多くの不動産営業マンが「お客さまとの会話や、アポイント獲得が難しい」と感じ、成約率の低迷に悩んでいます。あなたも、これらの課題に直面し、解決策を探しておられませんか?
そんな問題の解決に役立つのが「トーク術」です。お客さまとの信頼関係構築から成約率向上まで、トークで変わります。効果的なトーク術が、あなたの営業成績と社内評価を変えてくれるのです。
本稿では、不動産営業に役立つトーク術を3つご紹介します。あなたも、本稿を参考にトーク術をブラッシュアップして、業績を伸ばすための一歩にしてみませんか?
目次
会話しやすい雰囲気をつくる《アイスブレイク》とは
営業マンのトークの極意は《話さないこと》とよく言われます。つまり、話すよりヒアリングが大切、ということです。
お客さまに気持ちよくしゃべっていただける営業マンが、トーク上級者の営業マンです。お客さまのことをインタビュイー(話し手)だと思い、自分はインタビュアー(聞き手)になりきりましょう。
インタビュアーに役立つトーク術を、3つご用意しました。まずは、会話しやすい雰囲気をつくる《アイスブレイク》からご紹介しましょう。
【特徴】アイスブレイクとは
アイスブレイクとは、対話の冒頭で緊張感を和らげ、柔らかい雰囲気をつくり出すための会話のことです。
お客さまは、営業マンを警戒しています。ですから、アイスブレイクは、お客さまとの信頼関係構築の第一歩として極めて重要です。
アイスブレイクでは、本題に入る前に短い会話を用いるのが一般的です。たとえば、こんなことがよくネタに使われます。
- 簡単な自己紹介
- 天候や季節
- お客さまの趣味や興味
- ニュース
効果的なアイスブレイクは、お客さまの警戒心を解き、より開かれた対話を促進します。
アイスブレイクのコツは、短い会話の中で「私はあなたのミカタである」と知ってもらうことです。話題の中からお互いの共通点を発見できると、仲間意識が醸成されるでしょう。
相手がこだわっていそうなポイントを、さり気なく褒めるのも有効です。たとえば、相手が女性なら着ている服。男性なら、乗っている車なんかが話題にしやすいです。
【メリット】アイスブレイクの魅力とは
アイスブレイクの最大の魅力は、お客さまとの心理的距離を縮め、スムーズな商談への道を開くところです。適切なアイスブレイクは、会話のキャッチボールの糸口になります。
アイスブレイクでお客さまの緊張をほぐし、より率直な対話ができる土壌をつくりましょう。率直な対話ができれば、お客さまのニーズや懸念の把握、そして適切な提案につなげやすくなります。
アイスブレイクには、営業マン自身の緊張も和らげる効果もあります。緊張が和らげば、自然な会話の流れをつくり出しやすくなるでしょう。
【デメリット】アイスブレイクの注意点とは
アイスブレイクには、注意すべき点もあります。とくに、話題選びを誤ると逆効果になります。政治や宗教など、センシティブな話題は避けるべきでしょう。
長すぎるアイスブレイクも、NGです。本題に入りにくくなったり、お客さまの貴重な時間を奪ってしまったりする恐れがあります。形式的なアイスブレイクも、不誠実さを感じさせてしまいます。
アイスブレイクを始める時点では、相手のことがよく分かりません。表情やしぐさをよく観察しましょう。そこから相手の心情を適切に判断し、柔軟に対応する能力が求められます。
【トークスクリプト】アイスブレイクの具体例3選
アイスブレイクの具体例をご紹介しましょう。
ご来店時:季節や天候に関する話題
「今日は素晴らしいお天気ですね。こんな日は外出が楽しくなります。本日は、お出かけの途中ですか?」
ご案内時:地域や周辺環境に関する話題
「この地域は緑が多くて静かですね。個人的にも、好きなエリアのひとつです。お客さまは、この辺りの印象はいかがですか?」
訪問時:お客さまの興味や趣味に関する話題
「素敵な観葉植物がたくさんありますね。植物の育て方にお詳しいのでしょうか?私も最近始めたばかりで、アドバイスいただけたら嬉しいです」
不動産営業に有用なトーク術《応酬話法》とは
つづいて、《応酬話法》をご紹介します。応酬話法は、営業プロセスの質を向上させる強力なトーク術です。
【特徴】応酬話法とは
応酬話法とは、お客さまからの質問や反論などに対して適切な返答を返すことで会話を展開させていく、切り返しのコミュニケーション技術のことです。
お客さまの懸念や不満を安心や満足に変える手法として、応酬話法は非常に効果的です。ぜひ、マスターしたいトーク術ですね。
心に留めておきたいポイントを、ふたつご紹介しましょう。
