住宅助成金・補助金とは?中古住宅の補助金・減税制度(2023年)

住宅は、とても大きな買い物です。取得するには、建物や土地代だけでなく、さまざまな高額の諸費用がかかります。

そんな思い切った買い物をする買主の強いミカタが、補助金制度や減税制度です。しかし、どちらも種類や申請がとにかく複雑で、調べるだけでも大変ですよね。

本稿では、中古住宅の購入やリフォーム等で利用できる主な補助金や減税制度をご紹介します。中古住宅の売買に関わる方は、ぜひ参考にしてください。

目次

住宅助成金・補助金とは?

住宅助成金・補助金とは?

まずは、助成金と補助金の違いからご説明します。じつは、このふたつは必ずしも明確に区別されていません。

助成金と補助金は、どちらも「主に国や自治体から支給されるお金」のことです。一般的には、以下のような使い分けをしています。

  • 助成金:原則的に、要件を満たした個人や事業者全員に給付される
  • 補助金:採択件数や予算に上限があり、申請しても受給できないことがある

助成金は、主に厚生労働省が管轄していて、雇用促進や職場改善などの活動を支援するために支給されています。

一方、補助金はさまざまな省庁や自治体が管轄しています。一般的には公募期間を設け、その期間内に所定の書類を揃え申請した人だけが審査をへて受給できます。

上述の分類でいくと、住宅関連で支給されているものは「補助金」になります。たとえば、こんな行為に対して支給されます。

  • 新築住宅の購入
  • 空き家の解体
  • 既存住宅(中古住宅)のリフォーム

中古住宅のリフォームでは、主に「耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化」に関わる工事で補助金を受給できる機会があります。

上述の工事を予定されている方は、現在実施されている補助金制度がないか、あるなら申請期限はいつまでか、注意してご確認ください。

なお、多くの補助金制度は「後払い方式」です。いったん自分で全額の支払いを済ませたあと、申請することで還付されます。

中古住宅の購入・解体で使える補助金制度一覧

中古住宅の購入・解体で使える補助金制度一覧

中古住宅を対象とする補助金は「リフォーム」か「空き家の解体」に対して給付されるものがほとんどです。代表的なものをご紹介しましょう。

住宅省エネ2023キャンペーン

「住宅省エネ2023キャンペーン」は、3つの補助事業の総称です。各事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、住宅の省エネ化を支援するために創設されました。

順番にご紹介していきましょう。

こどもエコすまい支援事業

「こどもエコすまい支援事業」の対象は「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」です (リフォームは除く)。両世帯は「エネルギー価格高騰の影響を受けやすい」という理由で対象になっています。

子育て世帯・申請時点において、子を有する世帯
・子の年齢は令和4年4月1日時点(※)で18歳未満
若者夫婦世帯・申請時点において夫婦
・令和4年4月1日時点(※)でいずれかが39歳以下

※ 令和5年3月31日までに建築着工するものについては、令和3年4月1日時点

この事業では、高い省エネ性能(ZEHレベル)を備えた新築住宅の取得や、住宅の省エネリフォームなどに対して補助金が給付されます。

リフォームでは、以下の条件に合う工事をする場合に、リフォーム箇所に応じた額の給付を受けられます (子育て世帯や若者夫婦世帯に該当しなくても、申請できる)。

  • 所有者等が、こどもエコすまい支援事業の登録業者と契約する
  • こどもエコすまい支援事業の対象となるリフォームを実施する

リフォームに対する補助は、実施する補助対象工事の内容に応じて「5~30万円」まで給付されます。ただし、工事発注者の属性によっては、以下のとおり上限額が引き上げられます。

子育て世帯または若者夫婦世帯既存住宅購入1戸あたりの上限補助額
該当する該当する60万円
該当しない45万円
該当しない(その他世帯)該当する(安心R住宅に限る)45万円
該当しない30万円

