近年、消費者の考え方が《所有》から《利用》へと変化したことを背景に、さまざまな分野でサブスクリプション型のサービス(以下、サブスク)が増えています。あなたも、利用されていませんか?
不動産分野においても、月額制・住み放題の《サブスク型賃貸住宅》が登場しました。オーナーにとっては、空室率の低減と収益の向上が期待できる魅力的なサービスです。
本稿では、サブスク型賃貸住宅サービスの概要や、空室対策に生かす方法をご紹介します。空室にお悩みの方や、新たな入居者獲得策をお探しの方は、ぜひ本稿を参考にしてください。
目次
サブスク型賃貸住宅サービスの概要
さっそく、サブスク賃貸サービス(以下、サブスク賃貸)の特徴や、メリット・デメリットからご紹介しましょう。
ただし、サブスク賃貸は運営会社によってサービス内容や特色が大きく異なります。そのため、特徴等を一般化しづらい面がありますので、本校の情報は目安や参考としてご利用ください。
サブスク型賃貸住宅サービスの特徴
近年、従来とは異なる新しい賃貸の形態として《サブスク賃貸》が注目されています。
多くのサブスク賃貸では月額固定料金、あるいは物件ごとに設定された利用料を支払うことで、住居だけでなく家具・家電・ライフラインなどを利用できる仕組みになっています。
従来の賃貸住宅とサブスク賃貸を比較してみましょう。
初期費用 | 従来の賃貸 | 敷金、礼金、仲介手数料など、家賃の数か月分にあたる初期費用が必要。 |
---|---|---|
サブスク型 | 敷金・礼金・仲介手数料などが不要、あるいは大幅に減額されるケースが多い。 | |
家具家電 | 従来の賃貸 | 入居者が自分で家具や家電を用意する必要がある。 |
サブスク型 | すでに設置されている。利用者は、入居後すぐに生活を始められる。 | |
契約期間 | 従来の賃貸 | 普通借家契約は契約期間が1年以上。2年間が一般的。借主の希望で更新できる。 |
サブスク型 | 従来の賃貸契約よりも契約期間が短い、あるいは自由に解約できる場合があり。 |
このような特徴から、サブスク賃貸は、利用者がライフスタイルの変化に柔軟に対応しやすくなっています。中には、さまざまな生活サポートサービスを提供しているケースもあります。
運営会社が管理する各地のサブスク住宅なら、どこでも移り住めるサービスもあります。運営会社はユーザーを抱え込むことができ、自社管理物件全体で見たときの退去率を減らせます。
サブスク賃貸事業者と契約したオーナーは、物件を借り上げてもらうか、管理を委託することになります。借り上げでは安定収入を、管理委託では稼働率に応じた収入を得られます。
サブスク型賃貸住宅サービスならではのメリット
サブスク貸住は、入居者とオーナー、双方にメリットがあります。
入居者側のメリットは、以下のとおりです。
- 初期費用が抑えられる
- 家具・家電付きで、すぐに生活を始められる
- 契約期間の柔軟性が高い
敷金や礼金などを不要としているサブスク賃貸なら、初期費用がネックで賃貸住宅を借りづらかった人にとって大きなメリットがあります。
家具家電を揃える手間や費用も、省けます。解約もしやすいので、気軽に利用できるでしょう。Web契約やスマートキーが導入されていて、来店なしで契約できるケースも少なくありません。
一方、オーナー側には以下のメリットがあります。
- 物件の差別化
- 空室リスクの軽減
- 安定した収益の確保
初期費用0円や家具家電完備などのサービスを提供することで、物件の差別化を図り、競争力を高められます。
また、初期費用の安さが入居者にとって大きな魅力となり、空室リスクを軽減できる可能性があります。空室リスクを軽減できると、損失賃料も軽減できるでしょう。
覚えておきたいデメリット(注意点)
サブスク賃貸は、空室リスク軽減や安定収入など、オーナーにとってメリットが多い仕組みになっています。一方、導入前に注意すべき点もいくつかあります。
例をあげてみましょう。
- すべての物件がサブスク賃貸に適しているとは限らない
- 比較的新しい賃貸形態で、注意点が明確になっていない
- サービス内容が、運営会社によって異なる
まず、すべての物件がサブスク賃貸に適しているとは限りません。ターゲット層を考慮せずに導入すると、空室改善につながらない可能性があります。
また、サブスク住宅は比較的新しいサービスであるため、オーナー側の注意点が明確になっていない側面があります。参考事例が少なく、導入の可否の判断がやや難しいかもしれません。
さらに、サービス内容や解約条件など、運営方針が管理会社によってマチマチです。空き家を中心に借り上げている会社もあれば、空室や倉庫などを借り上げている会社もあります。
ですから、オーナーは契約内容やサービス内容の比較検討が必要になるでしょう。
サブスク型賃貸住宅サービスのターゲット層
サブスク賃貸の利用者の中心は、20~40歳くらいの層です。コロナ禍のワーケーション需要で、広まりました。
利用者の例をあげてみましょう。
- 初期費用を抑えたい学生
- 転勤が多いビジネスマン
- 身軽な生活を求める単身者
- ライフスタイルの変化に柔軟に対応したい人
- フリーランスなどの多様な働き方をする人
- 地方移住や多拠点生活に興味がある人
宅建協会の資料によると、利用者から「費用が安いのがいい」という声が多いようです。初期費用の安さを魅力に感じる層は、顧客になってくれやすいと言えそうです。
参考:若者を中心に利用が広がる「サブスク住宅」サービスとは?