- 先を急いではいけない
- 論破して説得するための話法ではない
まず、先を急いではいけません。ゆっくり、一歩ずつ対話を進めましょう。気持ちが急ぐと、相手の話を聞かずに説得しにかかってしまいます。しっかり相手の話を聞き、切り返すのです。
応酬話法は、相手を論破して説得するための話法ではありません。懸念や不満をぶつけられると、つい説得したくなります。しかし、グッとこらえて、納得していただくトークに徹しましょう。
習得のコツは、以下のとおりです。
- 相手に共感して、相手の懸念や不満を受けとめる
- 断り文句への対応を準備しておく
- お客さまのベネフィットを伝える
まず相手に共感して、相手の懸念や不満を受けとめる(承認する)ところからスタートです。お客さまに断られた過去のケースを研究して、断り文句への切り返しを準備しておくとよいでしょう。
相手の懸念や不満を受けとめ、適切な切り返しをおこなったら、相手のベネフィットを伝えるトークに落とし込んでいけるとベストです。お客さまの懸念や不満が、安心や満足に変わるでしょう。
このトーク術を習得すると、単なる営業トークではなく、お客さまと有意義な対話ができるようになります。成約率の向上につながるでしょう。
【メリット】応酬話法の魅力とは
応酬話法の達人の域に達すると、お客さまが自然に「Yes」と言ってしまいます。しかも、説得されたのではなく、納得して「Yes」と言ってしまうのです。
さらに、対話を通じてお客さまと信頼関係を築けます。対話の中で情報収集もできますので、お客さまの懸念や不満を深く理解し、それに基づいた適切な提案が可能になります。
一方的な説明ではなく、双方向のコミュニケーションを促進するため、お客さまの満足度も高まりやすいでしょう。
【デメリット】応酬話法の注意点とは
応酬話法の短所は、経験が必要になるため、技術の習得に時間がかかることでしょう。お客さまの心理を研究し、懸念や不満に対する切り返しトークを常に練習する必要があります。
切り返し方を誤ると、お客さまに不快感を与えたり、押し売りと捉えられたりする可能性もあります。過度に応酬話法に頼ると、会話が不自然になることもありますので、注意が必要です。
このような失敗を避けるには、練習あるのみです。練習のコツをご紹介しましょう。
- 応酬話法に関する書籍を3~5冊くらい読んでみる
- 日常の会話でも、承認してから切り返すことを意識する
- 日常の会話でも、相手の感情を理解するように心がける
- あらゆる商品のセールスマンになったつもりで、ロールプレイングする
お客さまの中には、まれに応酬話法を不快に感じる方がおられます。話を切り返されたり、覆されたりするのが苦手なのかもしれません。
ですから応酬話法も、相手に合わせた柔軟な対応が求められます。適切に使用しないとかえって信頼関係を損なう可能性がありますので、ご注意ください。
【トークスクリプト】応酬話法の具体例3選
応酬話法の具体例を3つご紹介しましょう。
懸念事項の解消例
- 顧客「駅から少し遠いのが気になります」
- 営業「駅からの距離についてご心配なのですね。普段の通勤や外出で、どのような点がとくに気になりますか?」
- 顧客「雨の日の通勤が大変そうで……」
- 営業「なるほど、雨の日の通勤がご心配なのですね。この物件付近にはバス停もありますが、バスでの通勤についてはどうお考えですか?」
予算オーバーの解消例
- 顧客「この物件は、ちょっと予算オーバーですね」
- 営業「ご予算内に収めることは、非常に大切だと思います。ご予算は、どのくらいですか?」
- 顧客「子どもの教育費なども考えると、月々10万円程度の返済が限度かな、と」
- 営業「お子さまの将来も考えていらっしゃるんですね。素晴らしいご判断だと思います」
- 顧客「ありがとうございます。ですから、あまり無理できません」
- 営業「じつは、この物件には光熱費を抑える省エネ設備が整っているんです。生活コストのほうを抑えられますよ」
部屋数不足の解消例
- 顧客「エリアも、マンション自体も希望どおりです!でも、ちょっと狭いですね……」
- 営業「たしかに、◯◯さんのご希望より少し狭いですね。お差し支えなければ、広さが必要な理由をお聞かせいただけますか?」
- 顧客「今は、子どもがひとりですけど、ふたりになるかもしれないので。子ども部屋がふたつあるといいな、と」
- 営業「将来的なことも考えていらっしゃるんですね。とても大切な視点だと思います。何年後くらいにお部屋をあげたいですか?」
- 顧客「10年後くらいですかね?」
