マンションで最も人気の間取りは、3LDKと言われています。では、3LDKの中古マンションだったらすぐに売れるのかと言うと、必ずしもそうとは限りません。
いっぽう近年の都市部では、1LDKや2LDKなどのコンパクトな間取りの供給が増え、かつ売れています。4LDK以上の室数がある物件も、需要の割に供給が少なく、地域によっては売れやすいと言えます。
本稿では、中古マンションはどんな間取りが人気で売りやすいのか、整理して解説します。早期売却をご検討中の方の参考になれば幸いです。
目次
マンションで人気の間取りは2LDK・3LDK
さっそく、中古マンションの「人気の間取り」と「売りやすい間取り」について見ていきましょう。
需要はどのように変化しているのか
現在、中古マンションの需要はどのようになっているのでしょうか。多くの需要があれば、すなわち「人気」で「売りやすい」と考えてよいのでしょうか。
じつは、必ずしも「需要の多さ」と「売りやすさ」は一致しません。
まず、令和2年度の「住宅市場動向調査報告書」を見てみましょう。この資料によると、既存(中古)住宅における「住宅の選択理由 (複数回答可)」の1位と2位は以下のとおりです。
- 住宅の広さが十分だから(71.1%)
- 間取り・部屋数が適当だから(64.5%)
ちなみに、この順位は平成28年から令和元年(平成31年)まで逆でした。つまり、これまで「広さ」よりやや「間取り」が注目されていたのです。
なお「広さが十分」は「面積が大きい」と同じ意味でない点は留意が必要です。そこで暮らす世帯にとって「過剰でない大きさ」と捉えることもできます。
つづいて、不動産流通経営協会がまとめた資料を見てみると、1~2人世帯が急激に増加しているとわかります。
おそらく、その傾向は都市部で顕著なのでしょう。上述の資料では、2008年以降の首都圏新築マンションにおいて「購入にあたっての優先順位」に以下の変化が見られます。
- 「居住空間にゆとりがある」が下落傾向
- 「仕事や通勤に便利」が上昇傾向
- 「子育て・教育がしやすい」が上昇傾向
- 「日々の生活がしやすい」が上昇傾向
さらに住宅着工統計を見てみると、2000年以降の新築マンションは、平均床面積が縮小傾向にあるとわかります。
このような資料を俯瞰してみると、中古マンションはどんな物件が人気で売りやすいのか、見えてきます。買主は過剰な広さを求めておらず、家族構成に適した広さと間取りの物件を探しています。
ただし、その「家族構成」の平均人数が急激に減少しています。ですから首都圏を中心に、マンション価格が高騰していることもあり、床面積がコンパクトな物件の需要が高まっているのです。
根強い人気の3LDKと需要が高まる2LDK
今度は、間取りの観点から人気の物件を見ていきましょう。
3LDKの特徴
中古マンションの需要のメインは「3LDK (目安:60~90m²)」です。年代と地域によっては、分譲されたマンションの過半数が「3LDK」だったところも少なくないようです。
参考:関西地方における分譲集合住宅の住戸平面特性について(本保 2018)
このタイプの間取りは、4~5人家族のファミリーや子どもを持とうと考えているご夫婦に人気です。とくに、評判がよい学区や子育ての都合がよい地域では、注目度が高い間取りとなっています。
「子育て世帯」の中心は、年齢層で言えば30~40代でしょう。賃貸では手狭に感じる世代であり、住宅ローンを最大限(35年間)利用できる世代とも言えます。
住宅市場動向調査報告書では、例年この世代の住宅取得者が最多になっています。ですから、3LDKの需要と供給が多くなるのは自然なことと言えるでしょう。
2LDKの特徴
さて、2LDK(目安:約50~80m²)はどうでしょうか。従来、この間取りは「人気」と言うには一歩及びませんでした。しかし、今は立地がよいと人気物件になり得ます。
とくに、以下のような二人世帯にとっては使いやすい間取りです。ですから、このような世帯にとって都合がいい「駅周辺エリア」での需要が旺盛です。
- DINKS(子どものいない夫婦)やカップル
- 子どもが独立して2人になったシニア世帯
また、マンションの価格高騰により、ファミリー層でも2LDKを選ぶ方が増えています。子どもを持とうと考えているご夫婦や、3~4人家族のファミリーも、ターゲットになり得るでしょう。
リセールバリューから見た間取りの需要
マンションの需要動向から見ると、2LDKや3LDKが人気であるとわかります。では、これらの間取りの物件は「売りやすい」と考えていいのでしょうか。
