ひと昔前に、ブルックリンスタイルのインテリアがはやりましたね。今でも、ブルックリンスタイルの要素が現代的なアレンジを加えながら住宅や商業施設で採用され続けています。
ところで、いざ住宅のインテリアに「ブルックリンスタイル」を取り入れようとしたとき「あれ?どうすればよかったっけ?」「インダストリアルとどう違ったっけ?」と悩みませんか?
本稿では、ブルックリンスタイルの特徴や要素について詳しく解説します。「ブルックリンスタイルの知識が曖昧だな」と感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ブルックリンスタイルとは
さっそく、ブルックリンスタイルの概要からご紹介しましょう。
まずは、歴史について解説したあと、特徴をご説明します。そのほうが、より深く特徴をご理解いただけるでしょう。
ブルックリンスタイルの歴史は、比較的新しい
ブルックリンスタイルは、1990年代後半から2000年代初頭に、アメリカのニューヨーク州・ブルックリン地区で生まれた比較的新しいスタイルです。さて、どのような背景で生まれたのでしょうか?
ブルックリン地区は、長らく製造業で栄えてきました。しかし、産業の主流がサービス業や小売業へ移る過程で工場や倉庫が不要になり、閉鎖による空洞化が進みました。
一方、隣りのマンハッタンでは、1990年頃から地域の高級化(ジェントリフィケーション)が進行。工場は解体され共同住宅に、個性的な商業施設はコンドミニアム等にコンバージョンされました。
この流れの中で物価が高騰したことをきっかけに、クリエイティブな若年層が物価の安いブルックリンに移住しました。そんな若者によって形成されていったのが、ブルックリンスタイルです。
ブルックリンは、閉鎖されていた倉庫や工業施設がリノベーションされて、おしゃれな街として生まれ変わりました。これが、ブルックリンスタイルが持つ特徴の源泉になります。
このような背景から、ブルックリンではマンハッタンライクなビジネス至上主義やリッチテイストが敬遠され、肩肘張らない雰囲気が重んじられています。オープンマインドで、生活感も隠しません。
一方日本では、2000年代後半あたりから、このライフスタイルに憧れた人々のあいだでブルックリンスタイルが人気となりました。ブルックリンを拠点とするブランドも、続々と日本に上陸しています。
現在、当時ほどの盛り上がりはありませんが、それでも多くの日本の住宅や商業施設でブルックリンスタイルの要素が取り入れられています。
特徴(テイスト)
先述のとおり、ブルックリンスタイルは倉庫や工業施設をリノベーションする形で生まれました。ですから、そのような施設が持つ独特のテイストが、そのままスタイルの特徴になっています。
たとえば、こんな特徴ですね。
- 露出したレンガ
- 金属製の素材を使ったアイテム
- 黒い窓サッシ
- 天井が高く開放的な空間
また、ブルックリンスタイルは、背反する特徴がお互いを高め合うように混ざり合っています。例をあげてみましょう。
- 無骨×エレガント
- ぬくもり×都会的
- ナチュラル×人工的
- レトロ×スタイリッシュ
このように複雑な特徴が混在しているブルックリンスタイルには、不思議なコクと包容力があります。よく「男前インテリア」と呼ばれますが、なんとなくうなずけますね。たしかに「男前」です。
古いものの再活用も、このスタイルの特徴と言えるでしょう。現在の「サステナブルな社会」を目指そうとする価値観にもマッチしたスタイルではないでしょうか。
似たようなスタイルとの違い
つづいて、よく混同されるスタイルとの違いを確認しておきましょう。
インダストリアルスタイルとの違い
ブルックリンスタイルとインダストリアル(意味:産業の、工業の)スタイルには、通底するものがあります。ですから、このふたつのスタイルはよく似ています。
インダストリアルスタイルの源流は、18~19世紀にイギリスで起こった工業化 ―― いわゆる「産業革命」にあります。この工業化はアメリカへ渡り、機械や鉄道を使って急速に進んでいきます。
この時代、ブルジョワ層が増えたことで、住宅インテリアが急速に発展しました。新時代を象徴するように鉄や機械部品などがデザインに取り入れられ、インダストリアルスタイルを形成していきます。
参考:英国インテリアデザインビジネス協会「デザインの起源を知る」
現代のインダストリアルスタイルでも、工場や倉庫、あるいは工業施設などで使われていた家具が再利用されています。廃材のアップサイクルも定番でしょう。
インダストリアルなアイテムは、装飾を排し機能を追求した潔さや無骨さが魅力で、それがそのままインダストリアルスタイルの特徴になっています。
ブルックリンスタイルは、ブルックリンのクリエイティブな若者がインダストリアルスタイルを自分たちなりに解釈してローカライズしたもの、と考えられるのではないでしょうか。
