築古マンション売却 – 効果的なリフォームと業者の選び方

中古マンションの売買市場では、築20年を超えている物件は急激に成約割合が落ちます。不動産流通機構がまとめた資料によると、新規登録件数の10~20%くらいしか売れていません

では「為す術なし」かと言えば、そんなことはありません。戦略的なリフォームが、この状況を打破してくれるでしょう。

たとえば、リフォームが賃貸マンションの入居率を向上させた例は、枚挙にいとまがありません。築古物件の早期売却にも、役立つはずです。築古マンションの売却促進にリフォームを活用してみませんか。

目次

築年数が古いマンションの特徴

築年数が古いマンションの特徴

築古マンションが最新のマンションより見劣りするのは、老朽化だけが原因ではありません。いろいろと後れを取っていますので、売却活動を始める前に洗い出しておく必要があります。

築年数が古いことは、挽回のしようがありません。しかし、その他の劣後要素であれば、やり方しだいで改善できるものがたくさんあります。さっそく、築古マンションの短所の例を5つご紹介しましょう。

建物や設備・機器が古い

築古物件が築浅物件に後れを取る要素の中で、一番注目されやすい項目が「建物や設備・機器の老朽化」ではないでしょうか。ここが対策できれば、売却促進に役立ちそうです。

とは言え、外観や共有部については、区分所有者が勝手に手を加えられません。対策の主な対象は、専有部分になります。

専有部分の老朽化を改善する際は、まず買主の不安を理解することが大切です。そこを省略すると、まったく見当違いの手を打ってしまいかねません。

たとえば、買主はこんな不安を持っているのではないでしょうか。

  • どこが老朽化しているのか、よくわからない
  • 買って直ぐに修繕が必要になったら嫌だ
  • リフォームするのに、すごい金額がかかりそう
  • 古い住宅設備が現代の生活に合わない

上述のようなご不安は、リフォームで払拭できるものが少なくありません。機器・設備の一新やホームインスペクションの活用など、有効な打ち手を考えましょう。

基本性能が低い

マンションは、時代の流れや法規の厳格化によって性能が向上しています。主なバージョンアップを把握しておき、築古物件の改修箇所を検討する際の参考にするといいでしょう。

たとえば「間取り」は、第3次マンションブーム(1972~1973年)を経て洋風化が進みました。現代は洋室が主流ですので、和室のマンションは床をフローリング等に貼り替える必要性があるでしょう。

法規の改正にともなう性能向上では、以下が記憶に新しいところです。築古物件は、これらの性能も現行基準に近づけておくとよいでしょう。

  • 換気性:2003年の建築基準法改正で24時間計画換気が義務化
  • 省エネ性・断熱性:1980年、1992年、1999年、2013年の省エネ基準改正で強化
  • ユニバーサルデザイン:2006年のバリアフリー法施行で一般化

防音性能も、床スラブが徐々に厚くなった ことで向上しています。2000年以前に設計されたマンションは、リフォームの際に防音性の改善を検討するといいでしょう。

参考:UR都市機構「内外装材・住宅部品の変遷と保全技術について」

買主にとって「セキュリティ」も大事なチェック項目です。第4次マンションブームごろ(1977~1979年)から普及し始めたオートロックは、2000年代には一般的な設備になっています。中古住宅検索サイトの「検索条件」のひとつになっていることは、どなたもご存知でしょう。

とは言え、区分所有者がオートロックを後付けすることはできません。しかし、管理組合の許可を取り付け、インターホンをモニター付きにしたり玄関鍵をディンプルキーにしたりして、セキュリティ性を向上させることは可能です。

住める期間が短い

マンションの築年数が古ければ古いほど、居住可能年数は短くなります。築古物件を買う方にとってマンションの寿命は大きな関心ごとでしょう。

ちなみに、RC造の法定耐用年数は47年ですが、寿命はそれより長いと考えるのが自然です。これまでの研究を見ても「実態は50年以上」とするものや、維持管理で延命すれば「150年」とする報告もあります。

例をあげてみましょう。

  • 大蔵省主税局(1951):120年(外装仕上により延命し耐用年数は150年)
  • 篠崎徹・毛見虎雄・平賀友晃・中川宗夫・三浦勇雄(1974):50年以上
  • 飯塚裕(1979):117年
  • 小松幸夫(2013):68年

