中古マンションを購入するときの流れ(手順)と必要な期間

不動産は、ひとつとして同じものがありません。ですから、中古マンションの購入は早い者勝ちで、人気の物件はすぐに売れてしまいます。

では、ライバルに買い負けないようにするには、どうすればいいのでしょうか。

まずは、中古マンションを購入する際の手順を把握しておきましょう。次に何をするか分かっていないと、いざというときスムーズに動けません。

本稿では、中古マンション購入の流れをご紹介します。「優良物件を買い逃したくない」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

中古マンションを購入するときの流れ(手順)と期間

さっそく、中古マンションを購入するときの流れと期間をご紹介しましょう。

  1. 事前準備
  2. 不動産会社(仲介業者)選び
  3. 物件探し
  4. 住宅ローン事前審査(仮審査)
  5. 購入申し込み
  6. 重要事項説明
  7. 不動産売買契約
  8. 住宅ローン本審査
  9. 住宅ローン契約
  10. 残金清算・お引き渡し
  11. お引っ越し・ご入居

上述の流れは、スムーズに進んでも最初から最後まで3か月以上かかります。「不動産会社選び」や「物件探し」に時間がかかると、購入申し込みまで半年以上かかるケースもあります。

それでは、項目ごとにもう少し詳しく解説します。

事前準備

事前準備

中古マンションを購入する際、事前に準備していただきたいのは、以下の3つです。

  • 暮らしのイメージづくり
  • 情報収集
  • 資金計画(予算組み)

まずは、暮らしのイメージづくりからスタートしていただくとよいでしょう。たとえば、こんなことを考えながら、新居のイメージを具体的にしていきます。

  • なぜ、中古マンションを買いたいのか
  • どこに住みたいのか
  • どんな間取りが必要か
  • リフォームしたいか、したくないか
  • いつから新居で暮らし始めたいか

なんとなく新居をイメージできたら、次は情報収集です。たとえば、こんな情報を集めてみてください。

  • 中古マンション購入の流れ
  • マンションデベロッパーの特徴
  • 購入者の体験談や失敗談
  • 買主が覚えておくべき専門用語

中古マンションに関する知識が増えると、住まいに対する見方や要望の優先順位が少し変わるかもしれません。それはあとで見直すとして、先に資金計画を実施しましょう。

資金計画とは、購入予算を決める作業のことです。購入予算は、大雑把に言うと以下の式で計算できます。

購入予算 = 自己資金 + 住宅ローン借入額 - 諸費用

どなたも「自己資金」はすぐ分かると思います。ですから、資金計画では「住宅ローン借入額」と「諸費用」を把握する作業がメインになります。

毎月いくらくらいなら無理なく返済できそうか、ご家族で話し合ってみてください。今は便利な住宅ローン計算アプリがありますので、簡単に月々の返済額から借入額を算出できます。

中古マンションを購入する際に必要な諸費用の総額は、購入する物件価格の「5~10%」が目安です。その内訳は主に「手数料・保険料・清算金・税金」などで構成され、売買取引ごとに違います。

手数料不動産会社の仲介手数料・銀行の事務手数料・司法書士報酬など
保険料火災保険・地震保険・団体信用生命保険など
清算金管理費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税など
税金印紙税・登録免許税など

なお、住宅ローンの融資上限額の目安は、おおよそ年収の6~8倍です (金融機関によって変わる)。ただし、融資上限額まで借りてよいわけではありません。家計を圧迫しないか検討してください。

ご予算が決まったら、もう一度「暮らしのイメージづくり」を実施していただくとよいでしょう。得た知識やご予算を反映して、さらに具体的なイメージを描けるはずです。

予算総費用をいくらまでに収めたいか
築年数何年くらいまで許容できるか(耐震基準にも絡んでくる)
広さ・間取り・方位何部屋必要か、南向き以外でもOKか
階数・眺望1階や最上階など、階数の要望はあるか
共有設備オートロックや宅配ボックスは必要か
共有部分通路・エントランス等のデザインや管理状況など
地域・学区候補が複数あると選択肢が増える
勤務・通学時間職場・学校へのアクセス、駅からの距離など
周辺環境学校、病院、スーパー、公園など

事前準備ができたら、不動産会社へ行ってみましょう。要望を伝えて、物件探しを依頼してください。

不動産会社(仲介業者)選び

不動産会社(仲介業者)選び

物件探しは、複数の不動産会社に依頼するとよいでしょう。大手だけでなく中小の不動産会社も混ぜるようにして、担当者の知識や人柄、提案力をチェックしましょう。

ちなみに、各不動産会社が紹介できる物件の差は、ほとんどありません。じつは、不動産会社各社は、同じ情報源(レインズと呼ばれるネットワーク)をもとに物件を紹介しているのです。