そんなローカライズを経て、ブルックリンスタイルはインダストリアルスタイルより無骨さが抑えられ、都会的なエレガントさが加わったように感じます。
ミッドセンチュリーモダンスタイルとの違い
ミッドセンチュリーモダンスタイルは、20世紀中頃、とくに1940年代から1960年代にかけてのデザインムーブメントから生まれました。こちらは、モダンスタイルの影響を強く受けています。
ミッドセンチュリーモダンスタイルは、シンプルで洗練されたラインと有機的な形状、そして機能性とフォルムの統合に重点を置いています。どこかレトロ感のある明るく鮮やかな色彩も特徴的です。
ブルックリンスタイルとミッドセンチュリーモダンスタイルの共通項は、以下でしょう。
- ノスタルジックなレトロ感
- 天然素材と人工素材の融合
一方、このふたつのスタイルは雰囲気が異なります。
- ミッドセンチュリーモダンスタイル ⇒ 洗練されたエレガンスな雰囲気
- ブルックリンスタイル ⇒ ラフでアーティスティックな雰囲気
それぞれの特徴をより深く理解したい方は、それぞれの源流となるモダンスタイルとインダストリアルスタイルを比較するとよいでしょう。混同することがなくなるはずです。
モダンスタイルについては、以下の記事で詳しく解説しています。ご興味がある方は、あわせてご覧ください。
ブルックリンスタイルのお部屋にするための要素とは
ブルックリンスタイル風のお部屋にするには、どうすればいいのでしょうか?どこに着目すればいいのでしょうか?
アメリカの住宅と日本の住宅を比べると、大きな違いがあります。とくに、ブルックリンスタイルの一要素でもある開放感は、容積の少ない日本の住宅では表現しづらいでしょう。
しかし、ポイントを押さえれば、ブルックリン風のお部屋にできますよ。押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
壁面のポイント
ブルックリンスタイルを演出する際、壁面が大きな役割を果たします。倉庫を連想させる、無骨な仕上げにしましょう。ところどころにデザイン的なキズを付け、経年変化を演出する場合もあります。
仕上げ材は、打ちっぱなしのコンクリートや色褪せたレンガ、サブウェイタイルなどがよく使われます。とりわけレンガは、ブルックリンスタイルのアイコン的な素材と言えるでしょう。
アート作品も、壁面の重要なアクセントになります。ブルックリンスタイルの空間には、モノクロのスチル写真やタイポグラフィーのパネルなどがにあうでしょう。
天井・照明のポイント
躯体をあらわしにした天井仕上げも、ブルックリンスタイルで多用されています。むき出しのスイッチボックスや天井をはう配管が、このスタイルの特徴的なデコレーションになっています。
照明は、古い工場や倉庫で見られるようなヴィンテージスタイルのものが好まれます。金属製のランプシェードが、典型例です。一方、裸電球も積極的に使われます。
ライティングでは、ソフトで暖かい光が用いられます。ブルックリンスタイルのお部屋には電球色がよく合い、居心地のよい雰囲気を作りだすのに欠かせない条件になっています。
カラーコーディネートのポイント
ブルックリンスタイルでは、素材が持つ渋い色をそのまま生かして使う傾向があります。レンガの赤色や木材の茶色などですね。観葉植物も多用されますので、アースカラーが豊富です。
ニュートラルカラーも使われます。たとえば、白やグレーなどの無彩色や、無彩色に近いグレイッシュな色。ベージュやアイボリーなどが基調色や従属色に使われます。
ブラックをアクセントカラーに使う住宅が多い印象です。窓枠や家具等の鉄部をマットブラックに塗装したり、モノクロのアートを飾ったりして、空間を引き締める役割を果たしています。
家具のポイント
内装と同様に、家具も無骨でヴィンテージ感のあるものがよいでしょう。少しさびた鉄部やあえてラフに塗ったペンキなど、シャビーシックな質感のあるものが好まれます。
素材は、古木やマットブラックなアイアン、皮革がよく合います。装飾がなく利便性や機能性に富んだデザインのものが、空間になじみやすいでしょう。
ミリタリーテイストのボックスや、農作物の収穫で使うベジタブルボックスが、収納アイテムとしてよく使われます。デザインがマッチしているだけでなく、頑丈で耐久性が高いところも魅力です。
ブルックリンスタイルの家具は、キズも味わいになるところがすてきですね。そんな包容力が、子育て中の若い世代に指示されています。
あなたも、インテリアにブルックリンスタイルの要素を取り入れて、個性的で居心地がいい空間をつくってみませんか?
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