ただし、実際のところどうなのか定かではありません。なぜなら、日本のマンションの歴史がそれほど長くないからです。

ちなみに、日本初の公的分譲マンションである「宮益坂ビルディング 」は、1953年に分譲され、63年後の2016年に老朽化により解体されました。民間分譲マンションの第一号である「四谷コーポラス 」は、1956年に分譲され、61年後の2013年に耐震性不足により解体されました。

最新のRC造マンションであれば、この2例より寿命が長いと推測できます。もし、あなたが売却したいマンションがRC造かつ築40年以内であれば、まだまだ需要があると考えていいでしょう。

住宅ローンが利用できない物件がある

築年数が古いマンションは、住宅ローンを利用できないケースがあります。なぜなら、金融機関が築年数により融資期間の制限を設けているからです。

融資期間の計算例を、いくつかご紹介しましょう。

  • 35年-築年数
  • 45年-築年数
  • 55年-築年数
  • 建物築年数+ローン借入期間<60年

上述のような制限があると、築古のマンションほど借入期間の上限が短くなります。買主にとって必要にして十分な住宅購入資金を調達できないこともあり得ます。

売却前にリフォームを実施して売出価格を上げるのであれば、住宅ローンの融資期間の上限と、そこから導き出される月々の返済額は意識しておくほうがよいでしょう。

新築時に比べて価格が低い

冒頭でご紹介した不動産流通機構の資料によると、中古マンションの「築年帯別平均㎡単価」は以下のとおりです。

  • 築0~5年:88.16万円/㎡
  • 築6~10年:75.28万円/㎡
  • 築11~15年:62.86万円/㎡
  • 築16~20年:57.46万円/㎡
  • 築21~25年:46.93万円/㎡
  • 築26~30年:31.09万円/㎡
  • 築31年~:33.33万円/㎡

上述の結果では築21~25年ごろにおおよそ半額になり、築26~30年ごろには3分の1になっています。この事実は買主も期待するところであり、売出価格が相場を大きく上回ると売れにくくなるでしょう。

よって、リフォームで価格を上げるのであれば、それなりの説得力を持たせる必要があります。

築古マンションにとって効果的なリノベーション

築古マンションにとって効果的なリノベーション

築古マンションの短所を5つご紹介しました。これらを踏まえて、どのようなリフォームを実施すれば早期売却につながるのか検討してみましょう。

どんな人が築古物件を買うのか

そもそも、どのような方が築古のマンションを買うのでしょうか。買い手のことが想像できていないと、適切なリフォームができません。

まず、買主層をふたつに分類してみましょう。ひとつめのグループは、リフォーム済み築古物件を買わない方。このグループは、全面リフォームを実施するために「安くて古い、スケルトンにしても惜しくない物件」を探しています。

もうひとつのグループは、リフォーム済み築古物件を買ってくれる方。たとえば、以下のような方々が該当します。

  • 終の住処を探している人
  • 物件購入価格を抑えたい人
  • エリアを限定して物件探しをしている人
  • 築年数より優先させたい条件がたくさんある人

上述の方々の中には、リフォームに強い関心を持っておらず、改修済み限定で物件を探している方がいます。そんな方はリフォーム未実施の物件に汚さを感じ、自らリフォームしてまで「そこに住みたい」と思いません。

リフォームに強い関心を持っていない方にとって、リフォーム会社を探す作業はとても面倒です。リフォームをしている時間も「もったいない」と感じるでしょう。リフォームした後の物件を見て購入するほうが、合理的で安心なのです。

「価格向上対策<早期売却対策」でリフォーム

もし、売却期間に余裕があるなら、ひとまずリフォームせずに売却を開始するのもひとつの方法です。先述の「リフォーム済み築古物件を買わない方」を対象に、改修プランや概算見積もりを資料にして準備しておくとよいでしょう。

しばらく現況のまま売却活動をつづけ、一定期間を過ぎても内見の希望者が現われないようなら、リフォームを実行すればOKです。たとえば、同等マンションの売却相場が1000万円なら、こんな進め方はいかがでしょうか。

  1. そのまま1000万円で売り出す
  2. 売れなければ300万円かけてリフォーム
  3. 再度1300万円で売り出す

この方法は、実質的な売却所得の上乗せには寄与しません。しかし、早期売却の役に立つでしょう。

では、リフォームをする際はどのような改修をおこなえばよいのでしょうか。

築古マンションの売却においては、買主の不安払拭と競合物件に対する優位性の確保が欠かせません。たとえば、リフォームで以下が実現できると、大きな競争力になるでしょう。