参考:(公財)東日本不動産流通機構「レインズとは?」

ただし、わずかながらレインズに登録されていない物件もあります。そのような物件は、売主から「買主探し」を依頼されている不動産会社が、優先的に自社の顧客に紹介しています。

このような独占状態の物件は、大手の不動産会社ほどたくさん保有している傾向があります。大手はサービスも豪華ですが、一方で仲介手数料を値引きしない傾向もあります。

中小の不動産会社の中には、要件に当てはまる買主の仲介手数料を無料にしているところもあります。各不動産会社の特徴を把握していただき、ご自分に合った会社を選んでください。

物件探し

物件探し

物件探しは、不動産会社に丸投げせず、自分でも探すとよいでしょう。インターネットを使えば、短時間で、売出中の中古マンションをたくさん見つけられます。

まずは、不動産ポータルサイト(以下参照)をご覧ください。

よさそうな物件を見つけたら、信頼できそうな不動産会社に内覧(内見)を依頼しましょう。内覧とは、実際に物件を見て状態を確認する作業のことです。

不動産ポータルサイトに載っている物件を見たい場合、内覧の依頼先はその物件の情報を掲載している不動産会社でなくてもOKです。どの不動産会社に内覧の案内を申し込んでも問題ありません。

先述のとおり、不動産会社は売り物件の情報を共有して、共同で買主を探します。ですから、物件を掲載している会社ではなく、あなたが信頼している不動産会社に内覧を頼んでもいいのです。

思いどおりの物件が見つからない方は、妥協できるところを明確にして、優先順位を整理してみましょう。内装や設備はあとからリフォームで変更できます。優先順位を下げてもいいかもしれません。

住宅ローン事前審査(仮審査)

住宅ローン事前審査(仮審査)

好みの物件が見つかったら、住宅ローンの審査を受けましょう。審査は、事前審査と本審査の二段階でおこなわれますので、まずは事前審査の申し込みを済ませます。

事前審査は、だれでも申し込めます。複数の金融機関に申し込んでも構いませんが、多すぎると印象が悪くなりますので、3行程度にとどめておくとよいでしょう。

事前審査では、住宅ローン利用者の返済能力をチェックします。審査期間は、即日~3日程度です。一方、本審査は不動産売買契約を終えた方を対象に、本当に融資しても大丈夫か詳細に確認します。

なお、事前審査は通過したのに本審査で非承認になるケースもあります。しかし、高確率で通過が見込める状態ですので、仮審査で承認されると売主や不動産会社も安心して取引を進められます。

購入申し込み

購入申し込み

住宅ローンの事前審査で承認されたら、売主に購入希望条件を伝え交渉しましょう。

具体的には、購入申込書(買付証明書)に「希望購入額・代金の支払い条件・引き渡し希望日」などを記載して売主に渡します。

この時点では、他にも購入希望者がいるかもしれませんので、交渉は誠実に進めていく必要があります。「横着な人に売りたくない」と考えるのが、人の心情です。

売主から買主候補に選ばれたら、交渉を済ませ契約へと進みます。

重要事項説明

重要事項説明

不動産売買契約の前に、買主は不動産会社の担当者から「物件と取引条件に関する重要事項の説明」を受けます。

この説明で得られる情報は、買主が「購入する/購入しない」を判断するために必要なものであり、文字どおり「重要」です。

なお、仲介を担当する不動産会社は重要事項説明を実施するように義務づけられています (宅地建物取引業法 第35条)。従わなかった場合は、業務停止処分を受けます (宅地建物取引業法 第65条)。

参考:宅地建物取引業法 第35条「重要事項の説明等」
参考:宅地建物取引業法 第65条「指示及び業務の停止」

ちなみに、不動産取引の苦情・紛争相談は「重要事項の説明等」に関するものが最も多くなっています。分からないところは積極的に質問をして、トラブルにならないようにしましょう。

参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構「宅地建物取引業法施行状況調査(平成30年度)の結果について」p36

不動産売買契約

不動産売買契約

重要事項の説明を受け、購入の意思が固まったら、売主と不動産売買契約を結びます。この契約は、売主が買主に所有権を移す約束をして、買主はその代金の支払いを約束するものです。

契約書の記載内容も、重要事項説明と同様にしっかり確認してください。不明点がある場合は、納得できるまで質問して、疑問や不安を解消してからサインするようにしましょう。

契約から引き渡しまで、早くても1か月程度のタイムラグがあります。その間に買主は、住宅ローンの本審査や、引っ越しの手配、火災保険や司法書士(登記)の準備をおこないます。

なお、契約を締結したら、売主に手付金を支払います。この手付金は「解約手付」として扱われるのが一般的で、売主が契約の履行に着手する前なら、手付金を放棄することで契約を解約できます。

