、左官仕上げの壁などがその代表でしょう。

伝統的な和のデザインを、モダンな素材でアレンジして現代的な空間に取り込む試みも見られます。海外製の和柄クロスや伝統的意匠のテキスタイルも、和モダンに適しています。

▼カラーコーディネート

和モダンでは、抑えめで落ち着いたトーンの色をベースに選び、渋い色のアクセントを効かせたカラーコーディネートをよく見ます。

とりわけ、藍色や茶色、抹茶色、ねずみ色は和モダンとよく合います。天然素材の色も、積極的に空間に取り込まれます。

▼家具

和モダンの家具は、シンプルながらも機能的です。他のモダンスタイルと同様に、ムダな装飾を省きつつも美しさを感じさせます。

重心の低さも、特徴と言えるでしょう。洋家具のように背の高いものが少なく、落ち着いた印象です。重厚な柱や梁がある空間、あるいは床座でくつろげる空間に適しています。

▼照明

和モダンスタイルの照明では、木や竹、和紙などの自然素材が多用されます。このような温かみのある素材と、間接照明の柔らかな光を用いて、穏やかな空間づくりに努めます。

照明のデザインは、装飾的な要素を抑え、シンプルです。行灯(あんどん)や提灯(ちょうちん)などの伝統的な照明器具を、現代的な解釈でリデザインしたものもよく用いられます。

窓からの光と照明の光が自然に溶け合うような配置を考えることも大切です。自然光を活用しつつ、照明の光が自然光の一部であるかのように調和させます。

さまざまなモダンスタイルを、臨機応変に使い分けよう

ご紹介してきたとおり、ひとくちに「モダンスタイル」と言ってもさまざまなものがあります。それらは、ミニマリズムを通奏低音にしながら、時代や地域に合わせてローカライズされています。

ですから、それぞれのモダンスタイルのお手本のような空間を見比べると、明らかに違うと認識できます。そのような個性を臨機応変に使い分けることが、住む人の満足度の向上につながります。

もしも、あなたがインテリアをコーディネートするのであれば、住む人のカルチャーやライフスタイルをしっかり見つめることから始めてみてはいかがでしょうか?最適なスタイルが見つかりますよ。

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