  • 洗練された空間デザイン
  • 古い設備や機器は可能な限り一新
  • 住宅性能の向上

築年数が古かったとしても、現代の生活にあった間取りと「ここで住みたい」と思わせる内装の魅力があれば、一定数の内見希望者が確保できるでしょう。洗練された空間デザインは、マンション売却で有効な武器になります。

一新された設備や機器は、買主に「見た目の清潔さ」だけでなく「しばらく修繕が不要になる安心感」を提供できます。リフォームに強い関心を持たない買主に対して「新品」は強い訴求力になるでしょう。

規約や管理組合と要相談ですが、以下を改善するのも早期売却の達成に役立ちます。

  • 断熱性の向上 ⇒ 内窓設置等
  • 防音性向上 ⇒ 床・壁・天井の防音性能向上
  • 換気対策 ⇒ 24時間計画換気システム導入等
  • 利便性向上 ⇒ IoTやユニバーサルデザイン導入等
  • セキュリティ性の向上 ⇒ モニター付きインターホン設置等

さて、ここまであげたリフォームを全て実施すれば、売却活動で優位になることは想像に難くありません。しかし、買主にも予算がありますから「全実施」は現実的ではありません。

どこまでリフォームするのか、さじ加減が難しいところです。

築古マンションのリフォームは買主の予算も考慮する

リフォーム済み築古物件の売出価格は「直近の成約事例」や「ターゲット層の予算」を考慮しながら決定する必要があるでしょう。相場やターゲット層の予算を考えずに値付けをしてしまうと、早期売却は叶いません。

たとえば、先述の1300万円の物件が築40年であったならば、買主はどのように感じるのでしょうか。諸費用として200万円を追加して、1500万円で検討してみましょう。

金融機関が融資期間に「55年-築年数」の制限を設けていたとすると、築40年の物件なら返済期間は最長15年です。令和元年の住宅市場動向調査によると、中古マンション購入者の自己資本比率は「43.5%」ですから、例題の借入額は847.5万円になります。

  • 返済期間:15年
  • 借入額:847.5万円
  • 自己資金:652.5万円

この「847.5万円」を金利1%で15年間借りると、総返済額は「約913万円」になります。この金額に自己資本を足すと「1565.5万円」で、それを180か月(15年)で割ると「約8.7万円」になります。

つまり、このマンションを買った場合の住居費は「月々8.7万円 (当初15年間のみ)」と管理組合費、修繕積立金の合計です。16年目からは、劇的に住居費が下がります。

  • 金利:1%
  • 総返済額:約913万円
  • 15年目までの住居費:月々8.7万円+管理組合費+修繕積立金
  • 16年目以降の住居費:管理組合費+修繕積立金

この金額なら、都会のファミリータイプの賃貸マンションより安いと言えそうです。固定資産税を加算したとしても、妥当と考える買主は少なくないでしょう。

リノベーション施工業者の選び方

リノベーション施工業者の選び方

最後に、おすすめの「リノベーション施工業者の選び方」をご紹介します。ぜひ、以下のチェックポイントに留意して、業者選びをしてみてください。

  • 親身になって相談に乗ってくれるか
  • たくさんの施工実績を持っているか
  • 分譲マンションのことを熟知しているか
  • 小回りがきき、迅速な対応をしてくれるか
  • 小さな工事から大きな工事まで対応可能か
  • 築古物件売却に役立つ適切なアドバイスができるか
  • 状況や予算にあわせて適切なリフォームプランがつくれるか

上述のチェックポイントに数多く当てはまれば、安心して任せられる業者である可能性が高いと言えるでしょう。

【まとめ】築古マンションの売却でリフォームを活用するなら

弊社ORGAN CRAFT(オルガンクラフト)では、ご成約前の売り出し中物件に対しても、リノベーションのご提案図と概算お見積もりを作成しております。ご利用くださった不動産仲介会社様から「内覧を促しやすくなった」「成約率の向上につながった」とご好評をいただいております。

まずはリフォームなしで売り出してみたい物件から、リノベーションを実施して一気に早期売却を達成したい物件まで、状況とご要望にあわせたご提案をおこなっております。築古マンションのリフォームのことでお悩みの方は、ぜひ当社へお気軽にご相談ください。