参考:こどもエコすまい支援事業

なお、同様のスキームで運営されていた「こどもみらい住宅支援事業」は、予算上限に達したため、交付申請の受付を終了しています。

先進的窓リノベ事業

「先進的窓リノベ事業」は、以下の目標に貢献することを目的とする事業です。

  • エネルギー価格高騰に対応する(冷暖房費負担の軽減)
  • 2030年度の家庭部門からのCO2排出量を約7割削減する(2013年度比)
  • 2050年に住宅ストックの平均でZEH水準の省エネルギー性能を確保する

住宅でもっとも熱が出入りするのは、窓です。ですから「先進的窓リノベ事業」では、既存住宅の窓の高断熱化を促進するため、以下の条件を満たす改修の費用の一部を補助しています。

  • 所有者等が、先進的窓リノベ事業の登録業者と契約する
  • 窓(ガラス)を交換(断熱改修)するリフォーム工事を実施する

本事業の補助は、実施する補助対象工事の内容に応じて定額(一戸あたり5~200万円)で給付されます。

参考:先進的窓リノベ事業

給湯省エネ事業

ご家庭の電力消費量トップ3は「エアコン (暖房)、冷蔵庫、給湯」です。ガスも含めると、給湯分野がご家庭のエネルギー消費で大きな割合を占めます。

ですから、既存住宅の古い給湯器を高効率なものに交換することは、省エネに大きく貢献します。

参考:経済産業省「省エネポータルサイト」

「給湯省エネ事業」は、高効率給湯器の導入支援をおこない、その普及拡大に寄与することを目的としています。対象は、高効率給湯器を設置する以下の方々です。

  • 新築注文住宅の建築主
  • 新築分譲住宅の購入者
  • 既存住宅のリフォーム工事発注者

本事業の利用者は、導入する高効率給湯器に応じて「5万円/台 (ハイブリッド給湯器、エコキュート)」または「15万円/台 (エネファーム)」を受給できます。

参考:給湯省エネ事業

既存住宅における断熱リフォーム支援事業

「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、高性能建材を用いた断熱リフォームに対して支援をおこなっています。補助率は「補助対象経費の1/3以内」で、上限額は以下のとおりです。

  • 戸建住宅:1戸あたり120万円
  • 集合住宅:1戸あたり15万円

この断熱改修と同時におこなうものについては、以下の支援も実施しています。

戸建住宅高性能な家庭用設備(家庭用蓄電システム・家庭用蓄熱設備)や熱交換型換気設備等の導入・改修
集合住宅(個別)熱交換型換気設備等の導入・改修
集合住宅(全体)共用部のLED照明器具への切替

参考:【全国対象】既存住宅における断熱リフォーム支援事業

次世代省エネ建材の実証支援事業

「次世代省エネ建材の実証支援事業」は、以下の建材を用いたリフォームに対して補助をおこなっています。

  • 省エネ改修の促進が期待される工期短縮可能な高性能断熱材
  • 快適性向上にも資する蓄熱・調湿素材等の次世代省エネ建材

令和5年度の詳細は、現在のところ不明です。令和4年度(公募終了)は、住宅の改修方法を以下の3つの区分から選ぶことができました。

  • 外張り断熱(外断)
  • 内張り断熱(内断)
  • 窓断熱(窓断)

外壁の断熱については、外張りも内張りも、重ね張り工法(原則、既存構造材を撤去せずに施工)が対象です。古い断熱材を取り換える場合は、対象になりません。

参考:令和4年度 次世代省エネ建材の実証支援事業 公募要領(三次公募)