  • 買主は、手付金を放棄(手付け流し)で解約できる
  • 売主は、買主に手付金の倍額を支払うことで解約できる

手付金の金額は、とくに規定されていません。一般的には、売買代金の5~10%の金額で設定されるケースが多いようです。

住宅ローン本審査

住宅ローン本審査

不動産売買契約書が手に入ったら、次は住宅ローンの本審査へと進みましょう。一般的に本審査は慎重に審査されるため、回答が出るまで1~3週間程度かかります。

本審査では、在籍確認のため金融機関からお勤め先に電話があります。ただし、住宅ローンの申込者が、着信時に不在であっても問題ありません。在籍していることさえ確認できればOKです。

まれに、事前審査は通ったのに本審査で落ちるケースもあります。本審査で落ちる主な原因をご紹介しましょう。

  • 提出書類に不備があった
  • 自己申告内容と実態が違う
  • 団信に加入できなかった
  • 物件に問題があった

提出書類に著しい不足や間違いがあると、いい加減な人と思われてしまいます。申告内容と実態が違う方も、非常に印象が悪くなるでしょう。

健康に問題があって団信(団体信用生命保険)に加入できない方も、住宅ローンを借りられません (フラット35は、団信の加入/非加入を選べる)。

以下の物件も、担保価値に問題があるため、本審査で否決されやすくなります。

  • 違法物件(新築時から法規に合致していない)
  • 既存不適格(法改正で現行法規に合致しなくなった)
  • 購入額より著しく担保評価が低い物件

ちなみに、ネット銀行は本審査も複数行に申し込む方が安心です。

一般的な銀行は保証会社を使いますので、原則的に住宅ローンは保証人を必要としません。一方、ネット銀行は一般的に保証会社を使いませんので、本審査が厳しくなるのです。

さらに、ネット銀行は事前審査で物件の評価をおこなわず、利用者の申告や書類だけで審査する傾向があります。ですから、本審査の物件評価で落とされるケースもあります。

住宅ローン契約

住宅ローン契約

住宅ローン契約とは、以下の契約をひとつにまとめたものです。

抵当権設定契約金融機関がローン返済の履行を担保するため、不動産に抵当権を設定する契約
金銭消費貸借契約買主が金融機関から金銭を受け取り、将来、同額を返すことを約束する契約

利息付きの金銭消費貸借契約では、買主(借主)は利息も返還する義務を負います (民法 第589条1項)。

残金清算・お引き渡し

残金清算・お引き渡し

いよいよ売買も大詰めです。お引き渡し日になったら、関係者が金融機関に集まり「売買代金清算・登記・引き渡し」を一気に進めます。手順をご紹介しましょう。

  1. 住宅ローンを実行して、金融機関に手数料と保証料を支払う
  2. 売主に購入残代金を支払う(手付金を引いた残り)
  3. 買主が売主から物件の引き渡しを受ける
  4. 司法書士が所有権移転や抵当権設定登記を実行する

引き渡しを受けたら、できるだけ早めに物件のチェックをしておきましょう。内覧のときには気づかなかったこと、変わっていることはないか、確認してください。

万が一、契約内容と実物に相違があった場合は、売主に契約不適合責任の履行を求めます。契約不適合責任とは、売主が契約内容と異なるものを売却したとき、買主に対し負うべき責任のことです。

なお、契約不適合責任は任意規定で、売主と買主の合意によって自由に通知期間を定められます。個人同士の売買の場合は「3か月」程度が主流です。

売主が宅建業者の場合の通知期間は、引渡日から2年以上としなければなりません (宅地建物取引業法 第40条)。しかし、通知期間に関わらず、引っ越し前に物件をチェックしておくことをおすすめします。

お引っ越し・ご入居

お引っ越し・ご入居

お疲れさまでした。引き渡しが済めば、いつでも引っ越しできます。新居を存分にお楽しみください。

住宅ローンの返済も始まりますので、ときどき金利の動向をチェックしておきたいところです。必要に応じて、借り換えや金利タイプの変更をおこないましょう。

購入した中古マンションをリノベーションするなら、物件選びが大切

マンションは、構造や管理規約しだいで、リノベーションに制限がかかる場合があります。リノベーションの可否は、不動産会社よりリフォーム会社に判断してもらうほうが安心です。

リノベーションを前提に中古マンションを購入される方は、内見までに、リノベーションを依頼する会社も決めておくとよいでしょう。

可能であれば内覧に同行してもらい、リノベーションしやすそうか、希望のリノベーションができるか、リノベーション費用も含めて予算内で収まるか見てもらってください。

弊社REPAIR(リペア)には、原状回復から大規模リノベーションまで、年間1万件を超える工事実績と豊富な経験があります。リノベーションをご検討中の方は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。