- 営業「お子さまも、お部屋が欲しい年頃ですね。この物件は、容易にリフォームできる構造になっています。リフォームについて、もう少し詳しくお話ししてもよろしいでしょうか?」
錯誤帰属を利用したトーク術「ライフスタイル喚起話法」とは
つづいて、《ライフスタイル喚起話法》をご紹介します。
この話法には正式な名称や通称がなく、便宜上、本稿では「ライフスタイル喚起話法」と呼ぶことにします。
【特徴】ライフスタイル喚起話法とは
ライフスタイル喚起話法は、お客さまに物件での具体的な暮らしをイメージしてもらうことで、購買意欲を高める話法です。
ライフスタイル喚起話法には、以下の特徴があります。
- 自然に、ワンランク上の物件説明ができる
- お客さまの記憶に残りやすい
ライフスタイル喚起話法を使うと、その物件で実現できる特別な瞬間や理想的な日常生活を鮮明に描写できます。これは、単なる物件説明以上の効果があるでしょう。
つまり、物件説明が《物件の機能紹介》ではなく《お客さまの便益紹介》になるのです。その結果、お客さまがその物件で暮らす価値を理解しやすくなり、記憶に残りやすくなります。
また、錯誤帰属(物事の原因を誤って判断してしまうこと)を利用して、お客さまに「この営業マンと相性がよい」と感じてもらうことも狙えます。
お客さまは、物件に感じるワクワクを「この営業マンと相性がいいから、ワクワクするのだ」と捉えてしまうのです。
【メリット】ライフスタイル喚起話法の魅力とは
ライフスタイル喚起話法の魅力は、お客さまの感情に直接訴えかけ、物件への愛着を生み出せる点にあります。
具体的な生活シーンを描写することで、お客さまは自分自身がその物件で暮らす姿を想像します。その姿が理想的なものであれば、強力な購買動機となるでしょう。
また、お客さまとの対話が、単なる情報の交換ではなく将来の夢や理想を語り合う場となります。お客さまのニーズや価値観を理解する機会にもなり、より適切な提案につなげられます。
ライフスタイル喚起話法をうまく活用すると、成約率の向上だけでなく、お客さま満足度の増加にもつながるでしょう。
【デメリット】ライフスタイル喚起話法の注意点とは
ライフスタイル喚起話法には、注意すべき点があります。お客さまの価値観や実際のライフスタイルと乖離した描写をすると、逆効果になる可能性があります。
また、過度に理想化されたシナリオは、現実味に欠け、お客さまの信頼を損なう恐れがあります。お客さまの状況を確認しながら、柔軟にトークを展開する能力が求められるでしょう。
なお、この話法は物件の短所から目をそらさせるために利用されがちです。あとでクレームになる危険性があるため、バランスの取れた説明を心がける必要があります。
【トークスクリプト】ライフスタイル喚起話法の具体例3選
ライフスタイル喚起話法の具体例を3つご紹介しましょう。
家族向け物件の例
「このリビングを見てください。休日の朝、お子さまとここでゆっくり朝食を取りながら、一日の計画を立てる様子が目に浮かびませんか?広々としたスペースなので、家族みんなでボードゲームを楽しむこともできますね」
単身者向け物件の例
「このダイニングキッチンは、忙しい朝でも簡単に朝食がつくれるよう設計されています。仕事から帰ってきた夜には、好きな音楽を流しながらワインを楽しむ。そんなリラックスした時間を過ごせる空間になっていますよ」
眺望のよい物件の例
「このバルコニーからの眺めをご覧ください。朝日を浴びながらコーヒーを飲む。夕暮れどきには、仕事の疲れを癒やすように街の灯りが徐々に灯っていく。毎日の生活に特別な瞬間をプラスしてくれる、そんな贅沢な空間です」
3つのトーク術をご紹介しました。ぜひ、あなたに合った「勝ちトーク」のスクリプト(台本)をつくり上げ、磨きをかけていってください。
【まとめ】築古マンションの売却でリフォームを活用するなら
弊社ORGAN CRAFT(オルガンクラフト)では、ご成約前の売り出し中物件に対しても、リノベーションのご提案図と概算お見積もりを作成しております。ライフスタイルの喚起にご活用ください。
ご利用くださった不動産仲介会社さまから「内覧を促しやすくなった」「成約率の向上につながった」とご好評をいただいております。
まずはリフォームなしで売り出してみたい物件から、リノベーションを実施して一気に早期売却を達成したい物件まで、状況とご要望にあわせたご提案をおこなっております。
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