住宅エコリフォーム推進事業

「住宅エコリフォーム推進事業」は、既存住宅の省エネ化を推進するため、住宅の省エネ性能をZEHレベルに改修するリフォームに対して補助をおこなっています。

令和4年度の公募は終了しています。令和5年度も継続される予定ですが、既存住宅の省エネ改修を加速するため、一部の支援メニューが見直されるようです。

たとえば、改修後に耐震性を確保することも必要(計画的な耐震化をおこなうものを含む)になる見込です。

参考:住宅エコリフォーム推進事業実施支援室

長期優良住宅化リフォーム推進事業

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備に役立つリフォームに対して支援をおこなっています。

以下の(1)、(2)を満たすリフォーム工事が対象です。

  1. インスペクションを実施し、維持保全計画・履歴を作成すること
  2. 工事後に耐震性と劣化対策、省エネルギー性が確保されること

令和4年度は、公募を終了しています。令和5年度も継続されますが、詳細は不明です。

参考:長期優良住宅化リフォーム推進事業

なお、自治体の補助金制度については、以下のサイトで検索できます。ご利用ください。

参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト

空き家解体助成金・補助金

国土交通省が、空き家の除却や活用を推進する自治体に支援をおこなっています。その結果、自治体は積極的な空き家対策ができるようになりました。

所有者が空き家を解体する際に利用できる補助金制度は、自治体によってさまざまな呼び名があります。いくつか例をご紹介しましょう。

東京都文京区空家等対策事業
墨田区老朽危険家屋の除却費等助成制度
杉並区老朽危険空家除却費用の助成制度
荒川区老朽空家住宅除却助成事業
板橋区老朽建築物等除却費助成事業
八王子市未耐震空き家除却支援補助金
福生市空き家住宅除却費用の助成
神奈川県横浜市住宅除却補助制度

空き家を解体するご予定の方は、自治体から補助が出ないかご確認ください。

中古住宅の購入で使える減税制度

中古住宅の購入で使える減税制度

つづいて、中古住宅の購入で使える減税制度をご紹介します。

住宅ローン減税(所得税の控除)

住宅ローンを利用して要件を満たす中古住宅を購入した場合、確定申告手続きをすることで最大10年間、各年末の住宅ローン残高の「0.7%」を所得税額等から控除できます。

ただし、住宅ローン減税の対象となる「年末の住宅ローン残高」は上限があります。この上限額は住宅の環境性能によって異なり、以下のようになっています。

住宅の環境性能年末の住宅ローン残高の上限
・長期優良住宅
・低炭素住宅
・ZEH水準の省エネ住宅
・省エネ基準適合住宅
3,000万円
・その他の住宅2,000万円

ちなみに、旧耐震基準の建物を購入された方は本控除を利用できません。利用するなら、耐震改修等で現行基準に適合させる必要があります。

リフォーム促進税制(所得税の控除)

「リフォーム促進税制」は、税務署へ確定申告手続きをすることで、リフォームローンの利用の有無に関わらず利用できます (令和5年12月31日まで)。

本税制の適用要件を満たすリフォームは、以下のとおりです。

  1. 性能向上リフォーム(耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化)
  2. (1)とあわせておこなうその他の増改築等工事

本税制の控除期間は1年(改修工事を完了した日の属する年分)で、最大控除額は105万円です。

参考:一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会『住宅リフォームの支援制度』p36

固定資産税の減税

以下の要件を満たすリフォームをおこなった場合、工事完了後3ヶ月以内に市区町村に申告すると、1年度分だけ固定資産税を減額してもらえます。

リフォームの種類軽減額備考
耐震固定資産税額の1/2家屋面積120m²相当分まで
バリアフリー固定資産税額の1/3家屋面積100m²相当分まで
省エネ固定資産税額の1/3家屋面積120m²相当分まで
長期優良住宅化固定資産税額の2/3家屋面積120m²相当分まで

なお、固定資産税の減税は所得税控除と併用できます。

参考:一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会『住宅リフォームの支援制度』p37

中古物件売却の元付け不動産会社さまに、ご提案

中古住宅の売買では、リノベーション済みの物件が人気です。とは言え、自分でリノベーションしたい買主さまや「できるだけ費用をかけたくない」という売主さまもおられることでしょう。

そんなときは、弊社のサービスをご利用ください。無料で以下の資料をご提供します。

  • 提案図面
  • パース
  • 概算見積もり

これらの資料を、内覧時等のタイミングで購入検討者さまにお渡しいただくと、改修工事による変化をご理解いただきやすくなります。反響や成約の獲得ツールとしてご利用ください。