サブスク型賃貸住宅サービスを空室対策に生かす方法
さて、サブスク賃貸を空室対策に生かすには、どうすればいいのでしょうか?3つのポイントをご紹介しましょう。
ターゲット層を明確にする
まず、ターゲット層を明確にすることが非常に重要です。サブスク賃貸は、すべての層にとって魅力的なわけではありません。
サブスク賃貸は、従来型の賃貸住宅とは異なり、月額制・家具家電付きなどのサービスを付加価値として提供しています。サブスク賃貸が、どの層のニーズにマッチしているか検討しましょう。
ターゲット層を明確にすると、より効果的な広告展開が可能になります。ターゲット層のニーズに特化したサービスを提供することで、ターゲット層の入居をさらに促進できるでしょう。
提供するサービスを検討する
ターゲット層のニーズを満たす適切なサービスを提供しましょう。空室を埋める効果を高められます。
サブスク賃貸のおもなターゲット層は、従来型の賃貸住宅では満たされないニーズを持っています。提供するサービスを検討する際には、そのニーズを把握することが重要です。
あなたの顧客にとって何が必須で何が不要か、よく検討しましょう。提供するサービスによって、必要な設備投資や運営コストも異なってきます。
収益性と費用対効果を検証する
サブスク賃貸のビジネスモデルは、従来型の賃貸住宅とは異なります。ですから、提供するサービス内容やターゲット層によって、収益構造や費用項目が大きく変わる可能性があります。
サブスク賃貸を導入する際は、収益性と費用対効果をしっかり検証しましょう。検証すべき項目をあげておきます。
▼家賃設定
家賃に付帯サービスの料金を含めるケースが多いため、従来型の賃貸住宅よりも高めに設定できる可能性があります。
しかし、高すぎる家賃設定は入居者の獲得を阻害する可能性もあります。周辺の相場や競合物件の賃料などを考慮し、適切な価格設定をおこないましょう。
▼入居率
従来型の賃貸住宅にはない魅力的なサービスを提供することで、高い入居率を維持できる可能性があります。
一方、提供するサービス内容やターゲット層によっては、入居率が低迷する可能性もあります。事前に綿密な市場調査や需要予測をおこなうことが重要です。
▼初期費用
家具家電の購入・インターネット環境の整備・リノベーション工事など、従来型の賃貸住宅よりも多くの初期費用が発生する可能性があります。
初期費用を回収できる期間や、投資対効果を事前にシミュレーションする必要があるでしょう。
▼ランニングコスト
付帯サービスの提供にともない、電気代やメンテナンス費など、従来型の賃貸住宅よりも多くのランニングコストが発生する可能性があります。
ランニングコストを抑制する方法や、家賃に転嫁できる範囲を検討する必要があるでしょう。
▼空室対策効果
従来型の賃貸住宅よりも空室対策に効果的な場合がありますが、必ずしも保証されているわけではありません。
提供するサービス内容やターゲット層によっては、空室対策効果が低い、あるいは逆効果となる可能性もあります。導入前にじゅうぶんな検討をおこなってください。
サブスク賃貸を導入する際は、収益性と費用対効果を検証し、長期的な視点で事業計画を策定することが重要です。
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