じつは、60m²台から80m²台のマンションは数が多く、とくに都市部はたくさんの物件と競合します。首都圏では、リセールバリュー(新築時価格の維持率)が平均を下回る物件も少なくありません。
「60m²台から80m²台」と言えば、ちょうど2LDKや3LDKと重なります。ですから、売却に手こずる可能性もあり、買主から注目されるようなポイントが必要になってきます。
じつは売りやすい都市部の1LDK・4LDK
リセールバリューを見ると、首都圏では「60m²台から80m²台」よりその前後が高くなる傾向があります。つまり、40m²台から50m²台、あるいは100m²以上の物件です。
この規模の物件は需要の割に数が少なく、築浅とは言えない物件でも売却価格が底堅い状況です。
1LDKの特徴
「40m²台から50m²台」の物件は、1LDKが多いでしょう。この規模の中古マンションの購入者層は、以下のとおりです。
- 一人でゆったりと生活したい独身層
- DINKS(子どものいない夫婦)やカップル
- 子どもが独立して二人になったシニア世帯
このような購入者層は、利便性を一番に考える傾向があります。ですから、子育てしやすいエリアでなくとも、交通や生活に便利な地域なら「1LDK」は多くの需要があるでしょう。
ただし、1LDKは購入者層の年齢幅が広く、ターゲット(若者?高齢者?)によって販売戦略が変わる点は留意が必要です。
4LDKの特徴
「100m²以上の物件」は、4LDK以上であるケースが多いでしょう。この規模のマンションの購入者層は、以下のとおりです。
- 子どもが多いファミリー
- 趣味の部屋が欲しい人
- 仕事部屋が欲しい人
コロナ禍以降、おうち時間やテレワークの増加で、4LDKの注目度が高まっています。とくに、子どもが多いご家庭や仕事部屋が必要な方は、4LDK未満の室数に下げられないケースもあるでしょう。
いっぽう、先述のとおり4LDK以上の中古物件は数が「潤沢」とは言えません。ですから、タイミングが合えばすぐに売れる可能性があります。
中古マンションで注目される間取りとは?
さて「3LDK」等の間取りの分類で、需要や特徴を見てきました。では、和室やウォークインクローゼットなど、個別に見た場合はどうでしょうか。買主から注目されやすい間取りはあるのでしょうか。
つづいて、トレンドの間取りや、買主から減点されやすい間取りを見ていきましょう。
トレンドの間取り
意外と間取りにもトレンドがあり、時代に合致すると買主から注目されやすくなります。たとえば、以下の間取りは買主の興味を引くでしょう。
- アイランドキッチン
- ファミリークローゼット
- ヌックスペース
- ワークスペース
アイランドキッチンは根強い人気がありますが、マンションでは導入事例が多くありません。リフォーム等で設置されているのであれば、買主に注目されやすくなります。
ファミリークローゼットやヌックは、トレンドになっています。ワークスペースも、コロナ禍の影響もあり、現在人気の間取りのひとつです。
減点されやすい間取り
タタミの部屋ばかりだったり収納がなかったり、前時代的な間取りの物件は人気がありません。フローリングへの貼り替えや、クローゼットを設ける等の改修を検討すべきでしょう。
また、いくら需要や注目度が高い間取りであっても、室内の状況がよくないと売りづらくなります。買主は、汚れや他人の生活感が染みついた物件には抵抗を感じるのです。
このような「減点」の背景には、多くの買主がリフォームを「面倒」だと感じている事実があります。ですから「改修すればいい話」とならず「他の物件にしよう」となります。
よって、見栄えがするリフォーム済みの物件は、多少価格が上がっても売れていくのです。
反響が少なくお困りの元付け不動産会社様に、ご提案
その地域で需要がない間取りの中古マンションは、売却の際に苦戦します。汚れや他人の生活感が染みついた物件も、売りづらくなります。
もし、御社の物件がそのような状態になっているのであれば、売主様にリフォームをご提案する必要があるでしょう。とは言え、需要は読みづらく、見当違いのリフォームをお勧めするわけにもいきません。
そんなときは、弊社のサービス「勝手にリノベ提案してみた」をご利用ください。無料で以下の資料をご提供いたします。
- 提案図面
- パース
- 概算見積もり
これらの資料を、内覧時等のタイミングで購入検討者様にお渡しいただくと、改修工事による変化をご理解いただきやすくなります。反響や成約の獲得ツールとして、ぜひご活用ください。